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爪の「縦すじ・横すじ」ができる原因は? 老化だけではない理由と、皮膚科医が教える12の正しいセルフケア

  • 2026.6.11
Tatiana Foxy / Getty Images

ふと爪を見たときに、縦や横のすじ、もしくは凹凸ができていることに気づき「これはなに?」と不思議に思ったことはないだろうか。爪にすじができる主な原因とその対策について、米専門家に詳しく話を伺った。

「爪に縦すじができる最も一般的な原因は、通常の加齢によるもの。これは正常な生理現象と言えます」と、ニューヨーク・プレスビテリアン病院/ウェイルコーネル・メディカルセンターの皮膚科医で爪部門責任者のシャリ・リプナー医学博士は解説する。

「一方で、爪に横すじが入っている場合、それは突起ではなく『溝(凹み)』です。もし1本の爪だけに溝があるなら、それは部分的なケガや衝撃が原因と思われますが、複数の爪にまたがっている場合は『ボー線条(爪甲横溝)』と呼ばれ、爪の成長が一時的にストップしていることを意味します。ボー線条は、深刻な全身疾患、手足口病などのウイルス性疾患、あるいは化学療法などが原因で生じるものです」

話を伺った専門家:シャリ・リプナー医学博士(ニューヨーク・プレスビテリアン病院/ウェイルコーネル・メディカルセンター 皮膚科医・爪部門責任者)、ツィポーラ・シャインハウス医学博士(ロサンゼルス在住の米国皮膚科専門医)、カラン・ラル医学博士(アフィリエイテッド・ダーマトロジー皮膚科専門医)、ドナ・ハート医学博士(ウェストレイク・ダーマトロジー米国皮膚科専門医)その他、リチャード・トーベック医学博士、ノエラニ・ゴンザレス医学博士、アマンダ・ズベック医学博士らが解説。

以下では、爪のすじの種類とその原因、そして健康的で強い爪を保つためのケア方法について、専門家の意見をまとめる。

爪にできるすじの種類

爪のすじの現れ方は人それぞれだが、大きく以下の2つのタイプに分類される。

1. 縦すじ(縦の凹凸)

Jan Hakan Dahlstrom / Getty Images

爪の根元(甘皮部分)から先端に向かって垂直に走る突起したライン。皮膚科専門医のツィポーラ・シャインハウス医学博士は「これは年齢を重ねることで誰にでも見られる、極めて一般的かつ正常なサインです」と述べる。

2. 横すじ(横の凹み)

Nagahitoyuki / Wikimedia Commons

爪を横切るようにできる溝は「ボー線条」と呼ばれる。縦すじに比べると頻度は低いものの、気になる症状だ。「1本の爪だけに横すじがある場合、その多くは爪母(爪が作られる根元の部分)に衝撃やダメージが加わったことが原因」とシャインハウス博士。

爪をいじったり、甘皮を強く押し込んだり、ドアに指を挟んだりすると、爪を作る"製造元"に傷がつき、その後に生えてくる爪に凹みができてしまうのだという。「ただし、心配はいりません。このすじは消えないものではなく、爪が伸びるにつれて先端に移動し、いずれ元の綺麗な爪に戻ります」

爪にすじができる主な原因

皮膚科専門医カラン・ラル医学博士によると、爪のすじの原因は多岐にわたるが、そのほとんどは良性で過度に心配する必要はない。主な要因は以下の通りだ。

横すじ(ボー線条)の原因

身体が大きなストレスを受け、一時的に爪の成長が止まることで発生する。

  • 重症のウイルス感染症や疾患
  • 高熱
  • 腎臓病
  • 栄養不足(鉄分、亜鉛、ビタミンAの不足)
  • ネイルによるダメージや外傷
  • レイノー病
  • 精神的・肉体的ストレス
  • 甲状腺疾患

縦すじの原因

医学的には「粗造爪」とも呼ばれ、以下のような理由が挙げられる。

  • 水分不足(乾燥)
  • 湿疹や乾癬(かんせん)などの皮膚疾患
  • 円形脱毛症などの自己免疫疾患
  • 加齢
  • 栄養不足(鉄分、亜鉛、ビタミンAの不足)
  • 甲状腺疾患
爪に白い線や斑点ができる原因

