1. トップ
  2. エピソード
  3. 「空いてるレジに来ただけだろ」列を無視して割り込んだ男性客。だが、新しい精算機の前で立ちつくした瞬間

「空いてるレジに来ただけだろ」列を無視して割り込んだ男性客。だが、新しい精算機の前で立ちつくした瞬間

  • 2026.10.19
「空いてるレジに来ただけだろ」列を無視して割り込んだ男性客。だが、新しい精算機の前で立ちつくした瞬間

横から入ってきた男性

もうずいぶん前、私がコンビニでアルバイトをしていたころの話です。

お店には、お客様自身が機械にお金を入れて支払う、新しいレジが導入されたばかりでした。

ある日の夕方、同僚が担当するレジには、仕事帰りのお客様が何人も並んでいました。

そこで私は隣のレジを開け、列に向かって声をかけました。

「次にお待ちのお客様、こちらへどうぞ」

ところが、その直後です。

列に並んでいなかった男性が、横からさっと入ってきました。

男性は缶コーヒーとおにぎりをカウンターに置き、ちらりと腕時計を見ました。急いでいる様子でした。

そこへ、列の先頭で待っていた男性客もやってきました。

「あの、すみません。こちらに並んでいたんですけど…」

すると、割り込んだ男性は面倒くさそうに答えました。

「空いてるレジに来ただけだろ」

その言い方に、私も思わず言葉に詰まりました。

先に並んでいた男性客は、それ以上何も言わず、同僚が担当するレジの列へ戻っていきました。

私はどう対応すればいいのか迷いながら、カウンターに置かれた商品を読み取りました。

新しい精算機の前で止まった手

商品の読み取りが終わると、私は横にある精算機を指さしました。

「お支払いは、こちらの機械でお願いします」

男性は舌打ちをして、機械と私を交互に見ました。

私が画面の案内を示して説明しようとすると、男性の顔が赤くなっていきました。

「なんで俺がこんな面倒なことしなきゃならないんだ!」

大きな声に、列のお客様が一斉にこちらを振り向きました。

私はもう一度説明しようとしましたが、男性は話を聞かず、画面をあちこち押し始めました。

お札を差し込んでも、すぐに戻ってきてしまいます。

小銭の投入口も見つからないようで、男性の手は機械の前を行ったり来たりしていました。

「おい、これ壊れてるんじゃないのか!」

「お札はまっすぐ入れていただけますか?」

「うるさい!分かってるよ!」

男性はますます苛立った様子でした。

その間にも、隣のレジでは同僚が次々とお客様の会計を済ませていました。

やがて、先ほど割り込まれた男性客も買い物袋を受け取り、出口へ向かって歩いてきました。

私のレジのそばを通りかかったとき、その男性客は軽く会釈をして、ひと言。

「お先に」

割り込んだ男性は、小銭を握ったまま、その背中を見つめていました。

自動ドアが閉まっても、まだ支払いは終わっていません。

しばらくして、男性は私から目をそらし、小さな声で言いました。

「……最初から、教えてくれ」

私は画面の案内をひとつずつ指さし、操作の手順を説明しました。

今度は男性も黙って説明を聞き、ようやく支払いを済ませました。そして誰とも目を合わせずに、店を出ていきました。

ふと隣を見ると、同僚のレジにできていた列は、すっかりなくなっていました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