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“夏のボーナス100万”を受け取った40代男性→『安全資産だから』純金を一括購入するが…数ヶ月後、直面した“想定外の大誤算”

  • 2026.7.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

「金なら安全だと思っていたのに、こんなに値が動くなんて……」そう困惑した表情で話してくれたのは、会社員のAさん(45歳・男性)。

夏のボーナス100万円を、まるごと純金投資に一括で投じたばかりでした。ところが数か月後、その値動きの荒さに、夜も落ち着かない日々を送ることになったのです。

「金=安全」だけで決めてしまった

Aさんが金を選んだ理由は、「株は怖いけれど、金なら昔から価値が変わらない安全資産だと聞いていたから」「初心者の自分に合っているだろう」とのこと。世界情勢が不安定なときには「有事の金」という言葉も耳にするため、まとまったお金の置き場所として安心だと考えたのです。

そのイメージ、よくわかります。金は数千年にわたって価値を保ってきた、信頼の象徴のような存在です。けれど「価値がなくならない」ことと、「日々の値段が動かない」ことは、まったくの別物なのです。ここを混同してしまったのが、Aさんのつまずきの始まりでした。

「安全資産」のはずが、値動きは想像以上

金を買ったあと、Aさんは毎日のように価格をチェックするようになりました。すると、思っていた光景とはまるで違ったのです。

金の価格は、為替や世界経済の動き、各国の金利政策など、さまざまな要因で日々大きく上下します。時期によっては、株式に負けないほど激しく動く局面もあります。「安全資産だから、ゆっくり右肩上がりだろう」と想像していたAさんにとって、一日で数万円単位で評価額が変わる現実は、想定外でした。「安全だと思って買ったのに、株より落ち着かない気がして」とAさんは苦笑いします。

筆者自身も、過去に市場が大きく混乱したときに、金の価格が想像以上に激しく上下に動くのを目の当たりにし、その「値動きの荒さ」を身をもって実感した経験があります。

金は「お金を生まない」資産

金の持つもうひとつの特徴は、金は利息も配当も生まないということ。

預金には利息がつき、株式には配当が出て、保有しているだけで少しずつお金を生んでくれます。ところが金は、持っているだけでは1円も増えません。頼れるのは「買ったときより値上がりするかどうか」という値上がり益だけ。しかも、積立や保管にはコスト(手数料)がかかるため、価格が動かなければ、むしろ少しずつ目減りしていくことさえあるのです。

「ただ持っているだけで安心」という資産ではなく、値上がりを当て込んで初めて意味を持つ。Aさんが思い描いていた「安全な貯金箱」とは、ずいぶん違う性格のものだったわけです。

「安全」ではなく「別の動きをする」資産

ではなぜ、金は「安全資産」と呼ばれるのでしょうか。これは、値動きが小さいという意味ではありません。「価値がゼロになることは考えにくい」「株式や債券などが下がる局面で、逆に買われやすい=違う方向に動きやすい」という性質を指しているのです。

つまり金の本当の役割は、「単体で安全」なのではなく、「ほかの資産と違う値動きをすることで、全体のブレをやわらげる」ところにあります。株も債券も金もすべてが同じタイミングで下がる、という事態を避けるためのクッション。それが金の使いどころなのです。

この視点に立つと、Aさんの失敗が見えてきます。クッションとして資産の一部に組み込むなら有効な金を、「安全だから」という理由でボーナスまるごと一点に集中させてしまった。これでは、ブレをやわらげるどころか「金への集中投資」になってしまい、金の値動きそのものに振り回されてしまいます。

まとめ

資産運用で大切なのは、ひとつの「安全そうなもの」に頼り切るのではなく、性質の違うものを組み合わせて全体のバランスを取ることです。

金は、その分散の一部としては心強い存在です。しかし、「安全だから」とまとまった資金を集中させる対象ではありません。Aさんには、いったん落ち着いて生活費や現金、ほかの資産との配分を見直すことをおすすめしました。

金は決して「悪い資産」ではありません。ただし、「安全な資産」というより、「ほかとは別の動きをする資産」だと理解しておくことが大切です。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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