これは「爪白斑」と呼ばれる。病気(乾癬など)や薬の影響による場合もあるが、「最も多いのは、爪を噛む、ネイル、硬いものに爪をぶつけるといった、日常の小さな外傷が原因になっている」とラル博士は言う。

予防する方法

基礎疾患が原因の場合、完全に予防することは難しいが、日頃から正しいネイルケアを心がけることで、爪をなめらかに、強く健康に保つことができる。

最も大切なのは、爪へのダメージを避けること。「ネイルサロンで爪の表面を機械で削ったり、研磨したりする人は多いですが、爪のことを考えるのであればあまりおすすめはしません。爪がもともと薄い人の場合、さらに爪が薄くなって割れやすくなってしまいます」とラル博士。

また、市販の透明な爪の強化剤を塗ることで、爪を補強し、表面をなめらかにしてダメージを防ぐ効果が期待できるという。

改善するための12のセルフケア

下記では、既にできてしまった爪のすじを目立たなくし、健やかな爪を育むために、皮膚科医がおすすめする12の方法をご紹介。

1. 定期的にしっかり保湿する

「ハンドクリームやネイルオイルで爪の潤いを保つことで、すじを目立たなくし、爪の主成分であるケラチンを保護できます」と、テキサス州ウェストリーク・ダーマトロジーのドナ・ハート医学博士。水分を閉じ込め、爪に栄養を与えるセラミドやAHA(アルファヒドロキシ酸)配合の保湿剤を選ぶのがおすすめだ。爪が乾燥して割れやすい人は、就寝前に肌と爪にたっぷりクリームを塗り、綿の手袋を着用して寝ると浸透が高まる。

2. 爪を短くきれいに保つ

爪を短めに整えておけば、日常生活の中で爪がぶつかって受けるダメージを減らすことができる。爪を切るのは先端の白い部分が見えているときだけに留め、深爪にならないよう注意したい。まっすぐ横に切り、角は目の細かいヤスリで優しく丸める。引っかかりを見つけたらすぐにヤスリで整えることも、先々のトラブル予防になる。

3. 爪を噛んだり、いじったりしない

爪やその周りの皮膚は、外部からの刺激を受けると身を守るために厚くなろうとする。爪や甘皮のささくれを無理に引っ張ったり噛んだりする癖を見直し、ダメージの連鎖を止めよう。

4. 優しく爪磨きをする

根本的な解決にはならないが、爪の表面を軽く磨くことで、すじを一時的にカモフラージュできる。ただし、「爪を磨きすぎると爪甲が薄くなり、かえって柔らかく折れやすくなるので、多くても月に1回まで」とシャインハウス博士。爪の成長方向(根元から先端)に向けて一方向に優しく動かす。往復がけは二枚爪の原因になるので厳禁。

5. 甘皮をいじりすぎない

「甘皮は、指の組織に泥や細菌、感染症が侵入するのを防ぐ唯一のバリア」とシャインハウス博士。甘皮を無理に押し上げたり切ったりすると、そこから感染症を起こして爪の形が変形する原因になるだけでなく、押し込む際の強い刺激自体が爪母を傷つけ、未来の爪に永久的なすじを作ってしまう原因になる。ネイルオイルで優しく保湿するに留めるのが賢明だ。

6. 水に触れる時間を減らす

過度な手洗いは肌のバリアを奪い、手湿疹の原因になり、それが爪の変形へと繋がる。また、長時間の水仕事(皿洗いなど)も、爪の細胞が水分を吸って膨張し、乾くときに収縮するため、爪の細胞同士の結合を弱めてしまう。水仕事の際は綿裏付きのゴム手袋を着用し、手洗い後はすぐに保湿クリームを塗るよう心がけたい。

7. バランスの良い食事を心がける

稀ではあるが、爪のすじがビタミン不足のサインであることもある。十分な水分補給に加え、爪の成長を促す栄養素を意識して摂ろう。乳製品、ビタミン(野菜、卵、ナッツ類に含まれるビオチン)、亜鉛(赤身肉、魚、ほうれん草、マッシュルーム)などがおすすめだ。

