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「触らないでください」混み合う電車で隣の一席を荷物でふさぐ女性。困る男性を見た年配の乗客が静かに伝えた一言

  • 2026.9.27
「触らないでください」混み合う電車で隣の一席を荷物でふさぐ女性。困る男性を見た年配の乗客が静かに伝えた一言

空いているように見えた一席に、大きなリュック

去年の冬、仕事帰りに普通電車に乗っていたときのことです。

夕方の車内はそこそこ混んでいて、横長の座席もほとんど埋まっていました。僕はドアの近くでつり革につかまっていました。

途中の駅で、50代くらいの男性が乗ってきました。男性は車内を見回し、ひとつだけ空いているように見える席の前で足を止めました。

けれど、その席には大きめの黒いリュックが置かれていました。

リュックの隣に座っていたのは、20代くらいの女性です。携帯電話の画面を見たまま、リュックの肩ひもに片手をかけていました。

男性が遠慮がちに声をかけました。

「すみません。ここ、座ってもいいですか」

女性は画面から目を上げずに答えました。

「荷物置いてるんで」

男性は一瞬黙りました。ほかに空いている席は見当たりません。

それでも少しためらったあと、もう一度声をかけました。

「あの、荷物をよけてもらえませんか」

「荷物置いてるんで」

また同じ言葉が返ってきました。

男性は困ったようにリュックと女性を見比べます。

「そこ、座席ですよね」

そう言いながら男性がリュックのほうへ視線を向け、少し手を伸ばすと、女性は少し強い声で言いました。

「触らないでください」

男性の手はリュックに触れていませんでした。突然の言葉に、近くにいた人たちも一瞬そちらへ目を向けます。

男性もそれ以上は何も言えない様子でした。僕も気になりながら、つり革を握ったまま見ていることしかできませんでした。

僕の隣から聞こえた、穏やかな一声

そのとき、僕のすぐ隣に立っていた年配の女性が、座席のほうへ顔を向けました。

買い物袋を提げた小柄な女性でした。

責めるような口調ではなく、静かに声をかけます。

「すみません。リュック、膝の上に置けませんか。この時間、立っている人も多いですから」

若い女性は何も答えず、携帯電話を見たままでした。

年配の女性は少し間を置いて、もう一度だけ言いました。

「膝の上なら置けそうですよ」

しばらくすると、若い女性は無言のまま肩ひもを引き寄せ、リュックを膝の上に置きました。

空いた席に、男性がゆっくりと腰を下ろします。

「ありがとう」

男性は若い女性と年配の女性のほうを見て、小さくそう言いました。

若い女性は返事をせず、そのまま携帯電話へ視線を戻しました。

「いえいえ」

年配の女性もそれ以上は何も言わず、再びつり革を握りました。

僕が軽く会釈すると、女性も小さく会釈を返してくれました。少し張りつめていた車内には、やがていつもの夕方の空気が戻っていきました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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