1. トップ
  2. エンタメ
  3. 「みんな、いい意味で変わっている」。ノイハウス萌菜がすべての親へ届ける"よその家の話"

「みんな、いい意味で変わっている」。ノイハウス萌菜がすべての親へ届ける"よその家の話"

  • 2026.10.31
Hearst Owned

さまざまな母の人生に耳を傾けるポッドキャスト『Other Mothers』をリリースしたノイハウス萌菜。2人の子どもを育てながら、J-WAVE『STEP ONE』のナビゲーターをはじめ、司会や通訳者としても活躍する。下の子が1歳になる少し前、ノイハウスは現地で暮らす親友に会うため、日本から一人でペルーへ旅に出た。周囲から「母親が一人で行くの?」と驚かれ、その反応に彼女自身も驚いたという。

「私にとっては当たり前の選択でも、誰かにとっては『そんなことをしてもいいんだ』という気づきになる。いろいろなお母さんの話を聞けば、誰かの当たり前が、別の人にとって初めて知る選択肢になると思ったんです」。その気づきが、番組の出発点の一つとなった。語られるのは、子育てについてだけではない。キャリアやパートナーシップ、自分のための時間など。そこには一つとして同じもののない人生がある。

番組を始めた背景の一つには、妊娠中から「ママに見えない」「ママなのにすごいね」と言われ、“母親のあるべき姿”に違和感を覚えてきた経験もある。また、SNSを開けば、手の込んだお弁当や“叱らない”関わり方など、細分化された方法論が次々と流れてくる。「参考になることもあります。でも、見れば見るほど『こうしなきゃいけないのかな』『自分はできていないのかな』と、モチベーションよりプレッシャーを感じることが多かったんです」。対して、身近な人から聞こえてきたのは、完成された成功例ではなく、それぞれが迷い、選択し、試し、折り合いをつけてきた過程だった。

「うまくいっているところだけでも、ネガティブな部分だけでもなく、その間をじっくり聞くと、十人十色でいいんだと思える。母親であることにも、その人のあり方にも、正解や不正解はないことが見えてきます」

<strong>『Other Mothers』</strong>▶4人の子育て、友人家族との旅、仕事と家庭の間で重ねてきた選択など、さまざまなお母さんたちのリアルなストーリーを届ける。十人十色の生き方と、考え途中の声に出合える番組。毎週日曜深夜、Spotifyにて配信。 Hearst Owned

しかし、“正しい母親”を求めるまなざしは、社会にも、母親自身の内側にも残っている。ノイハウスは、2001年から2021年までに欧米を中心とする国々で発表された115本の研究を分析した論文にも触れた。「“よい母親”には、常に子どものそばにいてすべてを把握すること、将来の成功のために子どもに尽くすこと、家庭に支障のない範囲で働くこと、人前で望ましい母親像を演じること、幸せそうに見せることが求められるとありました。私自身も『全部やらなきゃ』と思っているところがあるな、と。社会からの期待だけでなく、自分の中にも固定観念があるんだと、この論文を読んで気づきました」。

だから『Other Mothers』が提示するのは、新しい理想の母親像ではない。「一見普通に見える人も、実際には誰一人として普通ではない。みんな、それぞれいい意味で変わっているんです」。その人自身も気づいていない魅力や視点を引き出し、「こんなあり方もある」とそっと差し出す。どう受け取るかは、聞き手に委ねられている。

番組では、母になる過程を意味する「マトレセンス」という言葉も紹介している。妊娠や出産を境に突然「母親」が完成するのではなく、子どもの成長とともに揺らぎ、適応し、変わり続けていくことを表す概念だ。「母親は新人なのに、周囲は新人として見てくれない。でも、母親になるのは徐々に進んでいくものだと思います」。だからこそ、番組は定まった答えだけでなく、変化の途中にある声を紡ぐ。「一度出演した人に数年後、もう一度出てもらって、『あのときはこう言っていたけれど、今は全然違う』と話してもらうのもいい。変わっていくことも当たり前だと伝えられたら」

ノイハウス萌菜

1992年生まれ。J-WAVE『STEP ONE』のナビゲーター、イベント司会や進行役などとしても活躍。イギリス育ち。ドイツ人と日本人の両親を持つ。2児の母。環境保護を日常に取り入れるための発信や企業とのプロジェクトなどにも携わる。

Vol.1:

Vol.2:

Illustration: HiromiI Chikai, Editor: Mina Oba From Harper's BAZAAR November 2026 Issue

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