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支持率低迷、称号剥奪、その先は? 2026年に英国王室を待ち受ける試練

  • 2026.1.10
Max Mumby/Indigo / Getty Images

2019年に元英王子アンドルーが王室の公務から退いて以来、彼がクリスマスに他の王室メンバーと共に教会へ向かう公式行事に参加するかどうかには、常に一定の不確実性がつきまとってきた。2019年は不参加で、2020年と2021年はコロナ禍により行事自体が中止。その後、2022年と2023年には家族と共に参加する姿が見られた。2024年については、直前に報じられた中国人スパイと疑われる人物との関係をめぐる暴露が大きな波紋を呼ぶまでは、出席の可能性がメディアで盛んに取りざたされていたが、結果的に参加は見送られた。

サンドリンガムの教会で毎年行われるクリスマスミサに出席するロイヤルメンバー。2025年12月25日撮影。 Jordan Peck / Getty Images

しかし、昨年は様相が異なっていた。ジェフリー・エプスタインとの関係をきっかけに王室に深刻な論争をもたらして以降、アンドルーがクリスマスに姿を見せないことが、初めて数週間前の段階で明確にされたのである。その判断は10月17日に示され、同日には、今後ヨーク公爵(Duke of York)という称号を用いないとする声明も発表された。これは、国王の問題を抱えた弟に対する宮殿の姿勢が新たな段階に入ったことを示すものであり、その流れは1カ月足らずで彼がすべての称号を公式に剥奪される決定へとつながっていった。

2025年の英国王室をめぐる論争は、アンドルー元王子を中心に展開していた。一方で、がん治療を終えたキャサリン妃の華々しい公務復帰や、トランプ大統領による2度目の国賓訪問という前例のない大型行事も注目を集めたが、その間もアンドルー問題は常に影のようにつきまとっていた。エプスタイン文書の公開、被害女性ヴァージニア・ジュフリーの死後に出版された自伝、さらにはアンドルーが米議会で発言すべきかどうかをめぐる議論まで、この騒動は収束することなく続いてきたのである。

2025年9月にイギリス王室はトランプ大統領夫妻を歓迎する公式晩さん会を開催した。 WPA Pool / Getty Images

王室を完全追放された元王子アンドルー・マウントバッテン・ウィンザー

元英王子アンドルー・マウントバッテン・ウィンザー。 WPA Pool / Getty Images

結局、悪名高いテレビインタビューから6年後、2025年はアンドルーがついに完全追放された年となった。チャールズ国王は「もうたくさんだ」と決意し、弟と王室の関係を断ち切る道を選んだ。元王子のアンドルーは王室の称号とすべての名誉を剥奪され、今後はアンドルー・マウントバッテン・ウィンザーと名乗っていくことが発表された。また、近いうちに贅沢な住まいであるロイヤルロッジを退去してロイヤルファミリーが所有する他の家に引っ越すことが報じられている。

王室の対応は不十分である、あるいは遅きに失している、という批判はメディアや世論で繰り返し指摘されてきた。それでもなお国民の大多数が今回の措置を支持したという事実を踏まえれば、未来を守ろうとする王室にとって、これは必要な一歩だったと言えるだろう。

国民の支持を失いつつある王室

Samir Hussein / Getty Images

昨年の王室にとってもう一つの懸念材料は、英国で行われた主要な全国調査で、王室への国民の支持率が過去最低を記録したことだ。英国国立社会研究センターの調査によると、王室維持の重要性を支持する人は51%で、1983年の86%から大幅に数字を下げた。また、18歳から34歳の間では、人々の59%が選挙で選ばれた国家元首を支持することが明らかになった。王室助成金についての議論も続いており、タイムズ紙は王室が公費から毎年莫大な金(2025年は1億3,200万ポンド、日本円にして約259億円)を受け取っていることに関して、「王室のあぶく銭を止めなければならない」と断じた。

高水準を維持するウィリアム皇太子夫妻の人気

Pool / Getty Images

とはいえ、すべてが失われているわけではない。大手世論調査会社YouGovの調査によると、現役の王室メンバーの支持率は過去10年間、概ね安定している。国王は約3分の2の国民に好かれており、ウィリアム王子とキャサリン妃が一貫して高い支持率を保持。英国国民の約75%から好意的な評価を得ていることは注目に値するだろう。

