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次世代スターがご案内! 歌舞伎へのとびら【vol.2 中村虎之介さん】

  • 2026.1.6
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可憐な娘役から柔らかさのなかに芯の強さをもつ上方の色男まで、幅広い役柄で魅力を放つ中村虎之介さんが、新年の歌舞伎へいざないます。

歌舞伎とお正月

初詣より効果あり⁉ 2026年の干支、馬も登場

“初芝居”が季語になるほど、歌舞伎はお正月の風物詩として親しまれてきました。2026年も六劇場で幕が上がります。

「初詣に行く感覚で来ていただけたら」と虎之介さん。「お正月飾りも華やかで、新しい年の始まりを楽しむのにぴったりです。歌舞伎には曽我十郎・五郎兄弟の仇討ちを題材とした“曽我物”など初春狂言と呼ばれるものや、五穀豊穣、天下泰平を願うご祝儀舞踊の『三番叟』など、縁起物の作品が多くあります。新橋演舞場では『仕初口上』で市川團十郎さんによる“にらみ”があり、これを見ると一年無病息災で過ごせると言われているんです。初詣より効果があるかもしれません!」

2024年1月歌舞伎座での『五人三番叟』。同世代5人が揃った初春らしい華やかな舞台でした。 Hearst Owned


その新橋演舞場で、虎之介さんは曽我物のひとつ『矢の根』の曽我十郎を演じます。背景の富士山、七福神の宝船の絵、おせち料理を列挙する台詞など、お正月らしい祝祭劇です。

「歌舞伎十八番のなかでも特にわかりやすく“ザ・歌舞伎”という作品。荒事の魅力がたっぷりと味わえます。干支の馬も登場するんですよ。十郎を勤めるのは初めてですが、市川新之助さん演じる五郎を支えられるような十郎となれたら」。もう一役が『熊谷陣屋』の源義経。「義経は歌舞伎のいろいろな演目に登場しますが、位が高く、神様のようなお役。義経を守るために悲劇が生まれ、物語が動いていく。なかでも特に『熊谷陣屋』の義経は難しい役だと思います。周りの登場人物の感情が大きく揺れ動くなか、義経が感情を入れ過ぎると格が崩れてしまう。重厚感がないとお芝居に説得力が生まれません。稽古を積み重ねて身についた、芸のさらに先にあるものが義経には必要だと感じます」

七代目尾上菊五郎に教わるという『熊谷陣屋』の義経。「おじさまにいつか習いたいと願っていたので、その機会が巡ってきたと思い、真っ先にご挨拶に伺いました」。 Hearst Owned

虎之介として20年の節目。挑むべきことがたくさんある

歌舞伎俳優の元旦といえば、先輩方への挨拶回りが知られていますが、コロナ禍以降はなくなったそう。

「ただ僕は、1月は大阪公演が多く、ご挨拶回りをあまりしたことがないんです。祖父の誕生日が12月31日でしたから家族で集まりお祝いをして、元旦は祖母(扇千景)お手製のお雑煮を大阪のホテルでいただくというお正月でした。でも、30日まではお稽古があり、2日か3日には初日を迎えるので、お正月といえども普段通りの日々なのです」

虎之介さんはなんと、歌舞伎公演に16カ月連続で出演しています。

「たくさんのいいお役をいただき、ありがたいことです。パンクしそうになるときもあるのですが、そういうときこそギアを一段上げて乗り越えるようにしています」。

1月8日には誕生日を迎え、28歳に。虎之介を名乗って20年となる節目の年。

「20周年フェスをやりたいですね」と笑いつつ、真剣なまなざしに戻ります。「虎之介という名前でまだまだ挑むべきことがたくさんありますし、この名前の格が高められるような、いい役者になっていきたいです」

案内人こぼれ話

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東京ディズニーシーにて、安羅仁とアラジンの対面!
2025年5月大阪松竹座で上演された『千夜一夜譚』の安羅仁(アラジン)を演じた虎之介さん。「公演前にアラジンの世界を満喫しました! 父もディズニー好きで、一緒に行くと頭にミッキーの耳をつけています(笑)」

公演情報

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初春を寿ぐ『操り三番叟』、『仕初口上』、豪快な荒事の『鳴神』『矢の根』、戦乱の悲劇が胸に迫る『熊谷陣屋』、仕掛けも楽しい『児雷也豪傑譚話』、新年の江戸城大奥の場面から始まる大曲『春興鏡獅子』と、多彩な演目が並びます。

【新橋演舞場】初春大歌舞伎
日時:2026年1月3~27日
※8、15、22日は休演
昼の部 11時開演、夜の部 16時15分開演
昼の部/『操り三番叟』、『鳴神』、『熊谷陣屋』、寿初春『仕初口上』市川團十郎「にらみ」相勤め申し候
夜の部/『矢の根』、『児雷也豪傑譚話』、『春興鏡獅子』
出演:市川團十郎、中村雀右衛門、中村扇雀、
市川右團次、市川新之助、市川ぼたん、中村虎之介ほか
●チケットホン松竹 tel.0570-000-489




中村虎之介さん

PROFILE 1998年1月8日生まれ。父は中村扇雀、祖父は四代目坂田藤十郎。2001年11月歌舞伎座『良弁杉由来』の一子光丸で、本名の林虎之介の名で初お目見得。’06年1月歌舞伎座『伽羅先代萩』の千松で、初代中村虎之介を名乗り初舞台。立役と女方を兼ねる花形俳優。


Interview & Text : NATSUKO OHKI
25ans(ヴァンサンカン)1月号掲載(2025年11月28日発売)

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