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彼女の猫舌のことまで友達に話していた俺が、一度も彼女を集まりに連れて行かなかった理由

  • 2026.10.17
ハウコレ

「そっか」と言わなくなった彼女を前に、受け取ったマグの中ばかり見ていました。数日後にようやく話せたのは、あの3人の前でだけ見せていた、彼女の知らない俺のことでした。

休憩に入ってスマホを開くと、高校の同級生とのグループチャットに4件のメッセージが溜まっていました。送り主は、その日もいつものカフェに集まると聞いていた3人。普段なら俺をからかうだけのやりとりが、俺の彼女の話で埋まっていました。

あいつらの前での俺

高校の同級生3人とは、卒業してからも月に1度は集まっています。あの中での俺は、昔からいじられる側でした。高校の頃のあだ名で呼ばれ、何を話しても最後は笑われて終わる。それが俺の居場所でした。

付き合って1年半の彼女の前では、俺は落ち着いた彼氏でいられました。ただ、その裏で、誕生日の店選びも返信の文面も、全部あいつらに相談していたのです。彼女が猫舌だという話もしたし、写真も何度か見せていました。

「俺の友達には会わせたくない」

彼女に集まりのことを聞かれるたび、そう答えてきました。あだ名で呼ばれて笑われている俺を見たら、彼女の前の俺まで作り物に見える気がしたのです。相談の中身を全部話されるのも怖かった。彼女が「そっか」と引いてくれるたびに、俺はすぐ別の話を振っていました。

「お前の彼女、今、隣の席にいる」

グループチャットを遡ると、最初のメッセージはこうでした。

「お前の彼女、今、隣の席にいる」

「スープ冷ましてた。本物だった」

「ごめん、話しかけた」

「お前の話ばっかりしてたの、たぶん全部聞こえてた」

あいつらがいつもの調子で何を話していたのか、想像はつきました。俺が相談した細かいことまで、彼女は隣の席で聞いていたはずです。

返事を打つより先に、彼女とのチャットを開きました。

「今から行っていい?」

「うん」とだけ返ってきて、仕事を終えるとそのまま彼女の部屋へ向かいました。

「そっか」が返ってこなかった

部屋に入ってソファの端に座ると、彼女はマグを持ったまま、俺の顔を見て言いました。

「あなたの友達、私の名前知ってたよ」

「……うん。聞いた」

いつもならここで「そっか」が返ってきて、話は終わるはずでした。

「私のことは話すのに、私には会わせたくないんだね」

彼女の目はこちらから動きませんでした。受け取ったマグの中を見たまま、言い訳の順番を考えては崩していました。

「少しだけ、時間ちょうだい」

「待つけど、ちゃんと聞かせてね」

うなずいて部屋を出たあと、駅までの道を一駅分余計に歩きました。

そして...

数日後、同じソファで、あだ名のことも相談のことも、順番に話しました。あいつらの前の俺を見られたくなかったのは、彼女のためではなく、自分のためだったことも。

彼女は最後まで聞いてから言いました。

「次の集まり、行くかどうかは私が決めてもいい?」

「うん」と答えて、それ以上は付け足しませんでした。

彼女の部屋を出てから、グループチャットに「次、彼女に声かけてみる。来るかは分からない」と送りました。既読が3つ並んだあと、最初に返ってきたのは、高校の頃と同じ呼び方でした。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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