1. トップ
  2. 住まい
  3. 【50㎡】外への広がりを意識した、パリのヴィンテージ空間

【50㎡】外への広がりを意識した、パリのヴィンテージ空間

  • 2026.5.21
Yannick Labrousse

限られた空間であってもインテリアは諦めない。その手本となるのは、パリのアパルトマンだ。小空間でもオーナーお気に入りのヴィンテージ家具や色彩をたっぷりと詰めた、個性的な住まいを紹介する。『エル・デコ』4月号より。

Yannick Labrousse

パリ北東部に広がる12区は、第2次世界大戦後から現在まで継続的に再開発が進む活気あふれるエリア。ヴァンセンヌの森を筆頭に大きな公園やショッピングモールも複数あり、日常生活の利便性が高いとあってファミリー層に人気。若き建築家エレーヌ・ラコンブが携わった家も、この地区に多い1970年代に建てられた近代建築の一室だった。

<写真>ペールグリーンの革張りのベンチは背面がキッチンの調理台としての役割を兼ねている。セラミックのダイニングテーブルの手前、フィリップ・ジャンが1970年にデザインしたクロム製の椅子がレトロなムードを補完。

Yannick Labrousse

部屋間の動線をつなぎ流動的で開放的な家に

「テラゾーを用いたバルコニーが印象的な建物だったので、同じ素材を室内にも取り入れることでシームレスな家づくりを計画しました」。こう語る彼女は家の中央にあった分厚い壁と各部屋のドアを取り払い、一つのオープンスペースをつくることからプロジェクトを始動させた。

<写真>ダイニングテーブルに密接したミニマムサイズのキッチン。冷蔵庫や食器、調理器具などは左側に設けた棚に隠れるよう、配慮を施した設計に。

QUENTIN SCHWAB

「リビング、キッチンから寝室までの動線をつなぎ、流動的かつ開放的なスイートルームが誕生しました。しかし限られた面積ですから1㎡も無駄にはできません。徹底的に間取りの再配分を熟考しました」

<写真>玄関を開けるとすぐにリビングダイニングに対面する。間取り図の左の浴室や寝室へは、マホガニーのパーテーションと廊下、アーチの入り口がシームレスに各空間をつなぐ。

Yannick Labrousse

ラコンブは家の骨格となるドアや棚、大型家具に対し緻密な計算を重ねて、モダンなレイアウトを描き出した。テーブルや椅子は低めのタイプを選び、棚は通常より高い位置に設計している。中央に空いたスペースを設けることで広く見せる視覚効果を狙ったのだという。また機能とサイズ感を完璧なものにするため、リビングの曲線的なソファや収納棚など多くのアイテムがオーダーメイドで製作された。ここにオーナーの好みのヴィンテージ家具を配置し、懐かしさと新しさの2つのエレメントが混在する空間を生み出した。

<写真>天井から床までのボリュームが目を引くマホガニー材のパーテーション、収納棚にソファと多くが家の間取りに合わせてデザインされた。ガラスブロックのような鏡はパコ・ラバンヌのヴィンテージ。

Yannick Labrousse

家のキャラクターを決定づける要素として、独創的な素材のセレクトも見逃せない。建築家がインスピレーションを得たというバルコニーのテラゾーはリビングと寝室のサイドボードに共通して取り入れられた。またキッチンのバックスプラッシュやカウンタートップには独特な文様の磁器タイルが用いられ、空間を彩っている。ドアやベッドのヘッドボードとして用いたマホガニー材やソファに用いたベロアなど相性の良い素材を併用して相乗効果を高め合う。

<写真>緑や黒、グレーがダイナミックに混じり合った窓際のテラゾーのサイドボードは、オリジナルのバルコニーに使われている床材とそろえている。ウォッシュドリネンの寝具にカシミヤのベッドスロー、マホガニーのヘッドボードと繊細な色合いが調和を見せる。

Yannick Labrousse

こうして50㎡の空間を最大限に拡張した、すがすがしい家が完成した。

<写真>ダイニングからのびる廊下は寝室の入り口のアーチから自然光が差し込み、秘密めいた空間に。壁の奥にドレッシングルームが隠されている。

Photo:YANNICK LABROUSSE Realization:LISA SICIGNANO Original Text:JEAN-CHRISTOPHE CAMUSET Illustration:QUENTIN SCHWAB Text:RITSUKO ABE

Hearst Owned

STYLING IDEA

名作デザインをパウダリーなグリーンやゼブラ柄、テラゾーなどさまざまな要素とミックスさせて懐かしくも新鮮さを感じるスタイリングに。

Hearst Owned

左から順に

ジオ・ポンティのオブジェのような花瓶。“セッテ・トゥービ” ¥235,400/パラッツォ・モルテーニ東京

モノトーンが印象的な「テクタ」のキャビネット。“S41 キャビネット”(W30×D41×H70cm)¥374,000/アクタス

空間に合わせて組み合わせられるモジュラー式。“パラダイム 2シーター ソファ”(W176×D88×H71.5×SH40.5cm)¥462,000~/モンタナファニチャー・ジャパン

Hearst Owned

左から順に

ウール100%のブランケット。“アルヴォ ブランケット”(130×180cm)¥36,300/ラプアン カンクリ表参道

「アトリエマティック」による、鉱石や樹脂のブックエンド。“ブックエンド ベアーM”(W10.5×H15cm)¥89,400/ELLE SHOP

バウハウスを代表する、「ノル」のラウンジチェア。“ブロイヤー コレクション ワシリーラウンジチェア”(W79×D69×
H73×SH42cm)¥574,200/マーケット

Hearst Owned

左から順に

スチールとゼブラ柄の合わせがアイコニック。“プティ・ロン・チェア”(W45×D48.5×H85×SH47.5cm)¥165, 000/フラマ

建築用ガラスブロックから着想を得た照明。“チャント ポータブルランプ”(W12.6×D12.6×H14cm)¥83,600/ELLE SHOP

「cc-タピス」より、パトリシア・ウルキオラが手掛けたアートなラグ。“リップル・スクエア” 参考価格¥3,080,000/ダフト アバウト ドラフト

イルマリ・タピオヴァーラのデザインで1950年代のヴィンテージ。“ピルッカ・コーヒーテーブル”(W70×D70×H23cm)¥352,000/ストゥープ

Hearst Owned

『エル・デコ』2026年4月号



元記事で読む
の記事をもっとみる