ウィリアム皇太子は変化をアピール

次期君主となるウィリアム皇太子は君主制の生き残りを賭けて、適応や変化を自らの喫緊の課題と認識している。彼は俳優ユージン・レヴィとのインタビューで自身の国王就任後の計画について、これまでで最も率直に語り、「変化は私の課題だと言っても過言ではないでしょう」と述べた。ウィリアム皇太子のビジョンは具体性を欠くものであり、さらにインタビュー内で彼が「伝統が残ることが非常に重要だ」と強調したため、実際にどのような変化を実行するのか、多くの人が疑問を抱いたのは事実だ。だが、そうした疑問が残る一方で、彼の言葉は、王室を存在理由にかなうものに保つために必要なことは何でもするという決意を表していた。

存在感を増すジョージ王子

バッキンガム宮殿で開催された茶会で、第2次世界大戦中に従軍した退役軍人と対面するジョージ王子。 WPA Pool / Getty Images

未来の王室像が模索されるなか、注目を集めているのが、英王位継承順位第2位のジョージ王子だ。2025年7月22日に12歳の誕生日を迎えたジョージ王子は、この年、退役軍人を称える重要な公の場に2度姿を見せている。5月には、ヨーロッパ戦勝記念日(VEデー)80周年の関連行事として、バッキンガム宮殿で開かれたティーパーティーに両親とともに出席。さらに11月には、毎年恒例の戦没者追悼式典に初めて参加し、母キャサリン妃と並んで、ロイヤル・アルバート・ホールで行われた夜の公演を鑑賞した。

年末には、父ウィリアム皇太子とともに、ホームレス支援の慈善団体「ザ・パッセージ」を訪問。この光景は、1993年に幼いウィリアム王子がダイアナ妃と共に同団体を訪れた出来事を思い起こさせるものだった。こうした動きを見ると、2025年のジョージ王子は前年に比べ、公の場への登場回数が明らかに増えており、将来の役割を見据えた準備が着実に進められていることがうかがえる。

もっとも、ウィリアム皇太子とキャサリン妃は、子どもたちの私生活を守る姿勢を一貫して貫いている。昨年10月には、家族でのスキー旅行の写真を掲載した仏誌『パリ・マッチ』を相手取った裁判で勝訴するなど、公的な役割とプライバシーの線引きを厳格に行っている。

SNS時代に進化する英王室のメディア戦略

公務に関しては、インターネットとソーシャルメディアのおかげで、王室の人々への注目はかつてないほど高まっている。新聞の第一面を飾ることはまずない王室メンバーが、オンラインでは大きく取り上げられることも少なくない。エディンバラ公爵夫人ソフィー妃はその好例で、彼女は2025年にペルー、パナマ、グアテマラへの9日間の旅など、特に多忙な海外公務をこなし、その様子がSNSで拡散された。

バッキンガム宮殿とケンジントン宮殿のXとInstagramのアカウントは定期的に更新され、ますます洗練されたコンテンツが加わっている。豊富な動画と写真は、王室の夏休み中も「常にオン」という印象を与えた。2025年にはキャサリン妃による「Mother Nature(母なる自然)」と題した新たな動画シリーズもスタート。妃の個人的なエッセイをナレーションで綴り、四季の移り変わりを称えた。

王室における地位の特権は、生まれによって永続的に保証されるものではない

Max Mumby/Indigo / Getty Images

しかし、いかに巧妙なコンテンツ制作をしても、王室が物語を完全にコントロールすることはもはや不可能だ。年が明けてもアンドルー・マウントバッテン=ウィンザー問題は依然としてくすぶり続けており、エプスタイン事件のさらなる暴露があった場合、彼の称号に関する決定的な動きが、その痛手を和らげることになるかどうかは未だ不明である。

“高位”王族を引退して、アメリカに移住したヘンリー王子とメーガン妃。元王子アンドルー同様に称号剥奪の可能性があると噂される。 Samir Hussein / Getty Images

それでもなお、王室は21世紀に向けて重要な方向性を示したと言ってよいだろう。それは「王室における地位の特権は、生まれによって永続的に保証されるものではない」という認識である。

アンドルーは英王子として生まれ、かつてはこれが変わることは考えられなかった。しかし2025年、私たちは未来を見据える君主制によって、前例のない変化が実際に起こり得ることを目の当たりにした。イギリス王室にとって2026年は伝統と説明責任の均衡を図りながら、現代の君主制像を形づくる正念場となるに違いない。

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