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【高島礼子さんインタビュー】「“この年齢になってからの友情”が、想像以上に心地いい」

  • 2025.8.15

年齢を重ねたからこそ生まれる、人とのつながりの心地よさ。舞台『かたき同志』の開幕を控えた高島礼子さんが、作品への共感や日々の体力づくり、そして“大人の友情”について語ってくれました。

遠慮も駆け引きもないからこそ楽しい、大人の交友関係

大人になるほど、新しい人間関係を築くのは難しくなる——。そんなふうに感じている人は多いかもしれません。けれど高島礼子さんは、意外にも「今のほうが人付き合いはしやすい」と笑います。

「若い頃って、自分のことで精いっぱいで。人のことより、将来への不安のほうが大きかったりするんですよね。傷をなめ合うような関係はあっても、じゃあお互いを高め合えるかというと、意外とそうでないこともあったり。恋愛もあるし、気持ちも揺れやすい。でも今は、ある程度“できあがった”大人同士が、お互いに言いたいことを言って、気づけばまた次の約束をしちゃってる。『この年齢でも友達ってできるんだ!』と、すごく嬉しい感覚です」

最近では、ゴルフ仲間、グルメ仲間、スイーツ仲間……と趣味ごとに新しい交友関係が広がっているそう。

「それぞれの集まりがすごく楽しくて。思い思いに自分の話をして、みんなそれを否定せず、アドバイスせず、ただ『へえ〜』って聞いてくれる。だからすごくラクなんですよね。同世代から20代の子まで年齢も幅広くて、若い子の話は“母親目線”で聞いていることもあります。今こうして友達が増えて、ようやく人生を謳歌してるな、と実感しています」

価値観が違っても、いちいちぶつからずに「そうなんだね」と受け入れられるようになったのも、大人になったからこそ。

「立場が違えば考え方も違って当然。押しつけようなんて気持ちはさらさらないですね。同じ年齢でも、子育て真っ最中の人もいれば、もうお孫さんがいる人もいる。それぞれ違うからこそ、『話を聞いてもらえるだけでありがたい』と思えて、いい関係を築けている気がします」

まさに“今”の自分に重なる、舞台『かたき同志』

まもなく始まる舞台『かたき同志』も、女性同士の関係に焦点をあてた物語。脚本が橋田壽賀子さん、演出が石井ふく子さんという名コンビによる作品で、1985年の初演以来、キャストを変えて何度も上演されてきました。物語の舞台は江戸時代の下町。藤山直美さん演じる飲み屋の女将・かめと、高島さん演じる老舗呉服問屋の女主人・お鶴という、育ちも気質も異なるふたりが、子どもを思うあまり “かたき”となり、やがては友情が芽生えていく……という人情喜劇です。

「この作品にすごく共感したのは、まさに今の私も、新たな友情を感じているから。昔からの友人じゃなくても、深い絆が生まれることもあるんですよね。かめとお鶴のように、最初は衝突があっても、次第に本音でつながっていく。40年前の作品ですが、今でもまったく古さを感じさせないんです」

10年前には、三田佳子さんと藤山さんが演じる『かたき同志』を観ていたという高島さん。当時の印象も鮮明に覚えているそう。

 「まさか自分が演じるとは思ってもいなかったですね。当時、三田さんといえばかっこいい“理想の上司”のような役が多い印象だったから、お鶴のようにいつも酔っ払って、口うるさいお母さん役を演じられることに驚いて。でも、それがすごく素敵だったんです。70代になって新しいイメージの役に挑戦していらっしゃることに、俳優としての希望をもらいました」

演出を手がける石井ふく子さんからは、「これは重労働ですよ、大変ですよ」と、覚悟を促すようなひと言も。実際に、稽古や本番に備えての体力づくりは大きな課題、と言います。

