1. トップ
  2. 相反する美が溶け合う。ヴァレンティノがローマで2026年秋冬コレクションを発表

相反する美が溶け合う。ヴァレンティノがローマで2026年秋冬コレクションを発表

  • 2026.3.27

アレッサンドロ・ミケーレによるヴァレンティノが2026年秋冬コレクションをメゾンのルーツであり、ミケーレ自身の出身地でもあるローマで発表しました。会場は、17世紀に建てられたバロック建築を代表する歴史的宮殿、パラッツォ・バルベリーニ。

©Valentino
©Valentino

ゲストはショーに先立ち展示空間を巡り、その後、会場となる大広間へと導かれました。天井には、バロック期を代表する画家ピエトロ・ダ・コルトーナによるフレスコ画「神の摂理の勝利」が広がり、バルベリーニ家の紋章である3匹のミツバチが象徴的に描かれています。壮麗なバロック空間の中で、コレクションの世界観へと自然に引き込まれていきます。

©Valentino

“INTERFERENZE(干渉)”と題された今季、ミケーレが提示するのは相反する要素の共存。

「この “インテルフェレンツェ”コレクションは、規範と逸脱、軽やかさと重厚さ、規則と豊かさ、透明性と不透明性、適合性と逸脱性といったものの衝突するさまを浮き彫りにします。そこから生まれたのは、秩序を讃えると同時にその構造的な脆さを露わにし、自らを超えていく可能性へと開かれたコレクションです」

ショーノートで語られたこの言葉通り、今季のコレクションでは対照的なコードが重なり合い、均衡を保ちながらもどこか繊細なニュアンスを帯びた空気が漂っていました。

©Valentino

ファーストルックは、深くデコルテを開けたダークトーンのシアリングコート。重厚でありながらどこか官能的な佇まいが、今季のムードを提示します。その後も、プリーツやレース、ドレープ、リボンといったメゾンのコードを軸に、アーカイブを思わせるドレスや’80年代の空気をまとったルックが続きました。

©Valentino
©Valentino

エメラルドグリーンのプリーツトップにワイドなサッシュベルトを合わせたルックや、レースのトップスにドラマチックなドレープスカートを重ねたスタイリングなど、’80年代の空気やアーカイブのコードを色濃く反映しながらも、単なる再現にとどまらず、ミケーレのフィルターを通して再構築されていました。

©Valentino
©Valentino

さらに、トップスやアウターの大胆に開いた胸元からレースをのぞかせるスタイリングが繰り返され、センシュアルなニュアンスをさりげなく差し込みます。レースは単なる装飾にとどまらず、トリミングやカットアウトとして用いられ、その上に刺繍を重ねることで奥行きを生み出すなど、職人技が随所に光っていました。

©Valentino
©Valentino

特徴的だったのは、ミケーレらしい装飾性による“ずれ”の演出。存在感のあるジュエリーやヘッドピース、オーバーサイズのサングラスといったスタイリングが、クラシックなシルエットにわずかな違和感を差し込み、均整と逸脱のあいだに独特のバランスを生み出します。

©Valentino

全84ルックにおよぶコレクションのラストを飾ったのは、鮮烈なヴァレンティノレッドのドレス。コレクション全体に通底していた対照的な美学を内包しながらも、ブランドのアイコンカラーによって強く輪郭づけられたその姿は、ミケーレによる新章の現在地を象徴しているかのようでした。

ローマという場所、バロック建築という空間、そしてアーカイブへのまなざし。そこにミケーレの視点が重なり合うことで、秩序と混沌、伝統と逸脱が交差する新たなヴァレンティノ像が浮かび上がりました。

※この記事は2026年3月27日時点の内容です。

元記事で読む
の記事をもっとみる