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パリ取材をしたジャーナリスト・エディターが語る、新生セリーヌの魅力。

  • 2026.4.17

これまでにないほどクリエイティブディレクターの交代が相次いだ2026年春夏。新任者たちは、メゾンの伝統をどのように引き継ぎ、発展させていくのか。パリの街にも似合う新生セリーヌの魅力をパリコレ取材したジャーナリストやエディターが語ります。

CELINEby Michael Riderマイケル・ライダー

カシミアのセーターには、オーバーサイズの「サルキー(二輪馬車)」モチーフ。スカーフの柄、ベルトのバックルやチャームなど、あらゆる箇所にメゾンのアイコンがちりばめられている。セーター¥286,000、チェーン付きのジーンズ¥231,000、サングラス¥77,000、シルクのスカーフ¥86,900、ベルト¥148,500、「トリオンフ」モチーフのベルトチャーム¥37,400(すべて予定価格)/以上セリーヌ(セリーヌ ジャパン)

パリジャンスタイルの独自の解釈

1945年にセリーヌ・ヴィピアナが創業したセリーヌは、現在にいたるまでパリを拠点としており、自信にあふれ、活発で、洗練されていて控えめなパリジャンの姿勢が要となっている。「現代のパリジャンの日常を感じさせる小物使い」(エディター 森田華代)として、自転車用のヘルメットやフラットシューズなどが見られたが、なかでも目立ったのがシルクスカーフ。

「首だけではなく、バッグや、パリジャンにはアナログ派が多いのか手帳に巻き付けたりしていて真似したくなる」(エディター 栗山愛以)。

そして、「ネイビーのルックは襟元や袖にホワイトをのぞかせて斬新なトラッドをプラスしたり、コートの裏地のビビッドな仕掛けがあったり」(フィガロジャポン編集長 森田聖美)とさりげない工夫もポイントだった。ほかにも、黒のライダースとボウブラウスの組み合わせや、コートを手で抱える仕草も「パリの街の空気感をいい具合に演出している」(ジャーナリスト 塚本香)。

ただ、アメリカ出身で、ラルフ ローレンに在籍経験もある新アーティスティック・ディレクター、マイケル・ライダーが表現するのは、オーソドックスなパリジャンではない。「彼が肌で感じたパリの洗練と前職の経験で培ったアメリカンスポーツウエアの実用性が融合されていて、"パリのアメリカ人"たる彼だからこそできた世界観だと思います」(塚本香)。そうしたアメリカンカジュアルの融合により、「ブルジョアジーを表現していても親しみを感じられる」(ジャーナリスト 井上エリー)結果となっている。

プレイフルなアイコン使い

ライダーは、アメリカの馬車彫刻から着想を得た「サルキー(二輪馬車)」モチーフ(1966年)や、凱旋門を取り囲むチェーンを取り入れた「トリオンフ」(72年)といったメゾンのアイコンを印象的に用いている。「レトロなニュアンスを残しつつ、ビビッドな色を使ってモダンに昇華させている」(森田華代)、「ベルトのバックルにしたり、セルジュ・ゲンズブールが愛用していたレペットの"ジジ"を彷彿させるフラットなレースアップシューズにプリントするなど、使うポイントもうまい」(塚本香)、「サイズが極端に大きかったり小さかったりして遊び心がある」(栗山愛以)といったように、新鮮に感じたという意見が多数。「経験豊かなデザイナーだからこそなせる技では」(井上エリー)

アイデアあふれるスタイリング

「意外なアイテムを大胆に使っている」(森田華代)、「シックなパリジャンのイメージとは異なる過剰なほどのアクセサリーの重ね着けを融合させてインパクトを出している」(栗山愛以)、「時間がなくて靴紐をちゃんと結んでいない風で、パンツの裾がはみ出しているような日常感がある。完璧じゃないからかえってシックという見本」(塚本香)と評されるように、細部にまでこだわった着こなしも魅力のひとつ。それは、いまスタイリングが重要性を増していることをマイケル・ライダーが感じ取っているからこそ実践されている。「スタイリングこそすべて、という考え方を前面に出していて、ファッション好きが参考にしたい新たな提案がある」(森田聖美)。

「セリーヌに限らず、いまの時代においてスタイリングはコレクションの完成度を左右する重要な鍵を握っていると感じます」(井上エリー)。「スタイリングで個性を描く時代ということをマイケル・ライダー自身が誰よりも理解している」(塚本香)

多様なシルエット

タイトなトップにペプラムシルエットのスカート、パワフルなショルダーラインのジャケットとハイウエストやスリムなパンツ、エレガントなドレープ、ボリュームのあるアイテムなど、さまざまなシルエットが揃ったが、「イージー・トゥ・ウエアであることがポイント」(森田聖美)。「構築性とリラックス感のバランスが非常に洗練されていると感じました。身体を縛るのではなく、動きや佇まいによって完成するシルエットで、着る人それぞれの個性やライフスタイルを自然に引き立ててくれる印象です」(井上エリー)。「着る人が自分の個性に合わせて自由に選び、自分のバランスで完成させるのがマイケル・ライダーの考えるセリーヌ。オーバーサイズも着ればタイトも好き、ひとりの人のワードローブもひとつのシルエットに限定されていないはず」(塚本香)

問い合わせ先:セリーヌ ジャパン 03-5414-1401 https://www.celine.com/ja-jp/home

*「フィガロジャポン」2026年4月号より抜粋

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