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春のパリを彩る風物詩「ソー・エルメス 2026」。その華麗なる競技会を現地リポート!

  • 2026.5.20
Hearst Owned

今年も世界最高峰のライダーたちが集結し、競技、美意識、クラフツマンシップが交差する「エルメス」主催の国際障害馬術競技会が開幕。幻想的な演出と華やかな社交ムードに包まれた、パリの春の風物詩を現地からお届けします。

大修復を終えたグラン・パレを再び舞台に開催された「ソー・エルメス 2026」。 Hearst Owned

Bonjour! パリに訪れる春の知らせ――それは少しドラマチックです。桜の花びらが舞う代わりに、グラン・パレに蹄音(ひづめおと)が響くのです。いまやパリの春の風物詩となった「ソー・エルメス(Saut Hermès)」が、3月に開催されました。

Madeleine Bergsjo @ Hermès 2026

今年で第16回を迎える「エルメス」主催のこの国際障害馬術競技会は、スポーツイベントという言葉だけでは語りきれません。メゾンの原点である馬具工房の精神、卓越したサヴォアフェール、そして人と馬が築く信頼関係の美しさを、現代のパリで体験させてくれる文化の祭典。今年の会場には、3日間のために120頭の競技馬、22頭のポニー、そして1550トンもの砂が運び込まれました。壮麗なグラン・パレが、一時的に本格的な馬術アリーナへと姿を変える圧倒的なスケールにも、このイベントならではの美学と情熱が宿っています。

全工程を手作業で、一つひとつオーダーメイドで制作される鞍(くら)は、メゾンのサヴォアフェールの起源。会場内では、鞍(くら)職人によるデモンストレーションも行われていました。 Hearst Owned

今年のテーマは、メゾンの年間テーマでもある 「冒険の呼び声(Venture Beyond)」。会場に一歩足を踏み入れた瞬間、まるで未知の惑星へたどり着いたかのように、別世界へと一気に引き込まれます。アリーナだけでなく会場全体にはきめ細かな砂が敷き詰められ、遠い砂漠のオアシスを思わせる幻想的な風景に。

砂で形作った馬の彫刻がゲストをお出迎え。 Hearst Owned

さらに、砂でかたどられた馬の彫刻が姿を現し、競技の舞台でありながら、同時にインスタレーション空間として観客を魅了していたのです。さらに視線を移せば、同時期に発表されたオードトワレ“庭園”シリーズの最新作「珊瑚礁の庭」を想起させる装飾も。

砂漠かビーチか、架空の惑星か。幻想的に演出された飲食スペース。 Hearst Owned

そこには珊瑚(さんご)や水中植物を思わせる有機的なモチーフがちりばめられ、まるで海の底へ迷い込んだかのような感覚をもたらしていました。砂漠と海という二つの風景をひとつの空間に共存させながら、会場が今年のテーマである「冒険の呼び声」を雄弁に語ります。

業界内では“「エルメス」の食事に外れなし”はもはや周知の事実。今回も、その評判を裏切らない絶品ビュッフェが振る舞われました。 Hearst Owned

そんな幻想的な空間で、無限かと思えるほど豊かなレパートリーのビュッフェを堪能しつつ、私の視線は来場者たちの装いへと奪われていました。全身を「エルメス」でスタイリングしたインフルエンサーたちはもちろん、メゾンのアイテムを手持ちのワードローブと軽やかにミックスし、それぞれの個性へと昇華している人々の着こなしも実に印象的でした。

自由に組み合わせたミックス感が素敵なマダム。 Hearst Owned
チャームをネックレスにアレンジする遊び心がすてき! Hearst Owned

個人的に特に惹かれたのは、「エルメス」メンズのシャツを中心にマニッシュなスタイルのパリジェンヌ・マダム。“ヴィクトリア”バッグのチャームの重ねづけも、チャームをネックレスにアレンジする遊び心もすてきで、今すぐにでもまねしたくなっちゃいました。

チェコから来場したファッションエディター。リラックスしたスーツには、横長のスタイルの”バーキン”をセレクト。 Hearst Owned
友人のエディターは全身「ミュウミュウ」のスクールユニフォーム風ルックに、深いグリーンのシックな“ケリー”をプラス。 Hearst Owned

来場者が携える「エルメス」のレアバッグに気を取られつつも、視線はやがて、本題である「ソー・エルメス」の競技へと引き戻されます。その中心にあるのは、国際馬術連盟公認の「CSI5*」。障害飛越競技における最高ランクに位置づけられ、世界トップレベルの騎手と馬たちが3日間にわたり全10競技に挑みます。スピード、精密さ、そして人馬の信頼関係――そのすべてが問われる舞台です。

ヴィブラフォンの繊細な音色に合わせて、文字通り“人馬一体”で踊り、そして最後には、騎手、馬、音楽家たちがひとつの生命体のようにつながっていきました。圧巻のパフォーマンスを前に、観客席では大人も子供も息をのみ、次の瞬間には惜しみない拍手と歓声が沸き起こります。スピードや技術を競う競技とはまた異なる角度から、人と馬が築く信頼関係の美しさを鮮やかに見せてくれるひとときでした。

ポニーのブラッシングを楽しむ子どもたち。 Hearst Owned

この他にも、アクティビティや体験型イベントが盛りだくさん。金曜と土曜には、ヤギたちが全速力で障害を越えていくユーモラスなレース「Caprine Run」が行われ、テーマ「未知への旅」に合わせたVR体験では、来場者がヘルメットを装着し、現実と幻想が交差する世界へ没入します。ファミリー向けのプログラムも充実しており、子どもたちはシェトランドポニーに乗る初めての乗馬体験を楽しみ、ヤギやポニーのブラッシングを学びながら動物たちと触れ合っていました。

長蛇の列を作ったブックショップで大人気だったのは、「エルメス」オリジナルブック。 Hearst Owned
毎年「ソー・エルメス」限定のパッケージデザインで登場する、オードパルファム“パドック” Hearst Owned

また、ゆっくり歩きながら楽しめるエリアでは、馬術文化にまつわる書籍が並ぶブックショップや、「エルメス」の鞍(くら)職人と直接語り合える展示、限定アイテムが並ぶポップアップショップも登場しました。ラグジュアリーとは製品ではなく、技術や文化を共有することだというメゾンの精神が自然に伝わってきます。

Hearst Owned

人と馬が呼吸を合わせて跳ぶ一瞬の美しさ、受け継がれる職人技、そして訪れる人々が思い思いに装い、この時間を分かち合う喜び。スポーツ、アート、社交、文化のすべてが自然に溶け合う3日間は、今年も大盛況のうちに閉幕。そして同時に、グラン・パレに響いた蹄音(ひづめおと)とともに、パリの新しい季節は華やかに幕を開けました。

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