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年金で暮らす70代女性→「確定申告はもう関係ない」“医療費45万円”を放置していたが…妹から告げられた事実に「そうなの?!」

  • 2026.10.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで年金生活者の家計相談を受けてきた柴田です。

「年金暮らしになったら、確定申告はもう関係ない」。そう思っている方は多く、実際に申告をしなくてよい制度もあります。ただし「しなくてよい」と「しないほうがよい」は、まったく別の話です。

今回は、ご主人の入院費を申告せずにいた70代のAさんのお話です。

「申告不要」と聞いてから、一度も申告していない

Aさん(70代女性)は、ご主人と二人の年金暮らしです。ご主人の年金は年約280万円、Aさんの年金は年約90万円。会社員時代は年末調整で済んでいたため、確定申告をした経験はほとんどありません。

退職後に税務署の案内で「年金収入が400万円以下なら確定申告は不要」と知ってからは、毎年何もしてきませんでした。

ところが昨年、ご主人が心臓の病気で手術と入院をし、高額療養費などで戻った分を除いても、1年間の医療費は夫婦合わせて約45万円になりました。それでも「年金生活だから申告はいらない」と思い込んでいたAさんに、妹さんがひと言。「お姉さん、それ、税金が戻るはずよ」。

「えっ、そうなの?!」Aさんは驚きました。

「申告不要」は「申告してはいけない」ではない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

相談に来られたAさんに、私は制度の仕組みを説明しました。

公的年金の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下なら、所得税の確定申告をしなくてよい「確定申告不要制度」があります。ご主人もAさんも、この条件に当てはまります。

ただし、これはあくまで「しなくてもよい」という制度です。医療費控除や、年金から天引きされていない国民健康保険料・介護保険料、生命保険料や地震保険料の控除などは、申告して初めて税金の計算に反映されます。申告しなければ、払い過ぎた税金は戻ってきません。

ポイントは、ご主人の年金から所得税が源泉徴収されている点です。一定額以上の年金からは、あらかじめ所得税が差し引かれています。この引かれた税金が、申告によって戻る原資になります。

夫婦の医療費は、税金を払っている夫でまとめて申告

私が計算してみると、ご主人の年金からは、昨年1年間で約1万2,000円の所得税が源泉徴収されていました。

医療費控除は、生計を同じくする家族の医療費を合算し、10万円を超えた分が控除の対象です。ただし所得の合計が200万円未満の人は、10万円ではなく所得の5%を超えた分になります。ご主人の所得は、年金約280万円から公的年金等控除110万円を引いた170万円なので、基準は8万5,000円です。昨年の45万円なら、36万5,000円が控除されます。ご主人の年金から各種の控除を差し引いた課税所得は20万円台なので、この控除で所得税はゼロになります。

さらに見逃せないのが住民税です。医療費控除を申告すると、その内容は市区町村にも届き、昨年の所得をもとに計算される今年度の住民税も計算し直されます。Aさん夫婦の場合、約3万6,500円の軽減です。所得税と合わせると、約4万8,500円が戻る、または軽くなる計算になりました。

還付申告は5年さかのぼれる

「申告の時期はとっくに過ぎているのに、今からでも間に合うんですか」とAさんは驚いていました。

税金が戻る申告(還付申告)は、その年の翌年1月1日から5年間できます。昨年分はもちろん、過去に医療費がかさんだ年があれば、5年前の分までさかのぼって申告できます。確定申告の時期(2月16日〜3月15日)に関係なく、いつでも提出できるのも、還付申告の特徴です。

申告書を作るときは、年金の源泉徴収票の金額を書き写すので、手元に用意しておきましょう(税務署に出す必要はありません)。医療費は、領収書をもとに『医療費控除の明細書』を作って申告書に添えます。加入している医療保険から届く「医療費のお知らせ」があれば、領収書を1枚ずつ集める手間が省けます。

まとめ

Aさんは妹さんに手伝ってもらい、昨年分の還付申告を済ませました。「申告しなくていいと言われて、しないほうが楽だと思い込んでいました」と話していました。

年金生活でも、医療費がかさんだ年や、年金から引かれていない保険料を払った年は、申告すれば税金が戻ることがあります。「申告不要」の文字を見ても、「申告したら戻るものはないか」と一度立ち止まってみてください。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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