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「観るためにネトフリ入った」国内デイリーランキングで【初登場1位】獲得の快挙 “実在事件ベース”の衝撃作

  • 2026.6.15

メディアで報じられる事件について、その場に居合わせなかった私たちがなぜ「被害者」と「加害者」という立ち位置を鵜呑みにしてしまうのだろうか。テレビや紙面上ではただの文字でしかない名前にも、生きた人間の一生があることをなぜ簡単に忘れてしまうのか。

映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』は、メディアのあり方と、大衆の報道への向き合い方を問う衝撃作だ。「ひどすぎる」「社会の闇を描いてる」「考えさせられる」SNSにそんな言葉が並ぶのも、この映画が現実社会の問題を容赦なく照らし出しているからだろう。

※以下、作品内容に関するネタバレが含まれます。

ドキュメント賞受賞ルポを、三池崇史が映画化

本作は、2003年に日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件を取材し、第6回新潮ドキュメント賞を受賞した福田ますみのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』を原作に映画化した作品。

監督の三池崇史と主演の綾野剛は、『クローズZERO Ⅱ』以来約16年ぶりのタッグとなる。2026年1月8日よりNetflixでの独占配信がスタートすると、「今日の映画TOP10(国内)」で初登場1位を獲得。SNSでは「これ観るためにネトフリ入った」「ネットフリックスで見られて嬉しい」などの声が相次いだ。

実話が原作の社会派サスペンス

小学校教諭の薮下(綾野剛)は、児童・拓翔(三浦綺羅)への体罰をめぐり保護者の氷室律子(柴咲コウ)に告発される。週刊誌記者・鳴海(亀梨和也)による実名報道で、マスコミの標的となった薮下の日常は崩壊する。

一方、律子は550人もの弁護団を結成し、民事訴訟を起こす。木村文乃、光石研、北村一輝、小林薫ら実力派が脇を固め、「でっちあげ」という言葉の重さを真正面から描いた一作だ。

冒頭20分が仕掛ける、恐ろしい罠

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画像左から、柴咲コウ、綾野剛 (C)SANKEI

映画の序盤、「氷室律子の供述」として2003年5月12日のある夜の出来事が映される。土砂降りの中、薮下は氷室家を訪れ、生徒の拓翔について「ADHDだ」と決めつけて、律子に人権侵害ともとれる一方的な言葉を浴びせる。拓翔の祖父がアメリカ人だと知ると「あなたたちの血は穢れている」と吐き捨て、教室内外でも心無い言葉と暴力を繰り返す。

この冒頭の20分間で、観客はすっかりこの薮下という男が、偏った考えを振りかざす非道な教師だと思い込んでしまう。心の底から嫌悪感を抱いた人も少なくないだろう。

しかしここから約100分間、物語は薮下側の視点で描かれる。生徒のために真摯に向き合い、慕われる誠実な教師としての薮下の姿が描かれ、氷室律子の供述が「でっちあげ」であることが少しずつ明らかになっていく。

綾野の確かな演技力がもたらす説得力はもちろんだが、「でっちあげられた映像」と「真実」をこの順番で見せられることで、私たち自身の先入観の危うさをも突きつける構造になっている。「それは本当に事実なのか?」と。メディアの報道に、私たちは日常の中で踊らされていないと言い切れるのか。

本作の一つの希望として示されるのが、薮下の妻の存在だ。「事実でもないことを事実だって、私は認めたくない」ときっぱり言い切る彼女は、過剰報道で自宅を取り囲まれ、家族の日常が壊されても、夫の手を決して離さない。夫の人柄と誠実さを知っているからこそ、どんな報道にも揺るがないのだ。その姿から、大切な人が偏向報道や誹謗中傷の的になったとき、自分はどれだけ強く心を保ち、味方でいられるかと、静かに問いかけられる。

自らの倫理観と、真偽を見分ける視点を決して忘れないためにも、必見の一作だ。


出典:東映『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』公式HP

ライター:山田あゆみ
Web媒体を中心に映画コラム、インタビュー記事執筆やオフィシャルライターとして活動。X:@AyumiSand

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