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次世代スターがご案内! 歌舞伎のとびら【vol.8 坂東新悟さん】

  • 2026.8.1
©松竹

1990年、当時30代だった十八世中村勘三郎さんと十世坂東三津五郎さんを中心とする一座で始まった、歌舞伎座の八月納涼歌舞伎。今や夏の風物詩となったこの公演への思いを、坂東新悟さんに伺いました。

多くを学んできた大切な公演

納涼歌舞伎が始まったのは、新悟さんが生まれた年でした。

「勘三郎のおじさまや三津五郎のおじさまが、より多くの方に歌舞伎の面白さを伝えたいという思いで立ち上げた大切な公演です。僕が初めて出演したのは12歳ですが、なかなか舞台に出られない学生時代でも夏休みの8月は出演が叶い、多くの経験をさせていただきました。おじさまたちの背中からは、我々若手世代に芸をつないでいこうという熱い思いも感じ、この公演で学んできたことは、自分の大きな財産になっています」

振り返って、特に印象に残っている舞台は、昨年の『野田版 研辰の討たれ』。2001年の納涼歌舞伎で、野田秀樹さんが初めて手がけた歌舞伎作品です。

「小学生の頃に客席で拝見し、衝撃を受けました。初演から勘三郎のおじさまがなさっていた辰次を(中村)勘九郎さんが受け継がれ、世代が一新されるときに自分も参加させていただけたことは本当にありがたく、感慨深さと責任感が合わさったような特別な感情がありました」

『野田版 研辰の討たれ』で演じたきゃぴきゃぴ姉妹の妹おみね。「このお役を初演からなさっていた(中村)扇雀さんが『これまでのやり方を気にせずに、のびのびやって』とおっしゃってくださり、姉役の(中村)七之助さんに負けたくないと思って演じていました(笑)」。 ©松竹

稽古場も活気溢れていたそう。

「お稽古が始まって1週間くらいでほぼできあがっている状態だったのですが、その中で、(松本)幸四郎の兄さんがお茶目にいろんなことを試してみては、野田さんに却下されるという(笑)。その一連のくだりが稽古場のひとつのエンタメのようになっていました。

これまで(中村)扇雀さんがなさっていた、おみねを演じられたことはとても嬉しく、そのやり方を絶対に受け継ぎたい部分と、自分の色を出していきたいという部分があり、役作りも楽しかったです」

人間の怖さと幽霊の怖さ双方が交差する怪談物

今年の納涼歌舞伎では、『怪談 牡丹燈籠』のお国を初役で勤めます。

「欲望の塊のような女性です。とはいえ源次郎への愛は強く、身を持ち崩しても一緒にいたいという一途さは大切にしたいです」

この作品は、中国の怪異小説集を翻案した三遊亭円朝の落語が原作。「数ある怪談物の中でも、人間の怖さが色濃く描かれていますが、それでいて幽霊の怖さもある不思議な作品。3組それぞれのカップルの業が絶妙に絡み合っていく構成も面白く、モダンな雰囲気を感じます」

『怪談 牡丹燈籠』のお国も納涼歌舞伎で扇雀さんが勤めてきた役を受け継ぎます。 撮影=岡本隆史 ©松竹


「今回、各部とも魅力的な演目が並んでいますが、その中で若手世代が揃うのが第一部。ほかの部に負けないように、全力で臨みます! 通常より各部の上演時間が短く、歌舞伎が初めての方にも見やすいと思いますので、各部を見比べて楽しんでいただけましたら嬉しいです」

6月に長女が誕生した新悟さん。初めて抱っこしたときは「泣いちゃいました」と照れ笑い。「自分の道を見つけて、幸せになってくれたら。ただそれだけです。そのために自分もいっそう頑張らないと、と思っています」

案内人こぼれ話

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公演情報

©松竹


第一部は新悟さん出演の『牡丹燈籠』。第二部は昨年逝去した四世片岡亀蔵さんを偲ぶ『らくだ』と女盗賊を描いた『鬼神のお松』。第三部は季節の情景をつづる変化舞踊『舞鶴雪月花』と静謐さの中に情感溢れる地唄舞『雪』『残月』が披露されます。

【歌舞伎座】八月納涼歌舞伎
2026年8月2~26日 ※10・18日は休演
第一部 11時開演、第二部 15時10分開演、第三部 19時開演
第一部/通し狂言『怪談 牡丹燈籠』
第二部/『眠駱駝物語 らくだ』『百千鳥沖津白浪 鬼神のお松』
第三部/『舞鶴雪月花』『雪』『残月』
出演:坂東玉三郎、中村扇雀、坂東彌十郎、松本幸四郎、
中村勘九郎、中村七之助、坂東巳之助、坂東新悟 ほか
●チケットホン松竹 tel. 0570-000-489

坂東新悟さん

PROFILE 1990年12月5日生まれ。坂東彌十郎の長男。祖父は銀幕の大スター坂東好太郎。'95年7月歌舞伎座『景清』の敦盛嫡子保童丸で初代坂東新悟を名乗り初舞台。女方として古典から新作まで幅広く活躍する一方、6月公開の映画『黒牢城』では織田信長を演じ話題を呼んだ。

Realization : NATSUKO OHKI
25ans(ヴァンサンカン)9月号掲載(2026年7月28日発売)

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