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【医師が解説】この秋バテ、温暖化のせい? 季節の変わり目におすすめ新・セルフケア法

  • 2026.9.19
Malte Mueller / Getty Images

2026年夏は、東海地方で40℃超えの酷暑日が連続5日間、西日本では7月中・下旬の平均気温が統計開始以来の最高値を更新。さらに、8月は台風発生が10個を記録……。こうした過酷ともいえる夏の気温や気候は、わたしたちの心身にも影響を与えたはず。

「天候や気温差による不調」を対象疾患として掲げている、東京女子医科大学附属東洋医学研究所の陣内厚子先生は、「患者さんのなかには“特に何もしていないけれど、疲れます”と受診される方もいますが、その通りなのです。身体は、外界との温度差から体温を保つ調整のため、絶えず、エネルギーを使っています。気候の変化に体調を振り回されている患者さんが増えてきていることを実感しています」と説明。

これまでに経験したことのないような長い夏や重苦しいような高い湿度、台風や豪雨の頻発などによって、わたしたちの心身もまた経験したことのないようなリスクにさらされているのだ。

9月から11月までの3カ月予報では、全国的に平年より気温が高くなる見込み。ここでは、陣内先生に、温暖化傾向や気候の変化から、自分の心身をどう守り、ケアをしたらいいのかをASK!

これまでのような四季の感覚のままでは、体調管理は不十分。常識をアップデートして。


専門家の紹介:陣内厚子
日本内科学会認定 総合内科専門医、日本東洋医学会認定 漢方専門医・指導医

この頃、耳にするようになった「秋バテ」って?


Hanafujikan / Getty Images



秋バテは、だるい、ねむい、疲れが取れない、やる気が出ないなどの症状が残暑から秋にかけて起きること。「秋バテは正式な医学用語ではありません。猛暑・酷暑による夏バテで身体が弱り自律神経が乱れやすくなっているところに、秋になっても残暑が続くことで、体力が保てなくなります。一時的な気温の低下や日中の寒暖差も出てきて、身体がついていけずいっそう体調を崩しやすくなり、秋バテへ。夏バテと秋バテの境目もはっきりしないような傾向が見られます」(陣内先生)

夏の猛暑・酷暑、台風や豪雨から身体はどんな影響を受けている?

FrankRamspott / Getty Images

陣内先生は夏~秋に受ける身体のダメージの大きな要因として、「冷房のつけっぱなしによる冷え」「台風(豪雨)前後の気圧変動」「多湿」の三つを指摘。

熱中症を避けるため、夏から秋の半ばころまではほぼ一日中、エアコンの中。自分では温度をコントロールできない、オフィスや交通機関での冷え過ぎに心地悪さを感じた女性も多いだろう。

「もちろん、暑いときには冷房をつけないわけにはいきませんが、その一方で冷えを訴える女性の患者さんが多いのです。さらに重要なのは、冷えに伴う症状が増えることです。頭痛、体の痛み、腹はり、肩こり、だるさ、むくみ、胃腸の不調などの症状が挙げられます」(陣内先生)

今夏、8月の1カ月で台風は10個発生し、60年ぶりの発生数だった。千葉県や石川県・富山県、福井県などで記録的な豪雨が発生したが、9月に入ってもレベル5相当の大雨は続く。
「台風や豪雨前後の気圧の変化が体調に影響を及ぼします。台風の2~3日前に、頭痛やめまい、だるさ、嘔気(おうき)などの症状を訴える女性が多く見られます」(陣内先生)

東日本と西日本では気温や天候に極端な差があったものの、見落とせないのが湿度の高さ。ゲリラ豪雨も相次ぎ、高湿度のために重苦しさや不快感を覚えた人も。
「かつては、秋は乾燥の季節でしたが、近年は秋まで多湿の時期が続いています。暑さが気にならなくても湿度が高いと汗が蒸発できず、熱中症のリスクが高まります。女性の場合は特に、ほてりやすくなり、うまく体温調整ができにくくなります」(陣内先生)

地域によっては熱帯夜も多かった。1976年からの10年間と去年までの10年間で熱帯夜の平均日数が、東京都心で1.6倍、仙台市の場合は24.4倍という報告も(NHKが気象庁のデータをもとに分析)。慢性的な睡眠不足も無視できない。
「熱帯夜は睡眠がとぎれとぎれになってしまい、良質な睡眠が得られずバテやすくなっています。十分な休息や睡眠がとれないままだと、本来、持っている体力まで回復することができず、疲労が蓄積していきます」(陣内先生)

気温や気候の変化の影響を特に女性は受けやすい?



picture alliance / Getty Images



「女性はプレ更年期から更年期に向かって、エストロゲンの分泌量がゆらぎながら減っていきます。このエストロゲンの分泌の乱れが、自律神経の乱れにつながります。睡眠不足や疲労、胃腸不良など体力が落ちている状態では、自律神経がさらに乱れやすいです。また、日ごとの気温差や朝晩と日中の温度差なども自律神経に影響を与えます」(陣内先生)

