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定年後、“月収50万→30万円”に下がった60代男性→『社会保険料の負担も減る』と思いきや…人事部から告げられた“驚きの事実”

  • 2026.10.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。経営労務コンサルタント・社会保険労務士のsr_kazutakaです。

定年を迎えると、役職定年や業務負担の軽減に伴って給与が減額されるのが一般的です。定年前の給与に比べ、6割程度に減ることも珍しくありません。

60歳で定年を迎えたBさんは、定年後の手取りを増やす方法として、「同日得喪(どうじとくそう)」という制度を利用しました。

一体どのような仕組みなのでしょうか?

給与が下がっても社会保険料はすぐ下がらない?

Bさんは定年後の生活で、「手取り額がいくらになるのか」不安に感じていました。定年前の給与は50万円でしたが、定年後は30万円に減額される予定です。

Bさんは「税金や社会保険料は給与に連動するので、給与が減れば同じ割合で負担が減るはず」と考えていました。しかし人事部に確認したところ、思いもよらない言葉が返ってきました。

「給与が下がっても、社会保険料はすぐには下がりません」

実は、ここに定年後の手取りを圧迫する大きな落とし穴があったのです。

通常の手続きだと「3か月のタイムラグ」が発生する

社会保険料は、原則として毎年1回、4月〜6月の給与の平均で決まる「定時決定」で1年間固定されます。ただし、年の途中で給与が大きく変わった場合は、変更された月から3か月間の平均を基に、4か月目から保険料を変更する「随時改定」という手続きを行います。

例えば、9月に60歳定年を迎え、10月から再雇用で給与が下がったとします。 通常の手続きでは10月〜12月の平均給与を基にするため、保険料が下がるのは翌年1月分(徴収は2月)からになってしまいます。

つまり、給与は下がったのに、10月〜12月の3か月間は定年前の高い給与をベースにした高い保険料を払い続けなければならないのです。

定年退職ならタイムラグ解消!「同日得喪」の仕組みとは

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

しかし、給与が減った理由が「定年退職による再雇用」の場合、この3か月のタイムラグを解消できる制度があります。それが「同日得喪」です。

これは、定年退職した際に一度社会保険の資格を失い(喪失)、翌日に再雇用者として同じ日に資格を取得する手続きです。

この制度を利用すれば、3か月間待たずに、再雇用となった月(徴収は翌月)から、下がった給与に見合った安い保険料に変更できます。

【試算】同日得喪でどれくらい得する?具体例で検証

Bさん(東京都の協会けんぽ加入)の場合、同日得喪を行うことで社会保険料(健康保険・介護保険・厚生年金の合計)の負担は次のように変わります。

  • 定年前(給与50万円) : 75,000円/月
  • 再雇用後(給与30万円): 45,000円/月
  • 1か月あたりの負担減   : 30,000円
  • 3か月間の合計   : 90,000円 の負担減(30,000円 × 3か月)

同日得喪を利用する際の注意点

手取りを増やす上で魅力的な同日得喪ですが、いくつか知っておくべき注意点もあります。同日得喪を行うと、健康保険や年金の給付面で次のようなデメリットが生じる可能性があります。

  1. 傷病手当金の日額が最大で約1,100円下がる可能性がある
  2. 65歳以降の老齢厚生年金が年間で約3,000円減額される

このような注意点はあるものの、定年直後の手取り額を9万円確保できるメリットは非常に大きいです。

今回ご紹介したBさんは、人事部へ問い合わせたことで同日得喪の存在を知りました。しかし、会社によっては「社員から申請があった場合のみ対応する」というケースも少なくありません。定年後も同じ会社で再雇用される予定があり、同日得喪のメリットを感じた方は、人事部へ「定年後の同日得喪手続きは可能ですか?」と確認してみることをお勧めします。


執筆:sr_kazutaka
民間企業で約30年間にわたり人事労務業務に従事する傍ら、経営労務コンサルタント事務所を開設し、相談、コンサルティング、執筆活動等を行う。経営労務コンサルタント・社会保険労務士

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