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吉田羊さん【インタビュー】「愛されたいと願う孤独な魂。それはきっと私の中にもある」

  • 2026.5.7

愛されたいと願う、孤独な魂。それはきっと、私の中にもあるもの

緑がいっせいに芽吹き、そこかしこに生命力が満ちあふれる、一年でもっとも待ち遠しい季節。
はやる気持ちが、吉田羊さんのこの日の表情を、より明るく輝かせていました。窓の外を眺めながらつぶやいたのは、最近の、こんな発見。

「インスタグラムで流れてきた動画があったんです。ヨーロッパ大陸の北のほうだと思うんですが、緑の多い地域にある家の窓辺に毎朝、名前のわからない野鳥が飛んできて、家主が置いたエサを食べているんです。家主は決して鳥たちとの距離を詰めようとしないので、鳥たちも安心して食べて、また飛んでいく。
そしてきっと、明日もやってくる。こんなことってあるんだなぁ……と思いながら、気がつくと笑顔になっていました。それで思ったんです。『私の人生の最終目的地は、ここなんだ』って」

自然と共存しながら、足るを知り、ささやかな喜びをかみしめて生きる――吉田さんの抱く憧れの将来像に共鳴する同世代は、きっと多いのではないでしょうか。

「自分の周りにあるものを十分だと思い、感謝して暮らす。それがいちばん平和で満ち足りた暮らし方なんだろうな、と。都会ではない別の場所に拠点を持つことも、実は、ずっと考えていることです。でも、決意しなければ、実現しないんですよね。私が決めないと、一生、そうはならないから(笑)。ええ、いつかきっと」

いまは未来に向けて、できることを精いっぱい。まもなく、またひとつ、吉田さんの新しい挑戦が始まります。
今月開幕する舞台『リチャード三世』は、シェイクスピアの歴史劇の中でも繰り返し上演される人気作。

吉田さんが扮するタイトルロールは、15世紀に実在したイングランドの王で、物語では巧みな弁舌と悪魔のような奸智で周囲の人々を騙し、ときには死に至らしめる、悪漢中の悪漢として描かれています。

しかも背骨の曲がった、端正とはほど遠い容姿の人物。2021年上演の『ジュリアス・シーザー』で高潔なローマの指導者を、24年の『ハムレットQ1』では純粋さゆえに苦悩するデンマーク王子を演じた吉田さんにとって、初のヒール役。

しかし、この人物に、演じる前から強いシンパシーを感じているといいます。

「リチャードを悪の道に駆り立てる、その原動力に興味が湧いたんです。悪業は、醜く、誰からも愛されずに育ってきた彼の、己の宿命に対する復讐なのかもしれない。そう内面にフォーカスしていくと、彼が弄する嘘や詭弁は、愛されたいと願って打つ大芝居で、人生を好転させるための武器として身につけたものなんだろうなと……。
卑屈さやコンプレックスは、私の中にも確かにあるものですし、おそらく、ご覧になるお客さまの心の中にも」

誰のことも信じない、曰く「シェイクスピア作品の中で、もっとも孤独な主人公だと思う」リチャード。
その難役に挑む決意も、前2作で得たものがあってのこと。これまでの決断が、吉田さんの「いま」に、確かにつながっています。

「稽古を終える頃は、いつも『ああ、もっとできるんじゃないか』と。まだまだ手応えを得たという境地には至っていないので、今回はぜひそこを目指したいと思っています。
とはいえ、やはり2作品をやり切れたことは少なからず支えになっていますし、演出家やスタッフ、頼もしい共演の方々というパートナーが周りにいてくださる。その胸を借りながら、思いきり楽しんでいきたいと思っています」

memo

― この夏行きたい場所は?
日程が許せば、スペインに行きたいです! まだ行ったことがないのと、完成間近といわれるサグラダ・ファミリアの最後の工事中の姿をぜひ見ておきたくて。

― いま気になっている人は?
俳優のキム・ゴウンさん。Netflixの『告白の代価』でのエモーショナルなお芝居も抑えた演技もとにかく最高! これ以上ないくらいの情熱を感じさせる方です。

― いまハマっているものは?
ヘアメイクさんに教わった「梅大根スープ」。カツオや昆布などの出汁で大きめの梅干しと千切り大根を煮込んだおすましがおいしい! 身体が喜ぶ味ですよ。

YOH YOSHIDA
最近の出演作に映画『遠い山なみの光』『映画ラストマン-FIRST LOVE』、舞台『蒙古が襲来』など。グルメエッセイ『ヒツジメシ』、フォトエッセイ『ヒツジヒツジ』も好評発売中。パルコ・プロデュース2026『リチャード三世』は5/10〜31、東京・PARCO劇場で上演。6月に大阪、愛知、福岡、岩手に巡演。

photograph: Isao Hashinoki[nomadica] styling: Asuka Ishii hair & make-up: Tamae Okano[storm] text: Michiko Otani

大人のおしゃれ手帖2026年4月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

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