8. 医療機関で処方される爪強化剤を使う

爪がすじだけでなく、割れたり裂けたりしている場合、皮膚科で医療用医薬品のセラムを処方してもらう方法がある。市販薬の多くにはホルムアルデヒドが含まれており、一時的には硬くなるが、長期使用すると爪をさらに脆くしてしまうリスクがある。一方で処方薬の強化剤は、爪の強度を高めるだけでなく、水分を閉じ込めて乾燥を防ぐ働きがある。

9. リッジフィラーを活用する

通常のマニキュアをそのまま塗ると、光の反射でかえってすじが目立ってしまうことがある。そんなときは、ベースコートの代わりにリッジフィラーを使おう。爪の表面の隙間を埋めて平らに整えてくれるため、その後のカラーが美しく映える。

10. 爪に優しいマニキュアを選ぶ

ジェルネイルやスカルプネイルは、密着性を高めるために爪の表面を削る必要があり、爪のpHバランスも変えてしまうため、横すじや薄爪の大きな原因になる。爪の健康を考えるなら、通常のネイルポリッシュがおすすめ。また、除光液もノンアセトンタイプを選ぶと、爪や周囲の皮膚への脱水ダメージを和らげることができる。

11. ネイルのお休み期間を設ける

マニキュアを塗ったり落としたりを繰り返すと、爪の水分が奪われ、細胞同士の結びつきが弱くなってもろくなる。「爪の乾燥や細かいすじが気になり始めたら、3〜4週間はネイルをお休みして、爪が本来の強さを取り戻しながら伸びるのを待つべきです」とズベック博士。お休み期間中はケラチントリートメントなどで労ってあげるのが効果的だ。

12. ビオチンのサプリメントを検討する

科学的な証明はまだ途上段階だが、ビオチン(ビタミンB7)の摂取によって爪が強くなったという臨床報告がいくつかある。(※ただし、健康診断などの採血検査を受ける数日前には服用を中止すること。ビオチンが検査結果の数値を狂わせることがある)。

皮膚科での診断方法

爪のすじが気になって皮膚科を受診した場合、医師は原因を特定するために以下のようなアプローチを行う。まず、目視で皮膚や全身の健康状態を確認する。「爪の変形を伴いやすい乾癬(かんせん)などの皮膚疾患のサインがないかを全身の肌からチェックします」とラル博士。

次に、以下のような血液検査を行うのが一般的だ。

  • 全血算(CBC): 爪のすじの原因となる貧血やミネラル不足がないかを調べる。
  • 生化学検査(CMP): 爪の状態に影響を与える、肝臓や腎臓の機能を評価する。
  • 鉄分パネル: 爪の変形(すじやスプーン爪など)を引き起こす鉄欠乏がないかを調べる。
  • 甲状腺パネル: 甲状腺の病気も爪に変化を及ぼすため、症状に応じてホルモンバランスを確認する。

病院を受診すべきタイミング

爪のすじが突然いくつも現れた、爪の先端が裂けて痛みを伴う、といった場合は一度医師に見てもらうのが安心だ。

「症状が急激に始まった場合や、爪の端が裂けて生活に支障が出る場合は受診をおすすめします。かかりつけ医が内臓疾患の可能性をスクリーニングしたり、皮膚科の専門医を紹介してくれるはずです」とズベック博士。

さらに、ノエラニ・ゴンザレス医学博士は、「爪の色が茶色や黒など濃い色に変色した場合や、今までにない表面の変化が見られた場合も、すぐに受診してほしい」と警鐘を鳴らす。稀に重大な疾患が隠れていることもあるため、自己判断せず、専門医に相談して早めに不安を解消しよう。

※本記事は診察に代わるものではありません。症状に不安がある場合は、必ず医師の診察を受けてください。
※この記事はPreventionからの翻訳をもとに、日本版『ハーパーズ バザー』が編集して掲載しています。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

Translation: Harper's BAZAAR JP From Prevention

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