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【石黒賢さん】「みんなで行くぞ!」っていう現場の感じがたまらなく好き。僕が体育会気質だからかな…舞台『ハムレット』5月9日開幕

  • 2026.5.1

【石黒賢さん】「みんなで行くぞ!」っていう現場の感じがたまらなく好き。僕が体育会気質だからかな…舞台『ハムレット』5月9日開幕

5月9日に開幕する舞台『ハムレット』に出演する石黒賢さん。俳優として長くキャリアを重さねるなか、初出演となる“シェイクスピア作品”に挑む思いとは? 3回にわたってお届けします。

過去の自分をなぞるのは嫌なんです

目じりにやわらかなシワを寄せ、笑みを浮かべる石黒賢さん。その視線の先には、5月に開幕する舞台『ハムレット』で共演する若い俳優たちの姿がある。40年以上のキャリアを持ちながら、石黒さんのたたずまいに先輩風を吹かせるような威圧感はどこにもない。

「俳優という仕事に、キャリアや年齢は関係ないと思っています。何十年やっているベテランだろうと、今日デビューした新人だろうと、舞台の上に立てば皆同じですから」

若手を対等な仲間として尊重するからこそ、彼自身も「ベテラン」という鎧を潔く脱ぎ捨てる。

「長く続けていると、どうしても型が決まってしまったり、過去のやり方を踏襲しようとしてしまうんですよね。でも僕は、過去の自分の芝居をなぞるのは大嫌いだし、それはよくないことだと思っています。だからどんな作品に向き合うときも、『今まで培ってきた技術があるから、今回の作品もその引き出しで』なんて考えたことは一度もないんですよ」

チームプレーに魅せられて

今回の『ハムレット』でも、石黒さんは過去の自分に頼らず、まっさらな状態で仲間たちと作品を創り上げたいという。そのメンバーは、ハムレットを演じる歌舞伎俳優の市川染五郎さん、恋人・オフィーリア役の當真あみさん、そしてシェイクスピアの母・ガートルード役の元宝塚歌劇団花組トップスター・柚香光さんといった、世代もバックボーンもまったく異なる俳優たちだ。

「こういうチームでのものづくりが、大好きなんです」

その思いの原点には、新人時代の体験がある。

「僕は、俳優になりたくてこの世界に入ったわけじゃないんですよ。高校3年生のとき、ひょんなことからドラマに出ることになって。まったくの素人でしたから、現場では『下手!』『もう一回!』と怒鳴られてばっかり(笑)」

それでも現場に通い続けるうちに、少しずつ“この世界のおもしろさ”が見えてきた。

「子どものころからテニスをやっていたんですが、テニスは個人競技。自分ががんばればいい世界です。でも撮影現場は違います。カメラマン、照明さん、音声さん……、みんなでひとつの作品を作るんだと気づいたとき、すごくおもしろいと思いました。自分だけよくてもダメで、相手もよくなきゃダメ。じゃあどうやったら相手をよく見せられるのか。そういう“チームプレー”みたいな感覚が、当時の僕にはたまらなく魅力的でしたね」

先入観も、うんちくもいらない。みんなで向かっていく感じが好き

自分だけが目立つのではなく、相手を活かし、作品全体をよくしていく。現場でそのおもしろさに気づいてからは、役に対するアプローチも少しずつ深まっていった。

「役を作るときに大事にしているのは、その人の“文化的な背景”ですね。どう育って、どんな本を読み、どんな音楽を聴いてきたのか。そういう背景を想像すると、立ち方や声の出し方が自然と変わってくる。神は細部に宿ると言いますが、ディティールを大事にすることは、僕にとってすごく大切なんです」

そうして生まれた芝居が、思いもよらない形で観客の人生に触れることがある。

「演技はテニスみたいにスコアがつくわけでもありません。でも、『あの作品を見て医者になろうと思いました』とか、『何度も見返しています』なんて言われると、『ああ、やってよかったな』と心から思うんです。そうしたことの積み重ねで、だんだん俳優という仕事にはまっていった気がします」

点数という明確な指標がない世界で、仲間とともに人の心を震わせる芝居をつくる。その喜びを知っている石黒さんにとって、世代も経歴も違う座組で挑む今回の『ハムレット』は、たまらなく魅力的な現場なのだ。

「この『ハムレット』を上演する数カ月間、演出家デヴィッド・ルヴォーさんの旗印のもとに、染五郎さんをはじめとする俳優陣が集まって、それぞれの持ち場で全力投球する。『この作品をおもしろくしよう』という想いで、みんなで向かっていく。そこに余計なこだわりや、『俺の経験から言わせてもらうと……』みたいなうんちくはいりません。これから何が生まれるかはわからないけれど、僕は『みんなで行くぞ!』っていう、現場の感じがたまらなく好きなんですよ。僕が体育会気質だからかな。そんなふうに思うのは(笑)」

プロフィール
石黒賢さん 俳優

いしぐろ・けん●1966年、東京都生まれ。
83年、ドラマ「青が散る」で俳優デビュー。以降、数多くのドラマ、映画で活躍。
近年の出演作に、ドラマ「半沢直樹 第2部」「アイシー〜瞬間記憶捜査・柊班〜」、映画『マスカレード・ナイト』『劇場版 おいしい給食 Road to イカメシ』他多数。
2008年からWOWOW「ウィンブルドンテニス」でスペシャルナビゲーターを務め、現地取材や中継で大会の魅力を伝える。
また、海外の子ども向け絵本の翻訳も手がける。

【Information】『ハムレット』

デンマークの王子・ハムレットは、父王の急死と、その直後に母ガートルードが叔父クローディアスと再婚し、彼が王位についたという現実を前に、深い喪失と混乱の中にいた。そんなある夜、父の亡霊が現れ、自分はクローディアスに毒殺されたのだと告げる。衝撃の真実を突きつけられたハムレットは復讐を誓い、狂気を装いながら宮廷の人々の反応を探り始める。疑いと孤独が彼をむしばみ、恋人オフィーリアや友人たちとの関係も次第にねじれていく。やがてハムレットは、芝居を使って叔父の罪を暴こうと試みるが、その一手が思いもよらぬ悲劇の連鎖を呼び起こし……。

作/ウィリアム・シェイクスピア
演出/デヴィッド・ルヴォー
翻訳/松岡和子
出演/市川染五郎、當真あみ、石川凌雅、横山賀三、梶原 善、柚香 光、石黒 賢 他

【東京公演】 2026年5月9日~30日 日生劇場
S席1万4000 円、A席9000 円(いずれも税込)

【大阪公演】 2026年6月5日~14日 SkyシアターMBS
S席1万4000円、A席9000円(いずれも税込)

【愛知公演】2026年6月20日~21日 名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
1万4000円(税込)

舞台『ハムレット』公式サイト https://hamlet2026.jp/

撮影/園田昭彦

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