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【森田剛さんインタビュー】「身近な存在を大事にして、感謝する。そこから演じるための力も湧いてくる」

  • 2025.8.25

唯一無二のたたずまいで、多くの難役をものにしてきた森田剛さん。舞台『ヴォイツェック』では、演出家・小川絵梨子さんと初タッグを組み、過去のトラウマを抱えながらも、愛を乞う主人公を演じます。稽古を控え、新たな挑戦に向かう今の心境を伺いました。

自分に負荷をかけて、限界を超えたい

『ヴォイツェック』は、ドイツの劇作家、ゲオルク・ビューヒナーによる未完の戯曲。これまでも時代を超えて演じられてきた名作で、今回は『ハリー・ポッターと呪いの子』などで知られる劇作家、ジャック・ソーンの翻案をもとに、現代的に解釈された『ヴォイツェック』が描かれます。
 
「好きな感じの作品だな、と感じましたね。翻訳ものはどうしても違和感が先に出てしまうけど、その違和感の“楽しみ方”というのもあるはずなんですよね。日本語の会話だと照れくさい言葉が、思い切って言えることもあるし」
 
演じるイギリス人兵士・ヴォイツェックは、幼少期のトラウマや戦時下でのPTSDに苦しみながら、懸命に生きる人物。彼の抱えている不安や恐れは、普遍的なものだと語ります。
 
「誰でも傷ついたり、悩んだりした経験は少なからずあると思うので、そこをどれだけ膨らませられるか。ヴォイツェックの純粋な部分って、どうしても大人になるとなくなってしまったり、霧がかかった感じになってしまったり。でも自分も彼のようにまっすぐで一途な人間でありたいと思うし、そういう役に興味もある。彼の“壊れ方”が鍵になるだろうから、そこを醜くも美しく、生々しく表現したいと思っています」
 
本来は善良な人間である彼が、幻覚とフラッシュバックによって徐々に追い詰められ、破綻していく……。身体的にも精神的にもハードな役どころとなりそうです。
 
「“自分に負荷がかかる役”というのは、ありがたい。大変だけど、やりがいがあるんです。自分ひとりでは無意識のうちにストッパーみたいなものがかかっていて、なかなか外せないから、役を通じてそれを外すことができる気がします。やっぱり演じるときは、自分の想像を超えたいし、それはどの役でも同じ。今までも、演出の方に言われた言葉や共演した人たちに影響を受けて、自分なりに役をやれたという経験があるので。今回も、そういう濃い時間を過ごすのかなと思います」

「はじめまして」は嫌いじゃないんです

演出家の小川絵梨子さんと組むのは、今回が初めて。とはいえ、以前から意識していた存在ではあったそう。
 
「数年前に西尾まりさんと共演したとき、撮影の合間に会話をしていて、『小川さん、合いそう』と言われたんです。そこからずっと気になっていて。単純なので、人に言われると『ああ、そうか』とその気になっちゃうんです(笑)。『台風23号』もそうだったんですよね。演出の赤堀雅秋さんが合うんじゃない? って言われたことがあって、『ああ、合うんだ』と。だから今回、小川さんの名前を聞いたときは『来た!』って感じでした(笑)。大変な作品になると思うので、アイデアを出し合って、小川さんのイメージを役にしっかり落とし込みたいです」
 
キャストは『台風23号』で共演した伊原六花さんを除き、初めての共演する人ばかり。それでも、「はじめまして、は嫌いじゃない」と笑います。
 
「ゼロからのスタートだから猫もかぶれるし、まだなにもバレてないから(笑)。新しい気持ちで始められる楽しみもある。どの作品でも、やっぱり新しい出会いから、『こう考えてるんだ』『こう動くんだ』と発見や刺激があって。相手によって自分も変わるし、自分も相手を変えたいな、と思う。影響を与え合って、役ができていくんだと思います。とくに言葉にして話し合うわけじゃなくても、役として会話ができて、一緒に上っていけるのが理想だと思います」

演じるパワーは、身近なものに感謝する時間で得られる

森田さんはこれまでも舞台で多くの難役に挑み、高い評価を得てきました。その、唯一無二の存在感はどのように生まれるのでしょうか。
 
「舞台は自分に合ってるのかな、と思います。始まったら終わりまでストップしないというスタイルも、目の前にお客さんがいるという空間も、得られる刺激や怖さも。やっぱり、途中でやめられないじゃないですか。他では経験できない緊張感があるので、それは自分に必要だと思っています」
 
続けて、「舞台は演じる人の人間性が出やすい場所だと思う」と森田さん。だからこそ、演じるにはエネルギーが必要となります。
 
「家族がいて、動物がいて、植物がいて。それは当たり前じゃないからこそ、感謝して生きることが大事で。ほかにも大切なことはいっぱいあるけど、そんなにたくさんのことは、俺にはできないから、近くにあるものを大事にして、感謝する。そういう時間から、演じるためのパワーを得られるんです」

森田剛さん主演舞台 パルコ・プロデュース 2025『ヴォイツェック』

冷戦下のベルリン。軍事占領下の緊張が渦巻く街で、イギリス人兵士ヴォイツェック(森田剛)は、幼少期のトラウマとPTSD、そして貧困の記憶に苛まれながら生きていた。薬物投与による幻覚とフラッシュバックが彼の心を蝕み、現実と過去の境界が崩れ始める。愛する人への狂おしいほどの執着と嫉妬が、彼を予想だにしない運命へと導いていく――。

原作:ゲオルク・ビューヒナー
翻案:ジャック・ソーン
翻訳:髙田曜子
上演台本・演出:小川絵梨子
出演:森田剛 伊原六花 伊勢佳世 浜田信也/中上サツキ 須藤瑞己 石井舜 片岡蒼哉/冨家ノリマサ 栗原英雄
日程:
2025年9月23日(火・祝) ~ 28日(日) 東京 東京芸術劇場 プレイハウス
2025年11月7日(金) ~ 16日(日)(リターン公演)東京 東京芸術劇場 プレイハウス
※ほか、岡山、広島、北九州、兵庫、愛知公演あり

ジャケット¥48,800/フルカウント(06-4705-1108)、他スタイリスト私物
撮影/鈴木千佳 スタイリスト/松川 総 ヘアメイク/TAKAI[undercurrent] 取材・文/工藤花衣

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

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