「台詞も多いし、着物で立ったり、座ったり、ときには四つん這いになったり。しかも石井先生の舞台では、立ち上がるときに手を床についたらダメなんですよ。足腰の力でぐっと立たなきゃいけないので、それは大変です。だけど99歳を迎える先生が、今も現場でポジティブにお仕事されているんだから、そんな先生の前で『痛い』『疲れた』なんて言えません。他の先輩方も、いくつになってもハイヒールをはいていたりして、本当にかっこいい! だから将来が怖くないし、私もみなさんと一緒に、死ぬまでこの世界で頑張りたいなって思うんです」

舞台のための体力づくりと、人生を楽しむウォーキング

体力づくりの一環として、最近はウォーキングに力を入れているという高島さん。
 
「以前は舞台の1〜2か月前になってからトレーニングを兼ねて運動を始めていました。でも、そうすると公演中に痩せすぎて、終わった後にリバウンドしてしまう……それを繰り返すのも体によくないから、常に運動しておこう、と。先輩にも『足腰さえ鍛えておけば、どうにかなるから』と言っていただいて。今では散歩が人生の楽しみになっています。歩くだけでなく、途中で電車やバスを乗り継いで遠くまで行くことも。『疲れてどうしようもなくなったら、タクシーで帰ればいいや』と、気負わず、無理をしないことも続けるコツです」
 
映画、ドラマ、バラエティ番組と、多くのジャンルの仕事に取り組んできた高島さんにとっても、舞台は特別な場所。
 
「舞台は映像と違って『編集』できないからこそ、その瞬間に自分のすべてを出し切る覚悟がないとできません。だからこそ、そのときの自分の“精いっぱい”が反映される。今回は喜劇なので、お客さんの反応も楽しみです。どんなにスタッフの方が褒めてくれても、舞台では拍手や笑い声、客席の空気で、届いたかどうかは自分がいちばんよくわかってしまう。それが怖くもあり、ありがたくもあります。今回も、『大阪まで観に行く価値がある』と言ってもらえるように、全力で取り組みたいです」

PROFILE

高島礼子(たかしま・れいこ)
1964年生まれ、神奈川県出身。1988年、ドラマ「暴れん坊将軍Ⅲ」で俳優デビュー。1993年、映画『さまよえる脳髄』でヒロイン役を演じて話題に。その後も映画『陽炎』『極道の妻たち』シリーズなどの人気作に主演。2001年には『長崎ぶらぶら節』で第24回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。主な出演作にドラマ『御宿かわせみ』『天地人』『女系家族』『精霊の守り人』、映画『犬鳴村』『祈り–幻に長崎を想う刻–』、舞台『女たちの忠臣蔵』『春日局』『メイジ・ザ・キャッツアイ』など。

[舞台] 石井ふく子 白寿記念公演『かたき同志』

庶民的な飲み屋、ひさご亭の女将・かめ(藤山直美)は、ひとり息子の清太郎が自慢だった。ところがある日、医者を目指して蘭学塾へ通っていた清太郎が、医者にはならず飲み屋を継ぐと言い出した。一方、呉服問屋、越後屋のお鶴(高島礼子)は、ひとり娘のお袖に旗本の三男坊を婿に迎えたいと願っていたが、お袖は清太郎に思いを寄せていた。ひさご亭に乗り込むお鶴と、息子の勝手さに頭に血が上っているかめは、もともと反発しあう土地者同士のうえ、かわいい息子と娘の問題が重なり、真っ向からの喧嘩になってしまう……。

作:橋田壽賀子
演出:石井ふく子
出演:藤山直美 熊谷真実 金子昇 木戸邑弥 込山榛香 高島礼子
日程
2025年8月30日(土)~9月21日 (日) 大阪 新歌舞伎座

衣装協力/ワイズ(03-5463-1500)、アビステ(03-3401-7124)
 
撮影/久冨健太郎 スタイリング/村井 緑 ヘア/佐々木大輔 メイク/曽我和彦 取材・文/工藤花衣

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

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