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天真爛漫な女性と、強面だけど世話焼きな元ヤン男性。自然体のふたりの空気に癒やされる、ほっこりラブコメディ『メンチ切って、恋。』【書評】

  • 2026.10.27

【漫画】本編を読む

『メンチ切って、恋。』(なも/KADOKAWA)は、強面で誤解されがちな元ヤン男性と、天真爛漫な女性との恋を描いたラブコメディ。一見すると正反対なふたりが、何気ない日常を重ねながら少しずつ距離を縮めていく、じれったくて読み心地のいいラブストーリーだ。

東京で新生活を始めた駆け出し漫画家の女性・溝裡伊咲(みぞうちいさき)は、カフェで鋭い目つきの強面男性・丹場飛世鷹(たんばひよたか)と出会い、彼に興味を持った伊咲は絵のモデルになってほしいと声をかける。その場限りの出会いになるはずだったが、ひょんなことからふたりの縁は続いていくことに。まっすぐに感情を伝え、ぐいぐいと距離を縮めてくる伊咲。一方の飛世鷹は、その強面から周りに怖がられたり、誤解されたりしがちなのだが、実は面倒見が良いために伊咲に振り回されながらもなんだかんだと世話を焼いてしまう。

本作の魅力は、そんな凸凹なふたりの恋が劇的な出来事によって一気に進むのではなく、日常の小さな積み重ねによって育っていくところにある。第2巻でも、一緒に引っ越し祝いの食事をしたり、本を貸し借りしたり。そんななんてことのないやり取りが繰り返されながら、「また会う理由」がひとつずつ積み重なっていくたびに、ふたりの間に流れる空気が少しずつ変わっていく。さらに、飛世鷹の後輩や彼の昔を知る人物も登場し、伊咲はこれまで知らなかった飛世鷹の一面にも触れていく。

体調を崩した伊咲を、飛世鷹が放っておけずに助ける場面も印象的だ。「弱ってる奴、放っとくほど薄情じゃねぇぞ」と言いながら世話を焼く飛世鷹。本人にとっては特別なことではないのかもしれないし、それはまだ「恋」と呼ぶには少し早いのかもしれない。しかし、彼の優しさを素直に受け取る伊咲と過ごすうちに、飛世鷹の心にも少しずつ変化が芽生えていく。

駆け引きや嫉妬といったハラハラするような展開はなく、自然体でいるふたりの関係が読んでいてほっこりと癒やされる本作。この先どんな関係になっていくのか最後まで見守っていきたい作品だ。

文=おおぞら木馬

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