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がん治療で入院が決まった60代男性→「口の中も確認して」と言われ歯科医に行くが…判明した“トラブルの数々”に驚愕

  • 2026.7.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。がん治療や入院の前後に、口の状態が食事や感染管理に関わる場面に度々遭遇する歯科医師の鷹巣多紀です。

大きな病気の治療が決まると、検査の日程、入院の準備、仕事や家族のことに気持ちが向きます。口の中に少し気になるところがあっても、「痛くないから後でいい」と考える方は少なくありません。

今回は、がん治療を前に「歯どころではない」と思っていた60代男性の体験を紹介します。

Aさんに起きたこと

Aさんは、手術とその後の薬物療法を予定していた60代の男性です。入院日が近づく中で、病院から持ち物や検査の説明を受けていました。

その説明の最後に、看護師から「入院前に口の中も確認しておきましょう」と言われました。麻酔の説明では、「揺れている前歯や外れやすい入れ歯はありませんか」とも聞かれます。

Aさんは「歯は痛くありませんし、今はがんの治療が先では」と感じたそうです。ただ、よく聞くと、治療中の口内炎や歯茎の炎症だけでなく、全身麻酔のときに口から管を入れる気管挿管(きかんそうかん)で、揺れている歯に力がかかることもあると説明されました。

そこで、入院前にかかりつけの歯医者を受診することにしたのです。

歯医者では、痛みのない虫歯、奥歯の歯茎の腫れ、古い入れ歯のあたりを指摘されました。すべてを急いで終える話ではなく、入院日までに確認すべきこと、治療中に注意して見るところ、病院へ共有する情報を整理することになりました。また、全身麻酔中はお口の中の細菌が肺に入り込みやすくなるため、術後に肺炎(誤嚥性肺炎)を起こすリスクがあります。手術前に歯科でプロによるお口のクリーニングを受けて細菌の数を減らしておくことは、手術そのものの安全性を高め、術後の回復をスムーズにするための大切なステップなのです。

周術期管理として口を見る理由

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

手術前後の時期を、医療では周術期(しゅうじゅつき)と呼びます。周術期口腔機能管理は、歯をきれいにするだけではなく、手術や治療の前に口の中のリスクを見つけ、医科と歯科で共有する考え方です。

私が口腔外科にいたころも、手術前に「挿管のときに揺れている前歯をどうしたらよいか」と相談される場面がありました。前歯が大きく揺れていたり、差し歯やかぶせ物が外れやすかったりすると、麻酔や手術の流れの中で破折や脱落が問題になる場合があります。

もちろん、がんの手術、放射線治療、薬物療法の前後では、口の中の細菌や粘膜の荒れも問題になります。口内炎が強く出たり、食事が取りにくくなったり、歯の感染が体調管理の妨げになったりするためです。

つまり歯医者での確認は、虫歯や歯周病を見るだけではありません。ぐらつく歯、孤立して残っている歯、合わない入れ歯、清掃しにくい場所を見て、治療予定に合わせて口の負担を減らす準備なのです。

歯医者で伝えたいこと

がん治療前に歯医者へ行くときは、病名だけでなく、治療予定をできるだけ具体的に伝えてください。

入院日、手術日、放射線治療や薬物療法の予定、飲んでいる薬、病院から受けた注意事項をメモして持参すると、歯医者側も判断しやすくなります。全身麻酔の予定がある場合は、前歯の揺れ、差し歯、ブリッジ、部分入れ歯のことも伝えましょう。

特に、がん治療の中で「骨を強くする薬(注射や飲み薬)」を使う予定がある場合、またはすでに使っている場合は、必ず伝えてください。これらの薬を使用している状態で抜歯などを行うと、あごの骨に重大な合併症(顎骨壊死など)を引き起こすリスクがあるため、お薬を使い始める前に歯科治療を済ませておくことが極めて重要だからです。

入れ歯を使っている方は、痛い部分がなくても入れ歯を持って行くことをお勧めします。治療中の食事を支える道具であるため、調整が必要かを確認する意味もあります。

大きな治療の前ほど口の情報を共有する

「がんの治療前に歯どころではない」と感じるのは自然なことです。ただ、口の状態は、食事、会話、感染への備えだけでなく、全身麻酔の手術準備ともつながるものです。

入院や治療の予定が決まったら、痛みの有無だけで判断せず、口の状態を一度確認することをお勧めします。
主治医、看護師、歯医者へ同じ情報を共有することが、治療中の生活を支える一歩になります。


執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
歯科医師ママkiki|note: https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw
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