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「背筋が凍った」憧れのタワマン高層階を購入も…6年後、3人暮らしの30代夫婦がタワマンを手放したワケ

  • 2026.6.16
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出典元:photoAC(画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

マイホーム選びで「子育てしやすい環境」を重視する方は多いのではないでしょうか。

駅直結や駅近といった好立地。充実した共用施設。開放感のある眺望。特にタワーマンションは、共働き世帯にとって魅力的な条件がそろっています。

しかし実際の現場では、入居後に思わぬ不安を抱えるご家庭も少なくありません。

今日ご紹介するのは、利便性と資産価値を重視してタワーマンション高層階を購入した30代ご夫妻の体験談です。理想の子育て環境だと思っていた住まいでしたが、お子さまの成長とともに状況は一変します。

眺望に憧れて購入したはずなのに、やがてベランダを見るたびに不安を感じるように...。高層階ならではの子育ての誤算についてお話しします。

理想の子育て環境だと思って購入したタワーマンション

これは、数年前に市内のタワーマンションを購入したAさんご夫妻の話です。当時、ご夫妻には0歳のお子さまがいました。

購入の決め手になったのは、共働き世帯にとって魅力的な住環境だったことです。

  • 駅直結に近い利便性
  • キッズルーム
  • ゲストルーム
  • 24時間ゴミ出し可能
  • 高層階からの眺望

特に奥様はリビングから見える景色を気に入り「毎日この景色を見ながら子育てできるなんて最高ですね」と笑顔で話されていました。

当時、お子さまはまだ乳児でした。ご夫妻も私も、高層階ならではの子育ての悩みを想像していませんでした。

2歳を過ぎた頃から始まった想定外の行動

状況が変わったのは、お子さまが2歳を過ぎた頃だったそうです。子どもの成長は想像以上に早く、自分で椅子を運べるようになりました。

ある日、奥様が家事をしていると、お子さまがダイニングチェアを窓際まで動かして外を見ていたそうです。その光景を見た瞬間、背筋が凍ったといいます。

さらに成長するにつれ「高いところから見たい」「外を見たい」という好奇心も強くなっていきました。ベランダへ出たがることも増え、柵の近くまで寄ろうとする場面もあったそうです。

もちろん常に保護者が見守っていました。それでも「次は何をするか分からない」という恐怖が消えませんでした。

子どもは大人が思いもしない行動を突然取ります。Aさんは「今まで魅力だった高さが、急に怖く感じるようになりました」と話していました。

転落事故のニュースを見るたびに不安が大きくなった

危機感を抱いたご夫妻は、すぐに転落防止対策に取り組みました。

  • 補助錠の設置
  • チャイルドロックの設置
  • 窓付近の家具移動
  • ベランダの収納ボックス撤去
  • 踏み台になりそうな物の排除

できる限りの対策を行ったそうです。

しかし、不安は簡単には消えませんでした。テレビやインターネットでマンションの転落事故が報じられるたびに「もし我が家だったら…」という思いが頭をよぎるようになったのです。

実際、消費者庁も住宅の窓やベランダからの子どもの転落事故について繰り返し注意喚起を行っています。事故の多くは、保護者が少し目を離した隙や、子どもが椅子や収納ボックスなどを足場にしたことで発生しています。

Aさんご夫妻も「今までできなかったことが、翌月にはできるようになっている。子どもの成長が早すぎて対策が追いつかない感覚でした」と振り返っていました。

眺望に魅力を感じて購入したはずの住まいでしたが、次第に窓やベランダを見るたびに緊張するようになります。

やがて景色を楽しむ時間よりも、窓の鍵や家具の位置を確認する時間の方が長くなっていったそうです。

参考:窓やベランダからの子どもの転落事故に御注意ください!ー網戸に補助錠を付ける、ベランダに台になる物を置かないなどの対策を(消費者庁)

購入から6年後、低層マンションへの住み替えを決断

転機となったのは、お子さまの小学校入学を控えた頃でした。お子さまの行動範囲はさらに広がり、一人で過ごす時間も少しずつ増えていきます。

そのたびにご夫妻は「本当にこのまま高層階で暮らし続けて大丈夫だろうか」と考えるようになったそうです。何度も話し合いを重ねた結果、ご夫妻は住み替えを決断しました。

購入から約6年。売却時には仲介手数料や各種費用も発生します。住宅ローンの返済状況や当時の市場環境もあり、大きな利益が出る売却にはならなかったそうです。

それでもご夫妻は「多少お金がかかっても、不安を抱えながら暮らし続けるより良かった」と話されていました。

現在は低層マンションで生活されています。もちろん、以前のような高層階の眺望はありません。しかし、窓やベランダを見るたびに緊張することもなくなり、精神的な負担は大きく軽減されたそうです。

Aさんは最後にこう話してくれました。

「購入前は眺望や資産価値ばかり見ていました。でも実際に子育てが始まると、毎日安心して暮らせることの方が何倍も大切でした」

タワーマンションでは“子どもの成長後”まで想像することが重要

今回のケースでお伝えしたいことは、タワーマンションが子育てに向かないという話ではありません。駅近の利便性や共用施設の充実度、資産価値の高さなど、多くの魅力があることは事実です。

一方で、小さなお子さまがいるご家庭では、高層階ならではのリスクや精神的な負担についても理解しておく必要があります。特に注意したいのは、子どもが椅子や収納ボックス、室外機などを足場にして高所へ上ろうとするケースです。

そのため、次のような対策を日頃から意識することが大切です。

  • 窓の近くに椅子や棚を置かない
  • 補助錠やチャイルドロックを活用する
  • ベランダに収納ボックスや脚立を置かない
  • 子どもだけを部屋に残して外出しない
  • 共用廊下側の窓や非常階段の位置も確認する

また、住宅購入時は現在の子どもの姿だけで判断しがちですが、子どもの行動範囲は数年で大きく変化します。

「今は届かないから大丈夫」
「まだ開けられないから大丈夫」

という考え方ではなく、成長後の行動まで想定して住まいを選ぶことが重要です。

タワーマンションは、利便性や眺望、資産価値など多くの魅力を持つ住まいです。しかし子育て世帯の場合は、購入時の満足感だけでなく、数年後の暮らしまで想像することが欠かせません。

子どもの成長は想像以上に早く、大人が予想しない行動を取ることもあります。だからこそ、眺望や共用施設だけでなく、安全性や日々の安心感まで含めて検討することが、後悔のない住まい選びにつながるのではないでしょうか。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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