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老人ホームで「もう勘弁して」1週間入浴を拒む女性利用者…服を脱いだ瞬間、介護士が知った『隠された事情』

  • 2026.11.8
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

有料老人ホームで暮らす女性利用者様。

普段は身の回りのことをご自身でされる方でしたが、入浴の声をかけると断られることが続いていました。スタッフが時間帯を変えるなど工夫しても、なかなか入浴にはつながりません。

そんなある日、入浴の準備を進めるなかで、ご本人が抱えていた事情を知ることになりました。

何度声をかけても入浴を断られて

有料老人ホームで働いていたときの出来事です。

身の回りのことはほとんどご自身でされている女性利用者様がいらっしゃいました。

施設では週2回の入浴日が設けられていましたが、その女性は1週間ほど入浴をされていませんでした。

入浴の有無にかかわらず、事前に血圧などのバイタルサインを測定していましたが、数値や体調に目立った変化は見られませんでした。

その日の入浴担当のスタッフ3人が交代で声をかけ、ほかの利用者様が少ない時間帯にお誘いするなど、工夫を重ねていました。

しかし、入浴を断られる日が続き、最後にはうんざりしたようなご様子で、こう仰いました。

「何度も入らないと言ってる。もう勘弁して。」

その言葉を聞き、それ以上無理にお誘いすることはできませんでした。

入浴されない日には、温かいタオルをお渡ししてご自身で身体を拭いていただいたり、部分浴を行い対応していました。

なぜこれほど入浴をためらわれるのか、理由は分からないままでした。

入浴の準備中に気づいたこと

そんなある日、利用者様が入浴の声かけに応じてくださいました。

「1週間くらい入っていないから、1番最後のお風呂をいただけるかしら?」

そう仰る女性の表情には、何か言いたいことがあるような様子が見受けられました。

浴室へ来られ入浴の準備を進めるなかで、服を脱がれた際に、下着を身につけていないことに気づきました。

さらに、着替え用の下着は傷んでおり、確認できたのは予備を含めて2枚だけでした。着替えが十分に用意されていないことも分かりました。

これまで入浴を断られていたことと、何か関係があるのだろうか。

そう思い、お話を伺いました。

すると、利用者様は申し訳なさそうなご様子で、こう仰いました。

「娘夫婦も普段仕事で忙しいから。服を買ってと頼むのも気が引けて……」

「傷んだ下着をみなさんに見られるのが恥ずかしくてね」

その言葉を聞いて、ようやく入浴をためらわれていた理由が分かりました。

ご本人が気にされていたのは、入浴そのものではなく、下着のことだったのです。

言い出せなかった事情

その日は予備の下着で対応し、その後、ご家族に不足している衣類の購入をお願いしました。

普段から身の回りのことをご自身でされる方だったため、スタッフが衣類の状態を確認する機会は限られていました。

季節の変わり目の衣替えのタイミングで声を掛けていましたが、「大丈夫よ」と仰ることもあり、衣類すべてを確認するには至っていませんでした。

今回も、実際に入浴の準備をするまで、下着のことで困っていらっしゃるとは気づきませんでした。

「娘夫婦も普段仕事で忙しいから。服を買ってと頼むのも気が引けて……」

利用者様のその言葉が、今も印象に残っています。

身の回りのことをご自身でされる方だからこそ、周囲が気づきにくい困りごともあるのだと感じました。

ご本人が言葉にしにくい事情にも目を向け、必要に応じてご家族へつなぐことも、介護士の大切な役割なのだと改めて感じた出来事でした。


文:しまむら けいこ/介護福祉士・Webライター

介護福祉士として10年以上、デイサービスや入所施設などさまざまな介護現場で経験を積む。現在はWebライターとしての活動を中心に、介護の仕事にも携わっている。介護や暮らし、働き方について発信している。2児を育てるワーキングマザー。


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