1. トップ
  2. レシピ
  3. 強盗傷害で少年院へ…元犯罪少年が寄り添う「寂しい子どもたちを減らす」駄菓子バー

強盗傷害で少年院へ…元犯罪少年が寄り添う「寂しい子どもたちを減らす」駄菓子バー

  • 2025.9.7

強盗傷害の非行で少年院に収容された元犯罪少年らが、『駄菓子BAR』という、ちょっと変わった店を開いています。

連載「じぶんごとニュース」

子どもたちが集う場所

札幌・白石区菊水の住宅街に、放課後、子どもたちが集まってくる店があります。

店の中には懐かしさを感じる駄菓子がたくさん並んでいます。

Sitakke

会計が済むと、子どもたちは駄菓子を手に、店の奥にあるカウンターへ移動。
テーブルのコーラは、店のサービスです。

「この駄菓子が、コーラに合うんですよ」

うれしそうに、まるで、一日の憂さを晴らすかのような子どもたちの姿。
大人も顔負けです。

Sitakke

そんな子どもたちが集う駄菓子店を切り盛りするのは、27歳の松田裕輝さんと、その弟たちです。

札幌・白石区菊水にある店の名前は『ネイムレス』。
駄菓子店を兼ねたBarという、ちょっと変わった店です。

「この辺が、母子家庭や父子家庭が多い地区ということがあって…、治安が悪いとみられがちな菊水を、子どもと大人がコミュニティを図れる場として、昼は駄菓子屋さん、夜はバーという形でやっています」

「なんであんなことを…」

Sitakke

松田裕輝さんは、少年法でいう元“犯罪少年”です。
かつて自らが起こした路上強盗の現場で、事件を振り返ります。

「うーん、なんであんなことをやってしまったのか…というのはあります。被害者の方に申し訳ない気持ち…、申し訳ないで済むような話ではなかったんですけれど」

今から10年前、17歳だった松田さんは、仲間3人と通行人の男性を襲い、5000円ほどを奪って逃走。
被害者は、ろっ骨を折る大けがをしました。
そして事件の半年後、松田さんは逮捕されます。

「捕まったときは、『人生終わった』と思いましたね。そのときは、被害者のことを考えるよりかは、“自分がこれからどうなるんだろう…”ということしか頭になかったです」

1年あまりの少年院の生活。
社会に戻ったあとも、すぐには立ち直れませんでした。

Sitakke

「少年院から出てきたあとも、まともな人間ではなかったんですけれど…。当時、目の前に覚せい剤とかがあったら、恐らくやっていたんじゃないかなって…」

“寂しい子どもたちを減らしたい”独自のシステムも

Sitakke

松田裕輝さんは5人兄弟の二男。
両親の離婚で、母子家庭で育ち、いつもお腹を空かせていたといいます。

「小さいころ、お金が無かったのでおやつを食べることができなかったんです。梅干しとか海苔とか、味噌とか紅ショウガとか…冷蔵庫にあるものをひたすら漁って食べていました」

だからこそ、松田さんの駄菓子店には、独自のシステムがあります。

拾った“松ぼっくり”を5つ持ってくると“1ぼっくり紙幣”と交換。
そして、“1ぼっくり”で、駄菓子1つと交換できるのです。

Sitakke

“お金がなくても、子どもたちは楽しめる―”。

そんな松田さんの思いが込められています。

「目標は寂しい子どもたちを減らしていこう、いいコミュニケーションを取れるお兄さんたちでいられたらいいな…と思っています」

本業は父の姿を追って

Sitakke

駄菓子店兼Barを営む松田さんの本業は、内装業です。
仕事を始めるきっかけは、2024年に亡くなった父の姿でした。

「父親が内装をやっていて、14・15歳のときに手伝いをしていたんですよ。カッコいいと思って、建築系の高校に入学したんですけれど…」

松田さんのもとで働く人の中には、高校を中退した若者もいます。

話し相手の選択肢を増やす

Sitakke

この日、松田さんが訪ねた先は、駄菓子の問屋。月に一度の仕入れです。

「焼き肉、かば焼き…子どもたちは意外と甘いものではなくて、しょっぱいものが好き。“酒飲み”みたいな…」

今回の仕入れは約4万円分。
駄菓子店の経営は、ほぼ松田さんの持ち出しです。

子どもの居場所を作る意義について、少年非行など、犯罪社会学を研究する摂南大学犯罪社会学の竹中祐二准教授は、話し相手の選択肢が増える大切さを話します。

Sitakke

「子どもにとって、親や学校や友だちではない繋がり・選択肢、『話し相手が増える』ということが、まず望ましい。時には自身の経験がきっかけになって、時には駄菓子屋Barとしての立場がきっかけになって、子どもが『この人の話なら聞いてもいいかな』って思える存在になっているところがポイント」

自分が死ぬか、人を殺すか…

実は、松田さんの人生に、大きな影響を与えた事件があります。
高校時代に知り合った女性が、2歳の娘に十分な食事を与えず、衰弱死させたのです。

「ああいう風に関わっていた人が、まさかこんなことになるなんて…と思ったんですよね」

「このままだと自分が死ぬか、他人を殺すかもしれないと思った時期はありましたね。自分がもっと変わっていかなきゃと思いましたし、誰かのお手本になったり、誰かを助けになったりするような人間になりたいな…と」

きょうも子どもたちが

Sitakke

松田裕輝さんと弟たちが営む駄菓子Bar『ネイムレス』に、この日も、子どもたちが連れ立ってやって来ました。

孤独や孤立の予防線は、人とのつながり―。
遠回りしてきたからこそ、松田さんは、その大切さを誰よりも知っています。

過去に起こした犯罪と向き合い、反省を未来へ

摂南大学の竹中准教授によりますと、犯罪社会学には“学習理論”という考え方があります。

「人の行動は、暴力が当たり前の環境で育てば非行や犯罪に走ってしまうことがある一方、誰かが良いお手本となることで、良い行動を学び直すことができる」という考えです。

Sitakke

松田さんは、自身の経験から駄菓子Barを通じて子どもに寄り添おうとしています。
子ども食堂という存在もとても注目されていますが、そうした気兼ねなく子どもたちが立ち寄れる場所は、現代で、より求められているのかもしれません。

過去の犯罪としっかり向き合って、その反省を未来へ活かそうと、松田さんはいま、その途中に立っているのではないでしょうか。

今後、松田さんは“巨大迷路”を作る夢があるとのこと。
「壁にぶつかっても、諦めずに進めば、道が見つかる」ことを伝えたいと話しています。

連載「じぶんごとニュース」

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年7月5日)の情報に基づきます。

元記事で読む
の記事をもっとみる