1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. “要介護2の母”と暮らす50代娘→「介護保険を使えば自己負担は1割」サービス内容を増やすが…翌月、届いた“請求額”を見て絶句

“要介護2の母”と暮らす50代娘→「介護保険を使えば自己負担は1割」サービス内容を増やすが…翌月、届いた“請求額”を見て絶句

  • 2026.10.30
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで介護費用と家計の相談を数多く受けてきた柴田です。

「介護保険を使えば、自己負担は1割」。この理解は正しいのですが、1割で使える「サービスの容量」には上限があります。それを知らずにサービスを増やすと、請求額が一気に跳ね上がります。

今回は、お母さんの在宅介護を始めた50代のAさんのお話です。

「1割なら、もっと使っても大丈夫」という甘い認識

Aさん(50代女性)は、要介護2のお母さんと二人暮らしです。

最初はデイサービスを週2回と、訪問介護を週2回利用していました。介護保険の自己負担は1割で、毎月の請求は9,000円ほど。「思ったより安い」というのが正直な感想だったそうです。

ところがお母さんの足腰が弱り、Aさん自身も仕事との両立に限界を感じるようになりました。「1割で使えるなら、もっと増やそう」と、ケアマネジャーに頼んでデイサービスを週5回に、訪問介護を週3回に増やし、月に4日のショートステイも加えました。

翌月に届いた請求書の金額は、約4万3,000円。「そ、そんな…。1割負担のはずなのに、5倍近くになっている…。」。Aさんは請求書を持って、相談に来られました。

要介護度ごとに「1割で使える上限」がある

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

相談を受けて、私はAさんと一緒にサービスの利用票を確認しました。

介護保険の在宅サービスには、要介護度ごとに「区分支給限度基準額」という上限があります。この範囲内なら自己負担は1〜3割ですが、上限を超えた分は介護保険が使えず、全額が自己負担です。

上限は「単位」で決められていて、要介護2なら1か月19,705単位。1単位はおおむね10円(地域によって少し異なります)なので、約19万7,000円分のサービスまでが1割負担で使えます。

Aさんのお母さんの利用票を私が計算してみると、増やしたあとの利用量は約2万2,000単位。上限を約2,300単位、金額にして約2万3,000円分超えていました。この超えた分が全額自己負担になり、上限内の1割負担約1万9,700円と合わせて、約4万3,000円の請求になっていたのです。

「高額介護サービス費」では戻らない点に注意

「自己負担が高くなったら、戻ってくる制度があると聞きました」とAさんは言います。たしかに介護保険には、1か月の自己負担が一定額を超えた分が払い戻される「高額介護サービス費」があります。一般的な所得の世帯なら、上限は月4万4,400円です。

ただし、この制度の対象になるのは、介護保険を使った「1〜3割の自己負担」の部分だけです。限度額を超えて全額自己負担になった分は、そもそも介護保険のサービス費ではないため、いくら払っても対象になりません。Aさんの場合、1割負担の部分は約1万9,700円で上限に届かず、超過分の約2万3,000円は制度の外。結果として、払い戻しはゼロでした。

※上記の請求額は介護サービス費のみの試算であり、ショートステイ利用時の食費や滞在費(全額自己負担の実費)は別途かかります

ケアマネジャーに「残り」を聞く

Aさんが限度額を超えたのは、ケアマネジャーが黙っていたからではありません。サービスを増やす相談のたびに「限度額を少し超えますが、よろしいですか」という確認はあったそうです。ただ、Aさんは「1割負担なら少し超えても大したことはない」と受け止めていました。

限度額を超える部分は、1割ではなく10割です。同じ1回のデイサービスでも、上限の内側なら約800円、外側なら約8,000円かかる計算になります。サービスを増やすときは、ケアマネジャーに「今月の限度額の残りはどれくらいか」「この追加で超過分はいくらになるか」を、金額で確認しておくことが大切です。

なお、お母さんの状態が実際に重くなっているなら、要介護度の区分変更を申請する方法もあります。要介護3になれば上限は27,048単位に上がり、負担を軽減できるはずです。要介護度が上がるとサービス1回あたりの単位数も少し上がりますが、今のサービス量なら限度額の範囲に収まる見込みです。

まとめ

Aさんはケアマネジャーと相談し、ショートステイを月2日に減らして限度額の範囲に収めつつ、お母さんの区分変更を申請することにしました。「1割という言葉だけで、上限があるとは考えもしませんでした」と話していました。

介護保険は「1割で何でも使える制度」ではなく、「決められた量まで1割で使える制度」です。サービスを増やす前に、残りの枠と超えた場合の金額を、必ず確かめてください。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