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【60代お出かけ】この秋注目の芸術際「千葉国際芸術祭」&「東京ビエンナーレ」の楽しみ方を名古摩耶さんが提案!【好奇心の扉・後編】

  • 2025.9.22

街全体を巻き込み、現代美術を体感できる国際芸術祭が全国で盛り上がりを見せています。今秋は「千葉国際芸術祭」と「東京ビエンナーレ」が開催。その見どころを『ARTnews JAPAN』編集長・名古摩耶さんがナビゲートします。 

千葉国際芸術祭2025

市民がアーティストとともに「まち」を見つめ直し作品を創造する 今年スタートのトリエンナーレ

「すでに開催中で、アートをただ鑑賞するだけでなく、すべて、観る人もその一部となれるようなワークショップや展示が提供されています。アーティストでなくても、美術表現の制作に携われるというチャンスは、なかなか稀有なことです。いわゆるハイブロウなアートにとどまらない、市民の誰もが参加できる開かれた魅力のある芸術祭だと思います」(名古さん)

芸術祭のコンセプト「ちから、ひらく」には、千葉の地から「もの・こと・ひと」を拓き、創造活動を始めること。
そして千葉の人々の「ちから」が開花する夢が込められている。また千葉開府900年を記念して鑑賞料はすべて無料。
【開催概要】リサーチ・制作期間:4月〜9月中旬(プロジェクトやイベントごとに開催日時を設定)、集中展示・発表期間:9月19日(金)〜11月24日(月・振休)・毎週水曜日定休、会場:千葉駅周辺エリア、市場町・亥鼻エリア、千葉市役所周辺エリア、西千葉エリア、千葉公園周辺エリア(すべて公共交通機関で移動可能)ほか、参加作家・団体:32組、総合ディレクター:中村政人、主催:千葉国際芸術祭実行委員会 

「まちばのまちばり」西尾美也 仕立て屋のような完成を目指すのではなく、まち針で仮留めしたような工作としての自由な服作りプロジェクト。ワークショップへの参加を重ね、市民アーティストとして「まちまちテーラー」に認定されると、町の仕事着や個人からの注文など町の服を仕立てていく。

「AngerDog」藤浩志 これまで全国で行われてきた、遊ばなくなったおもちゃを子どもたちが持ち寄りかえっこするプロジェクト「かえっこ」により収集されたおもちゃから作られた作品。集中展示・発表期間にはこれまでのプロジェクトによって集まったプラスチックを素材に子どもたちと地球環境を考える「33年後のかえる」が展開される。

「タイムラグ・パーク」国道357号上部の空間を舞台に、スケートボードとアートを融合させたユニークな空間を展開。写真は周囲の壁面に描かれた交通標識の線画を子どもたちが自由に塗り絵をしたもの。

東京ビエンナーレ2025

お散歩しながらアートを発見! ゆったり歩けば心と身体が作品の息吹を感じ始めます

鑑賞者へのメッセージを大きく掲げるというよりも、今回のテーマである“おさんぽ”のように、街中にアートを染み込ませ、より多くの人々にとって表現に触れられる展示や鑑賞方法に主眼が置かれているのが、特徴的な芸術祭です。鑑賞する方々も、自分たちの存在や反応があるからこそ、アートそのものが成長していくことを、ぜひ実感していただきたいですね」(名古さん)

国際都市東京でアートは人々をつなぎ未来を描き出す。さまざまな出合いを「私たち」として共有することを目指す芸術祭。参加アーティストの公募では全世界から1400組以上にもおよぶ応募があった。
【開催概要】会期:2025年10月17日(金)〜12月14日(日)、会場:拠点展示/東叡山寛永寺、エトワール海渡リビング館、展示エリア/上野・御徒町エリア、神田・秋葉原エリア、水道橋エリア、日本橋・馬喰町エリア、八重洲・京橋エリア、大手町・丸の内・有楽町エリア、参加作家・団体:37組、総合プロデューサー:中村政人、主催:⼀般社団法人東京ビエンナーレ

東京・神田界隈には、関東大震災後に建てられた「看板建築」と呼ばれる、木造建築の正面をタイルや銅版などの不燃素材で覆ったノスタルジックな店舗兼住宅が残る。東京ビエンナーレではこれまでにも看板建築を舞台にさまざまなアートプロジェクトが展開されてきたが、今回はよりその魅力を伝えるため建築家の藤森照信氏によるレクチャーや、海外連携プロジェクトが展開される。

「リンケージつながりをつくる」がテーマだった2023年の展示、ペドロ・カルネイロ・シルヴァ&アーダラン・アラム「フリーシート」。キーボードとヘッドホンつきの椅子が街中に置かれ、座った人それぞれに即興で音楽が奏でられた。

2023年に台東区・寛永寺で行われた特別プログラム「田中泯・柳家喬太郎場オドリと場ラクゴ」。今年、創建400年を迎える東叡山寛永寺では、今年もさまざまな展示が予定されている。
撮影:池ノ谷侑花(ゆかい)

構成・文/杉村道子

※素敵なあの人2025年10月号「好奇心の扉 現代美術を見に行こう!国際芸術祭の歩き方」より
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売を終了している場合があります。
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください。

お話を聞いた方  『ARTnews JAPAN』誌編集長  名古摩耶さん

ライフスタイル誌『Esquire』日本版、『WIRED』日本版で編集者を務めながら、イギリスの調査会社STYLUSに在籍、日本企業のためのリサーチ及びアドバイザリーを担当した。その後、2018年に『VOGUE JAPAN』のエグゼクティブ・デジタル・エディターに就任(のちにフィーチャーズ&カルチャー統括)。2020年には環境問題やジェンダー差別などの社会課題を扱う「VOGUE CHANGE」プロジェクトを立ち上げた。2023年より現職。

この記事を書いた人 素敵なあの人編集部

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