1. トップ
  2. エピソード
  3. 「おい、弁当の卵焼きが倒れただろうが、入れ方が雑だ」弁当の向きに怒った客。直後、客が見せた行動に戸惑ったワケ

「おい、弁当の卵焼きが倒れただろうが、入れ方が雑だ」弁当の向きに怒った客。直後、客が見せた行動に戸惑ったワケ

  • 2026.9.3
「おい、弁当の卵焼きが倒れただろうが、入れ方が雑だ」弁当の向きに怒った客。直後、客が見せた行動に戸惑ったワケ

いつもどおり、平らに置いたはずでした

学生のころ、スーパーのレジでアルバイトをしていました。夕方になると弁当や総菜を買うお客様が増え、レジにも長い列ができます。

商品をかごへ移すときは、重いものを下に、つぶれやすいものを上に置くよう教わっていました。弁当も傾かないよう、できるだけ平らな場所へ置きます。

その日も、私は会計を済ませた弁当をかごのいちばん上へ置きました。

すると、お客様が突然声を上げました。

「おい、弁当の卵焼きが倒れただろうが、入れ方が雑だ」

思わず手が止まりました。

透明なふた越しに見ると、たしかに卵焼きが一つだけ横を向いています。ただ、それが私がかごへ置いたときに動いたのか、それ以前からだったのかは分かりません。

「申し訳ありません」

反射的に頭を下げると、お客様は弁当を指さしました。

「せっかくきれいに入ってたのに。これじゃ嫌だろ」

少し驚きましたが、言い返しても仕方ありません。

「新しいものとお取り替えしますので、少々お待ちいただけますか」

近くのスタッフを呼ぼうとすると、お客様は少し黙ったあと、首を振りました。

「……もういいわ。そこまでしなくていい」

さっきまで気にしていた弁当なのに

会計を終えると、お客様はかごを持ち上げました。

「袋もいい。自分でやるから」

そう言って袋詰め台へ向かわれたのですが、その足取りはかなり急いでいました。かごを台へ置いたときには、ガタンと大きな音がします。

私は思わず、その背中を目で追いました。

つい先ほどまで卵焼き一つの向きを気にしていたのに、今度はかごそのものが大きく揺れています。その様子が、私にはなんとも不思議に見えました。

もちろん、声をかけることはしませんでした。お客様はそのまま商品を袋へ詰め、店を出ていかれました。

列が途切れたところで、隣のレジにいた先輩が小さな声で言いました。

「びっくりしたね。でも、交換しますって言えたなら大丈夫だよ」

「はい……ちょっと焦りました」

そう返すと、ようやく肩の力が抜けました。

その日から、弁当をかごへ置いたあとは、平らになっているかだけでなく、中身が大きく動いていないかも一度見るようになりました。

自分では丁寧に扱っているつもりでも、お客様が気にするところは人それぞれです。あの日のことは、レジの仕事ではほんの小さな出来事でしたが、相手が何を大事にしているかは見た目だけでは分からないのだと知った出来事でした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