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〈小田原移住〉東京から小田原にきて、変わったこと #暮らしの選択肢

  • 2026.5.26

今回お話を伺ったのは、2021年1月に東京都小金井市から小田原へ移住された、きまま暮らしのパレットさん。長女の出産を機に、広々とした平屋の古民家に住みたいと思ったのが、移住のきっかけでした。現在は、家族も増え、夫と3人の娘と、小田原に暮らしています。移動や買い物など生活においては不便なことも多い地方暮らし。けれどパレットさんは「東京にいた頃よりも、圧倒的に楽になった」と話します。なぜそのように感じるのでしょうか。気まま暮らしのパレットさんの #暮らしの選択肢に迫ります。

〈移住者プロフィール〉きまま暮らしのパレット

Webデザイナー。「自然を感じながら日々の暮らしを豊かにしたい」そんな想いで、2021年1月に、海と山に囲まれた街、小田原へ移住。夫と3人の娘(6歳、3歳、1歳)と築57年の古民家暮らし。YouTube: @kimama_palette

アレルギー体質の子どものことを考えて、自然豊かな場所にある古民家で暮らしたい

神奈川県の南西部に位置する歴史ある城下町・宿場町、小田原。戦国時代は北条氏の本拠地として栄え、現在は箱根の玄関口としても有名。海、山、川などの大自然に恵まれ、かまぼこや干物などの名産品、小田原城など観光地としても人気の街だ。

そんな小田原へ移住したのは、きまま暮らしのパレットさん。家族構成は、東京に通勤する夫、Webデザイナーとしてリモートワークをするきまま暮らしのパレットさん、そして3人の娘(6歳、3歳、1歳)の5人家族。小田原に移住したのは、2021年1月。長女が1歳半の時だった。

「以前は、夫と私の仕事の便を優先して、東京の小金井に住んでいました。東京の中でも、緑豊かなで静かな街で気に入っていたのですが、長女が誕生してから、3人では少し窮屈な環境だったんです。ユニークな造りの物件で、玄関である1階に上がるのにまず階段がある。そして、居住スペースの2階に上る、という造りでした。ベビーカーをあげないといけないのがしんどかったですし、子供フレンドリーな家ではなかったんです。それで、もっと大きい平屋建てに引っ越そうという話になり、家を探し始めました」

長女は生まれた時からアレルギー体質だったこともあり、空気の質の向上やストレス軽減のために自然豊かな場所を求め、地方で家探しをするのは自然な流れだった。一方で、夫は東京への出勤がマスト。そのため、特にエリアにこだわらず、通勤時間2時間以内の場所に絞って、西東京、神奈川県、千葉県、埼玉県の4都道府県で家を探しはじめた。そんな中、出会ったのが現在の住まいとなった小田原にある築57年の古民家だった。「古民家」というのも、きまま暮らしのパレットさんたちがこだわったポイントだった。

 

きまま暮らしのパレットさん一家が、古民家に憧れるようになったのは、小金井に住んでいた頃に、足繁く通っていた「江戸東京たてもの園」の影響が強いという。「江戸東京たてもの園」は、江戸時代から昭和初期までの歴史的建造物30棟を移築・復元した野外博物館で、茅葺屋根の古民家や農家、当時の商店などが立ち並び、建物内部の見学や囲炉裏体験を通じて当時の暮らしを体感することができる。

「縁側があって、井戸があって、というような造りにすごく憧れたんです。それに、子供が小さいうちは、平屋の方が安心だろうなというのもリアルに感じましたね。ちょうど私たちが家を探しはじめた時は、古民家ブームのようなものもあり、古民家特集を組んでいるようなサイトも多くありました。その中から、ランダムに色々な場所に足を運び、今の家にたどり着きました。この家だったら、きっと面白いことができるだろうな直感的に感じましたね」

住まいとなったのは、昔ながらの造りを基調としたシンプルな古民家。古民家ブームに乗っかって、おしゃれな内装、凝った造りにリノベーションされた物件も多い中で、「せっかく住むなら自分たちの手で変えていきたい」そんな想いもあった。また、井戸があり、きれいな水の近くで暮らせることも嬉しかった。加えて、母屋の他に、離れ部屋があったということ。仕事と生活を分けることもできる。

そして、2021年1月、気まま暮らしのパレットさんの小田原での暮らしがスタートした。

小田原に来てから、自分らしくいられるようになった

小田原に暮らしはじめて5年。長女に続いて、次女、そして三女が生まれ、家族が増えた。娘たちの成長に伴い、きまま暮らしのパレットさんのライフスタイルも日々刻々と変化している。また、暮らしの変化だけではなく、内面の変化も著しかった。

「社会の価値観に囚われなくなったのは大きいと思います。例えば「35歳で、持ち家、一軒家」といったような、キャッチコピーってあるじゃないですか。そういった社会の基準のようなものを、自分の欲しいものじゃないのに、自分の欲しいものとして錯覚していたような気がします。小田原に来て、そういうのがなくなりましたね。こちらに住んだからということもあると思いますし、それに長女に続いて、こちらに来てから更に2回出産したというのもあるかもしれないです。出産の度に、内省するという作業をしてきたので。だから、余計なものがそぎ落とされたなって思うんですよね」

加えて、人の数がまばらというところも影響しているのかもしれない。人が集中的に集まっている東京では、街を歩いているだけで、たくさんの情報に晒される。だから、いとも簡単に、他人の価値観に引っ張られてしまうことも。一方で、小田原では閑散としている上に、行く場所も限られている。しかも西湘エリアには自分たちと同じような価値観や考え方を持っているコミュニティがいくつかあり、ありのままの自分を受け止めてくれる環境がある。

結果として、東京にいた頃よりも、今の方が、より素の自分に近くなったと感じる、ときまま暮らしのパレットさんは話す。

「虚勢を張る必要もないし。自分のやりたい、という気持ちで動ける。本当、最高ですね」

そんな彼女が、小田原の暮らしで心がけているのが、スローな時間を過ごすこと。長女と次女を小学校、保育園に送った後には、ゆっくりコーヒーを入れるようにしたり、夫と相談して、月に一度それぞれの一人時間を設けるようにもしていると言う。

 

「小田原という土地柄、温泉も近くにあって、私は温泉に入りにいきます。夫は、もっぱらサウナですね。最近気づいたんですけど、常に5人一緒じゃないといけないわけじゃないなって思うようになったんです」

そう思うようになったのは、娘たちを通して知り合ったコミュニティーの存在が大きい。自分一人で子供たちと向き合うより、みんなで助け合って社会全体で子育てしていけばいいということが分かってから、子育てに対しての肩の荷が降りた。

不便なことも多い地方での暮らしだからこそ、みんなで手と手を取り合って、生きていく。

もちろん、地方暮らしだからこその悩みがないわけでもない。中には、移住前に想像していたことと反対だったこともあったという。

>> 後編へつづく

桑子麻衣子

1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。

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