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一見頼りない駐在警官が心に傷を持つヤンキー女子高校生を変えていく。田舎町を舞台に描かれる、不器用だけど優しいヒューマンドラマ【書評】

  • 2026.6.12

【漫画】本編を読む

『駐在さんとわたし』(尚騎ユウ/ぶんか社)は、田舎町に暮らすヤンキー女子高校生と、都会から赴任してきた駐在警官との出会いを描いたヒューマンドラマである。SNSで反響を呼んだ作品が書籍化された話題作だ。山と国道に挟まれた小さな町を舞台に、不器用な人々の心の変化が紡がれていく。

主人公・うららは、つづみ町で暮らす高校生。気が強く、周囲からはヤンキーとして見られているが、その内側には過去に受けた心の傷から、言葉にできない苛立ちを抱えていた。そんな彼女が新しく赴任してきた駐在・宗介から受けた第一印象は最悪だった。へらへらしていて威厳がなく、町の人から軽く扱われても怒らない。頼りない大人にしか見えなかったのだ。

しかし、本作はそこから大きく展開していく。宗介が見せる優しさは「弱い」からではない。誰かを頭ごなしに押さえつけるのではなく、相手の事情を見つめ、心に寄り添おうとする「強さ」なのだ。彼のまっすぐな言葉や行動に触れていくうちに、うららの凍っていた感情が少しずつ溶け出していく。大人だから完璧ではなく、若者だから未熟でもない。誰もが迷いながら生きていて、だからこそ他者との出会いによって救われる。本作のそんな視線があたたかい。

舞台となる田舎町の様子も印象的だ。人と人との距離が近いために生まれる息苦しさと、それと同時に誰かが見ていてくれる安心感は都市にはない空気を持つ。そんな閉塞感と優しさが同居する風景のなかで、うららと宗介の関係がゆっくり育っていく。

誰かに理解してもらうことや、誰かを信じてみるということが、どれほど人を変えてくれるのかを本作は教えてくれるだろう。そして読後は、どこか頑なだった気持ちや考え方がほぐれているような感覚になるはずだ。

文=座美山佐須郎

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