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孤独を好む男子高校生に、クラスメイトの女子生徒が弟子入り!? 人づきあいが苦手なふたりが紡ぐ、奇妙な師弟関係から始まる青春ストーリー【書評】

  • 2026.10.17

【漫画】本編を読む

『ちなしと師匠』(Fuki/KADOKAWA)は、人付き合いが苦手な高校生のふたりが、なぜか「師匠と弟子」という奇妙な関係を築いていく青春ストーリーである。友達の作り方がわからない不器用なふたりが、少しずつ距離を縮めていく姿が微笑ましく、そしてどこか胸を締めつけられる作品だ。

上土師匠人(かみはじたくと)は、人と群れることを嫌い、ひとりで過ごすことを好む男子高校生。そんな彼がある日、同じクラスの女子生徒・白瀬ちなしから突然呼び出される。何を言われるのかと思っていると、彼女の口から飛び出したのは、「師匠って呼んでいいですか?」という予想だにしない言葉だった。もちろん匠人は拒否するのだが、そこで諦めるちなしではなかった。勝手に匠人を「師匠」と呼び慕い、弟子として彼について回るようになる。人を避けてきた匠人にとって、そんな彼女の存在はまさに人生最大級の厄介事だった。それでも、ちなしのマイペースな「弟子ムーブ」に振り回されるうちに、ひとりだった匠人の日常が少しずつ変わっていく。

「友達」ではなく「師弟」という関係からふたりの交流が始まるのが斬新だ。誰かと仲良くなりたいと思っても、どう声をかければいいのかわからない。どのくらい近づけばいいのかもわからない。そんな不器用さを抱えるふたりにとって、「師匠」と「弟子」というのは、人とつながるためのちょうどいい関係に見えてくる。

当初はちなしを鬱陶しく思っていた匠人と、拒まれてもめげずについていくちなし。ふたりのやり取りに思わず笑ってしまう一方で、それぞれが抱える孤独や、人との関係に対する戸惑いが垣間見えてくる。恋愛とも友情とも少し違う、名前のつけにくい関係がそこにある。

友情というものは「友達になろう」と決めた瞬間にできるものではない。くだらない話をしたり、一緒に過ごしたり、ときには相手に振り回されたりしながら、気づけば互いが大切な存在になっていて成立するものだ。孤独だったふたりの関係はどんな変化を見せていくのか。不器用すぎる青春に目が離せない。

文=富野安彦

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