つまり、特に女性は女性ホルモンの影響下で「秋バテ」の悪循環に陥りやすいということ。プレ更年期や更年期のほてり、ホットフラッシュの症状や冷えの状態がより強く表れ、もはや、気温や湿度のせいなのか、更年期のせいなのか……自分でも分かりづらく、気持ちもイライラモヤモヤ。

「さらに、筋肉量の少ない女性の場合は冷えやすい傾向があります。筋肉は水分を多く含む一方、熱をつくる組織でもあるからです」(陣内先生)

秋バテした身体のまま、冬を迎えるのが不安……

3カ月予報では、2026年も11月くらいまで平年より暖かい。そうなると、寒い冬にいきなり突入することになり、冷え性や自律神経を乱しやすい女性にはかなり堪えそう。
「冷房のために内臓が冷えきっている人が多く、本格的な寒さに対応できないことが懸念されます。夏から秋にかけての胃腸不調が改善していないまま冬を迎えたり、精神的には暑い時期のイライラからだんだん鬱々(うつうつ)としたりする傾向があります」(陣内先生)

9月後半からはじめたい新・セルフケア法


いま、できることは、冬を迎える前にコンディションを整えておくこと。秋バテを引きずらないための、新・セルフケアを陣内先生がアドバイス!

Malte Mueller / Getty Images

いったん冷房を切ってみよう
秋に入っても湿度が高い状態が続いているとなかなかエアコンを切りにくいが、いったん切ってみて身体の調子を確認。除湿機能を利用するのも◎ 後述する入浴・衣類・食事で体を冷やさない工夫も忘れずに。

シャワーではなく入浴を
夏のシャワー習慣を切り替えて、バスタブにつかろう。長かった夏のために脱水傾向も見られるため、サウナや高い温度の入浴は避けたい。のぼせが残っている場合は、熱すぎないお湯での半身浴から。秋から冬にかけて見られる、鬱々(うつうつ)とした気分にはアロマを活用してリラックスを。

夏より30分~1時間早くベッドへ
夏の睡眠不足を早めにリカバリーし、冬に向けて体力を備えたい。夜の睡眠で補うことが理想だけれど、それが難しい場合は日中の“ちょこちょこ寝”でもGOOD!

入浴後の3分ストレッチから運動習慣をスタート
夏の間、冷房下にいることが多かった人は、外に出て体を動かしたり、深呼吸をしたりしてリラックスすることを習慣に。ただ、湿度の高い日は無理をしないこと。ストレッチ、早歩きの散歩、軽い筋トレ、ヨガなど体をゆっくり伸ばすような運動がおすすめ。大きな関節のある部分、肩・股関節・足首などをしっかり動かすと周囲の筋肉も動いて血流アップにつながる。運動に対して敷居が高いと感じる人は、入浴後の3分ストレッチからスタート。

夏の胃腸不良の回復に努めよう
消化に優しい炭水化物(米)の温食を基本に、夏の胃腸不良の回復を。食べ過ぎ、冷やし過ぎを避け、特に女性はショウガ、ナツメ、イモ類、根菜、卵、赤身の魚、薬味(辛み)を積極的に。

服装で、首元・手首・足首・腹・腰を温める
女性はまず、腹・腰を守って。ハラマキや5本指ソックス、スカーフのほか、カイロや火の出ないおきゅうなどもおすすめ。

温暖化を生きるわたしたちが、健康を守るための4つの新常識

1. 服装はつねに温度調整をしやすい「重ね着」に
これまで季節ごとにしてきたクローゼットの入れ替えはせず、冷房や暖房、急な気温変化に服装で対応できる準備を。ストールの常備や重ね着が有効。

2.体調管理のために、「気圧」「湿度」「体重」をチェック

気圧アプリを活用して、気圧の変動と自身の体調のパターンを把握。熱中症をはじめ湿度による不調を避けるために、つねに湿度もチェック。体重の確認は、自身の水分代謝の状態を知るために有用。1日で1kg程度変動する場合は、体内に水分が滞ったことによるむくみの可能性もある。冷えや活動量の低下がむくみの原因につながるので、生活を振り返ってみて。

3.夏を迎える前に体調を万全に
1年を通して、運動習慣で筋肉量を保つなど冷房に負けない体づくりを意識して。特に、夏前のダイエットや過労・疲労は避けること。

4.「温かい食事」が基本

暑い屋外や身体がほてっている場合は、一時的に熱を冷ますための冷飲食は可。ただし、大量には取らないように。それ以外の場合は、常温や温飲食を心がけよう。特に、冷房下では、温かい食事を。


監修/陣内厚子

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日本内科学会認定 総合内科専門医、日本東洋医学会認定 漢方専門医・指導医/生家が漢方専門薬局を営み、幼い頃から漢方薬を服用して育つ。東京女子医科大学附属東洋医学研究所クリニックにて漢方を学び、漢方内科外来を行う。現在は当クリニックの非常勤講師、その他関東圏内複数の総合病院・クリニックで漢方内科を担当。医師、薬剤師、鍼灸師、学生(医学部生・薬学部生・鍼灸学校生)向けの漢方講座を毎年実施。

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