1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 着ているだけで「だらしない人」と思われる…プロに聞いた秋冬服の見落としがちなシミ、毛玉ともう一つ

着ているだけで「だらしない人」と思われる…プロに聞いた秋冬服の見落としがちなシミ、毛玉ともう一つ

  • 2026.10.31

衣服の手入れをおろそかにしていると、見た目だけで仕事ができない人だと烙印を押されてしまう。生活史研究家の阿古真理さんが、ちょっとした心がけで人に好感を与え、ビジネスを成功に結びつける衣服管理の秘訣を取材した――。

半数の人が袖丈が合わず幼く見えている

人に会ったとき、その人に関して最も多く目に入る情報は見た目だ。だからこそ、ビジネスの場で、「仕事ができる人」に見えることは大事である。

白いシャツに大きなシミ
※写真はイメージです

よく言われるポイントは靴を磨くこと、パンツの折り目がピシッと入り、ジャケットなどがヨレておらず、シャツの襟が汚れていない、つまりだらしなく見えないこと。さらにプロに聞くと、意外な盲点もある。そして、きちんと見えるためには衣服の管理も大事だ。衣替えシーズンの今、仕事で信頼される服装とその管理法について、改めて見直してはどうだろうか?

スーツスタイリストでレアリゼスタイル社長の三好凛佳さんは、「初めて会った人の情報として最も多いのが、洋服も含めた見た目。例えばマネジャークラスの人がよれたジャケットを着ていると、この人は自分を客観視できていなさそうだから、仕事についても細かい配慮が行き届かないのではないか、という不安につながってしまいます」と話す。

「相手よりも少しフォーマルなドレスコードを保ち、ジャストサイズで清潔感があると見られれば、信頼できる人という印象をもってもらいやすいです」と語る三好凛佳さん。
「得意先よりも少しフォーマルなドレスコードを保ち、ジャストサイズで清潔感があると見られれば、信頼できる人という印象をもってもらいやすいです」と語る三好凛佳さん。

三好さんは、ファッション・身だしなみ研修で企業に出向いた際に気づく具体例として、受講者の半数はジャケットの袖の長さが合っていない場合がある、と指摘する。

「既製服の店で、一番自分に合ったサイズを選んではいらっしゃるのですが、実は袖丈が長い。たまに短い人もいます」と三好さん。「袖が長過ぎると幼く見られやすい。買うときに袖が長いなと思ったら、直せるかどうか販売員に聞いてみてください。また、量販店でもリーズナブルにサイズを調整できるパターンオーダーがありますので、そうしたサービスを利用するのもよいと思います」。

信頼される服装の基準とは

ネクタイを締めたスーツの場合は、シャツは1.25センチ出る長さならきちんと見える。判断が難しいのは、袖の長さに決まったルールがないビジネスカジュアルが広がっていること。女性のビジネスウエアも同じく決まりがない。

基準がない時代に信頼される服装にするコツを三好さんは、「得意先よりちょっとフォーマルにすること。同じぐらいのドレスコードの洋服を着ている、ジャストサイズである、清潔感がある、と見られれば、『話してわかる人』『信頼できる人』と思ってもらいやすいです」と話す。

冬はセーターを着ると暖かいものの、カジュアルに見えやすい問題がある。しかし例えば、ジャケットの下などにカシミヤなど編み目が細かいセーターやベストを着れば暖かく、機能性素材を使ったインナーも薄手で効果があるのでくだけた印象を与えずに済むと三好さんは言う。

知らぬ間にカビの胞子が衣服についている

では、「きちんとした人」と信頼される服装でいるためのお手入れでは、どんなことに気をつければよいだろうか?

ウールのニットに虫
※写真はイメージです

身だしなみを整えたいのに、衣替えで取り出した秋冬物に、汚れや穴があったら困る。なぜそうした問題が起きるのだろうか? 衣類についた食べこぼし、飲みこぼしや着用でつく皮脂は、そのままにしておくとシミになり、コイガやヒメカツオブシムシの幼虫が繊維と一緒に食べて、穴が空くリスクがある。

また、植木や観葉植物、土などにはカビの胞子がたくさんいる。知らない間に衣服につくので、濡れた衣類を湿気が溜まった空間に放置すれば、カビてしまう。こうした問題に、どのように対応すればよいのか、東京都クリーニング生活衛生同業組合の専務理事、田村嘉浩さんに聞いた。

被害を防ぐには、汚れた部分を洗っておくのはもちろん、衣類に通気性のよい不織布などのカバーをかけておくとよい。ただ、注意すべきなのは、クリーニング店がかけるカバーのままの場合、「中に溶剤のガスが残っていると、ビニールと反応し衣類に白く粉のようなものが付くリスクがあります。基本的には外していただき、100円ショップで売っている不織布のカバーに付け替えて収納するのもよいと思います」と田村さん。

家庭で処理できる汚れも

また、閉め切ったクローゼットやタンスの中は通気性が悪く、湿気がこもりやすいので、カビが繁殖し、虫が育つ環境と言える。家は寝に帰るだけ、という人も要注意。サーキュレーターを回しておくなど、衣類を置いた空間に風を送る必要がある。「室内の人が活動する場所に置くだけでも、空気は動きます」と田村さん。

「気になる汚れがあればクリーニング店に相談してください。全部クリーニングするよう勧めるわけではないですし、ご家庭でできる場合はその旨お知らせします」と語る田村嘉浩さん。
「気になる汚れがあればクリーニング店に相談してください。全部クリーニングするよう勧めるわけではないですし、ご家庭でできる場合はその旨お知らせします」と語る田村嘉浩さん。

