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【24㎡】ロンドンの歴史的建築をリノベした、2人暮らしの小さなフラット

  • 2026.5.12
Tom Bird

1936年築のアールデコ様式のアパートメントにほれ込んだ2人。広さは24㎡。多くの本や服が収まり、友人を呼んでのディナーもできる部屋にどうやって生まれ変わらせたのだろうか。『エル・デコ』4月号より。

Tom Bird

ロンドンの街並みを一望できる歴史的建築の9階、24㎡のワンルームで2人暮らしをしているのは、共にアーティストとして活動するジョナサン・バルドックとラファル・ザイコ。長い間他の人とのシェアハウス生活をしてきた2人は、友人が所有していた、1936年築のアールデコ様式のアパートメントに住めるチャンスが舞い込んできた時、「長年の夢がかなった」と感じた。

「住み始めてしばらくたったタイミングで部屋が売りに出されることになって、だったら自分たちで買ってしまおうと決めたんです」。購入を機に「学生のような散らかった部屋での暮らし」を卒業して、大人らしい居心地の良い暮らしを求め、建築事務所インターベンション・アーキテクチャに部屋のリノベーションを依頼した。

<写真>イギリスの人気テレビシリーズ『名探偵ポワロ』の撮影地としても名高い、歴史あるアールデコ建築の建物。2人が暮らす部屋は、建物正面のユニットに対して後方に配置されたかつて使用人の控室だった場所だ。

Tom Bird

省スペースのアイデア満載、フレキシブルな部屋

「出した条件は、たくさん持っている本と服を収納できること、ちゃんと料理ができるキッチンにすること、そして窓からの眺めを遮らないことでした」。建築は歴史的重要建造物に指定されているため大幅な改修は許されない。制限のある中、インターベンション・アーキテクチャは無駄なスペースを一切つくらず、2人が出した全てのリクエストに応えることに成功した。

<写真>ダイニングテーブルとチェアのセットは簡単にフラットにして収納できるようにデザインされており、最大4人までゲストを呼ぶことが可能になった。

Tom Bird

「メインのスペースはニュートラルにして落ち着きのある空間に。逆にキッチンはブルー、バスルームはブラッシュピンクにすることで僕らの作品にも通じる、プレイフルな要素を取り入れてもらいました」。

<写真>ベッドを壁面に収納した状態。本棚やベッド脇の照明置き場はアールデコ建築に合わせたアーチ形にデザインされ、歴史的建築物への敬意を表している。ブークレ生地を張ったソファにはキャスターが付いているので、移動も楽々。ソファはデイベッドとしても使える。

Tom Bird

しかし、施工時には困難にも遭遇した。「壁面収納や造作家具など、全てが完全にオーダーメイドでサイズがぴったりにできていないと空間にフィットしないので、作業が長引いてしまいました。1カ月で終わると思っていた工事が最終的に1年もかかってしまいました」

<写真>2人一緒に立つのがやっとというコンパクトなキッチンだが、冷蔵庫とオーブン、食洗機を設置することに成功。ゴミ箱は表に出ないように、組み込み式にした。

AIKO YANAGIDA

実用的なデザインで人が集える空間へ変化

そんな苦労を経て完成した家は、たっぷりの収納や壁面収納式のベッド、フラットにして簡単に収納できるダイニングテーブルとチェアのセットなど、小さな空間を最大限に活用できるさまざまなアイデアが詰まっている。リノベーションをしたことで、ゲストを呼びディナーパーティーを開くこともできるようになった。

<写真>壁面収納式ベッドの使用時はキャスター付きのソファで支え、ベッド周りのスペースを確保。ベッドが収納されている壁の奥にも本を収納できる棚と読書灯が備え付けられている。

Tom Bird

「もちろん、もっとスペースがあったら……と願うことも多々ありますし、いつかはペットとも暮らしたいと思っています。でも今のところは、この小さなフラットでの生活にとても満足しています」

<写真>小さなデスクエリアも設けた。デスク下にぴったりと収納できる、キャスター付きのローチェア自体も収納になっている。デスクの天板が昇降式になっているなど、ディテールまで緻密にこだわった設計で、限られたスペースを最大限活用。

AIKO YANAGIDA

快適に生まれ変わった小空間は、クリエイティブな2人のライフスタイルに寄り添う、ホームとなった。

<写真>ティータイムを楽しむオーナーのラファル・ザイコ(右)とジョナサン・バルドック(左)。共にアーティストとして活動している。

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建築家が解説、スモールスペースの改修ポイントは?

このアパートメントの改修を手掛けた、建築事務所インターベンション・アーキテクチャのアンナ・パーカーに部屋の改修ポイントとこだわりのディテールを聞いた。

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改修前。24㎡という狭さに加え、窓が一面にしかないことが最大の課題だったと語るパーカー。「窓の位置は家具の配置だけでなく、自然光をいかに最大限取り入れるかという点に大きく影響します」

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木製のシャッターをオリジナルで製作

窓には既存の布カーテンではなく、木製のシャッターを選んだ。「単一の素材による連続した面をつくり出したいと考え、主要な建具と同じ素材で特注のシャッターを設計しました。空間のトーンが統一され、落ち着きも生まれます」

Tom Bird

カラーをうまく使って印象を刷新

水栓やタオルウォーマーは動かすことができず、プランには制約も多かった。「1色で空間全体を包む手法『カラー・ドレンチ』を採用。ブラッシュピンクは、建物が建てられた当時のアールデコ様式へのオマージュでもあります」とパーカー。

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特注の収納で物の定位置を決める

「物の散乱を防げるよう、全ての物が入る収納を製作。あらゆる物が整理され、常に定位置にある状態をつくり出しました」とパーカー。既存の床材は建具に合わせて、マットホワイトオイルで仕上げた。

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一つの空間が寝室からリビングへ

使わない時は壁面に収納できるベッドを製作。「ベッドを壁面収納式にしました。これにより、寝室からリビングやダイニングへと簡単に用途を切り替えることが可能になります。狭小空間において『変更可能なデザイン』は不可欠です」

Photo:AIKO YANAGIDA, TOM BIRD Text:AIKO YANAGIDA

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『エル・デコ』2026年4月号



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