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電車でくしゃみを続けた私が、降りた駅で気づいたこと

  • 2026.7.27
ハウコレ

「口、押さえた方がいいわよ」と年配の女性に言われた私。その一言の重さを、次の駅でマスクを袋から出して、ようやく思い知りました。

冷たい雨の日、友達と動画を見ていた私は、口元を覆わずにくしゃみを続けていたのです。

動画に夢中で、口元も覆わず

画面の中の芸人が変な顔をするたびに、私と友達は肩を寄せ合って笑いあっていました。2度目、3度目とくしゃみが続いても、動画の面白さの方が勝っていました。周りの乗客が困った顔をしているのは、視界の端でなんとなく感じていましたが、電車を降りればもう2度と会わない人たちです。この電車の中さえやり過ごせば、あとは友達との時間が続くだけでした。

「口、押さえた方がいいわよ」

すぐ近くの席に座っていた年配の女性が、わざわざ立ち上がって私に声をかけてきました。

「口、押さえた方がいいわよ」

うわ、婆さん本当にめんどくさい。せっかく友達と楽しく動画を見ていたところに水を差されたのが、ただただうっとうしくて、私は「はあ?」とだけ返して、また画面に目を戻しました。友達も目を合わせて小さく肩をすくめ、2人でまた動画に集中しようとしました。

リュックから出てきた新品のマスク

4度目のくしゃみをしたあと、隣に立っていた男子高校生が、リュックのポケットから何かを取り出しました。ビニール袋に入ったままの、新品のマスクでした。

「よかったら、これ使ってください」

低くて落ち着いた声で、責めるような響きはまったくありませんでした。差し出された袋を反射的に受け取った瞬間、車内の視線が全部自分に集まっているのがわかって、隣で笑っていた友達も口をつぐみ、私と男子高校生を見比べていました。

そして...

次の駅が近づくと、私は友達に「ごめん、先に降りるね」とだけ言って、逃げるように電車を降りました。ホームのベンチに座ってマスクを袋から出したとき、あの1枚の意味がじわじわ迫ってきました。

年配の女性の注意も、周りの困った顔も、本当は全部わかっていました。ただ動画に夢中なふりをして、見ないふりを決め込んでいただけです。それをあの男子高校生は、責めもせず、注意もせず、ただ1枚のマスクで教えてくれました。

ベンチに座ったまま、私はそのマスクを着けました。次の日から、私は制服のポケットにマスクを1枚、必ず入れて家を出るようになりました。

(10代女性・高校生)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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