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「これだと困るんですよ」エレベーターのボタンを全部押す子どもを注意しない父親。だが、見かねた住人が明かした事情

  • 2026.11.8
「これだと困るんですよ」エレベーターのボタンを全部押す子どもを注意しない父親。だが、見かねた住人が明かした事情

夜になると響く上の階の足音

僕が住んでいる賃貸マンションの上の階には、小さな子どもがいる家族が暮らしています。

困っていたのは、夜になると天井から聞こえてくる足音でした。

子どもが走り回っているようなドンドンという音が続き、布団に入ってからもなかなか眠れない日がありました。

ある日、思いきって上の階を訪ねました。

「すみません。夜になると足音がかなり響くので、少し気をつけていただけませんか」

出てきた父親は、笑いながら答えました。

「ああ、すみませんね。子どもって、どうしても走っちゃうんですよ」

その日はそれ以上言えずに帰りましたが、足音は変わりませんでした。

しばらくして、もう一度お願いに行くと、今度は迷惑そうな顔をされました。

「またですか。家の中でずっとじっとしてろっていうのも、無理でしょう」

そう言われ、話はそこで終わってしまいました。

実は、気になっていたことがもう一つありました。

エレベーターで一緒になったとき、子どもが降りる予定のない階のボタンまで押してしまうのです。

父親もそばにいるのですが、特に注意する様子はありませんでした。

管理会社にも相談しましたが、「上の方にはお伝えしておきますので」と言われるばかりで、状況は変わりませんでした。

エレベーターで聞いた住人の一言

そんなある朝のことです。

エレベーターを待っていると、上から降りてきた扉が開きました。

中には例の父親と子ども、それに同じマンションに住むおばあさんが乗っていました。

僕が乗り込んで扉が閉まると、子どもが操作盤に手を伸ばしました。

そして、下の階のボタンを次々に押していったのです。

父親はその様子を見ていましたが、止めようとはしません。

「元気だな」

そう言って笑っていました。

次の階で扉が開きましたが、誰も乗ってきません。

扉が閉まると、おばあさんが父親に声をかけました。

「あの、ちょっといいですか。これだと困るんですよ」

父親は少し驚いた様子で、おばあさんを見ました。

「私、病院のバスに乗るんです。こうして何度も止まると、遅れそうになってしまって」

おばあさんは穏やかな口調のまま、続けました。

「元気なのはいいことですよ。でも、エレベーターはみんなで使うものですから。使わない階のボタンは押さないように、お父さんが教えてあげてくださいね」

父親は何も言い返しませんでした。

一度僕のほうを見てから、子どもの手をそっと握りました。

僕も以前から同じことで困っていたので、おばあさんの言葉には思わずうなずいてしまいました。

その後、僕が親子と乗り合わせたときに、子どもが全部の階のボタンを押すことはなくなりました。

夜の足音も、少しずつ静かになっていきました。

先日も親子とエレベーターで一緒になりました。父親は子どもの手を握り、降りる階のボタンだけを押していました。

一緒に乗っていたおばあさんに、父親が小さく頭を下げる姿も見ました。

僕が何度お願いしても変わらなかったことが、あの朝を境に少しずつ変わっていったのです。

おばあさんが声をかけてくれたことを、今でもありがたく思っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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