食事中に汚した場合のしつこい油シミは、食器用の中性洗剤をつけて部分洗いをしておけば「洗濯機だけで洗うよりはよく取れます。部分洗いの摩擦で生地が傷みそうな場合は、『これは家で洗えますか?』とクリーニング店に相談してもいいと思います。シーズンが終わった衣類をクリーニングに出す際も、気になる汚れはあらかじめ相談しておくほうがいい」と田村さん。

「相談されたからといって、全部クリーニングするよう勧めるわけではありません。ご家庭でできる場合はその旨お知らせしますし、ご家庭での処理が難しいダメージについては、必要なら見積もりを出します」と補足する。

シーズン後にクリーニングに出すと、一度にたくさんお金が出ていくので、シミ抜きの部分洗いに余計なお金を取られたくない、と感じる人がいるかもしれない。それを裏付けるように総務省の家計調査では、一世帯当たりのクリーニング支出額は長年減り続けており、二人以上の世帯の場合、1992年は一世帯当たり年間19,243円だったのが、2025年は4,785円でしかない。

【図表】一世帯当たりのクリーニング支出額の推移
出典=総務省統計局「家計調査報告」より(単位:円)

しかし、シミを見られたら、「衣服の手入れが行き届かない人」と思われかねない。ビジネスの場で着る衣服のクリーニング代は必要経費と割り切ろう。また、多少のシミ抜きは通常料金に含まれるクリーニング店もある。

「だらしない人」と思われる服の特徴

カジュアルウエアは自宅で洗える場合が多いが、グッチやルイ・ヴィトンなどのハイブランドのTシャツなどは、一部に革、顔料プリントなどが使われていて、家で洗うのは難しい場合がある。またスパンコールなどの飾りがついた衣類も、クリーニングに出したほうがダメージを受けるリスクが少ない。基本的に、洗うと型崩れするリスクがある衣類はクリーニング店に出したほうがよい。

衣服についた泥をブラシで落としている
※写真はイメージです

虫食いに遭いやすい衣類は、柔らかいカシミヤやシルク、カビやすいのは革製品と天然素材である。ただ、ブランド物を含め革製品の裏地は、重量を減らす目的もあって合成皮革が使われている。合成皮革は長く放置していると、劣化し湿気でベタつく可能性がある。

また、革製品など厚手の衣類やベルトがカビていたら、表面的には家庭での拭き洗いで落としたように見えても奥に残ってしまい、湿度・温度・無風の環境が整えば、再びカビが増殖するリスクは高い。クリーニングに出して生地の奥までしっかり洗浄し、除菌することをお勧めする。

また、外干しや西日が入る部屋に吊るした衣類は、日に焼けて色あせすることがある。日の当たった部分だけ色あせた衣類を着ると、「だらしない人」と思われてしまいがちである。それをできるだけ避けるには、衣類は裏返して干し、西日が入る部屋の場合は、日が当たらない場所に衣類を収納しよう。

特に日焼け・脱色・変色しやすい素材は、シルクやナイロン。この黄ばみや色あせを直すことは難しい。染めを受けつける業者もあり、料金はかかるが、黒や紺など濃い色にしリメイクすることもできる。

セーターの毛玉がどんどん取れる台所アイテム

セーターは、毛玉が多いとだらしなく見える。「毛玉は着用中の摩擦で発生します。脇の下、リュックやバッグが当たる部分、アクセサリーが擦れる部分、衣類同士が擦れる部分など。ウールやカシミヤなどの毛が柔らかくもろい天然素材は、ブラッシングすれば摩擦でかんたんに取れる場合があります。一方、アクリルやポリエステルなど比較的丈夫な糸である化学繊維は、毛玉が残りやすい傾向があります。特に難しいのは他の色の衣類の繊維も絡まった毛玉で、毛玉カッターなどで切り取るしかない。それ以外のしつこい毛玉は、台所用のスポンジでこすり取る方法もあります。ざらつきがあるスポンジの裏面は、より強力です。クリーニング店に頼むこともできますが、作業に手間がかかるので料金は高くなります」と田村さんは解説する。

ただ毛玉は取り過ぎると生地が薄くなる、穴が空くリスクがある。生地が薄くなり過ぎたセーターは、処分のタイミングかもしれない。他にも、ニオイが残って取れない、合成皮革がベタつく・剥離したもの、ニットが伸びた・縮んだ、大きく変色したといった状態は、プロもお手上げの場合が多い。お気に入りの衣類でも、処分を考えたほうがよいだろう。

これまでに書いたポイントをまとめてみよう。「仕事ができる人」と思ってもらえるように、衣類をよい状態に保つには、風通しをよくして湿気やカビ、虫食いを避ける、日光に当たり過ぎないよう気をつける、シミをつけてしまったらすぐに対応することが大事である。

シーズン終了まで洗う機会がほとんどないスーツやジャケット、セーターやカーディガンは、着たらブラッシングするとよいだろう。汗をかいたときは一晩室内に干して湿気を十分とり、朝になってからクローゼットなどに収納するとよい。

人に好感を与えビジネスの成功に結びつく服装を心がけることは、同時に衣類を長持ちさせ、心地よく過ごすための秘訣でもある。

阿古 真理(あこ・まり)
生活史研究家
1968年生まれ。兵庫県出身。くらし文化研究所主宰。食のトレンドと生活史、ジェンダー、写真などのジャンルで執筆。著書に『母と娘はなぜ対立するのか』『昭和育ちのおいしい記憶』『昭和の洋食 平成のカフェ飯』『「和食」って何?』(以上、筑摩書房)、『小林カツ代と栗原はるみ』『料理は女の義務ですか』(以上、新潮社)、『パクチーとアジア飯』(中央公論新社)、『なぜ日本のフランスパンは世界一になったのか』(NHK出版)、『平成・令和食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)、『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた。』(幻冬舎)などがある。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