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NHK『ダーウィンが来た!』も密着! 小学5年生のタコ研究家が「タコと人間は友達になれるか」を実験した!

  • 2026.11.2
cocreco撮影/日下部真紀

6月に発売される絵本作家・たしろちさとさんの最新作『あたまにのったタコ』。こちらは、第2回アストラ国際絵本原作コンテストで講談社賞を受賞した『頭にのったタコ(原題Un poulpe sur la tête)を絵本化。ある日、頭の上にタコが棲みついてしまった男の子とタコとの交流を描いた、ちょっと不思議で心あたたまるストーリーです。

リアリティがありながら、かわいらしいタコの描き方にも注目の本作。タコが大好きな小学生タコ研究家・野中風玖(のなか・ふく)くんは、『あたまにのったタコ』をどう読んだのでしょうか。

後編では、風玖くんが研究した「タコとコミュニケーションは取れるのか」について、絵本『あたまにのったタコ』を読んで感じたことをうかがいます。

cocreco『あたまにのったタコ』(たしろ ちさと/作・絵 ジェニー・ギヨーム/原案)

タコとハイタッチがしたい!

cocreco写真提供:野中風玖くん

前編では、稚ダコの飼育やタコの魅力について語ってくれた小学生タコ研究家・野中風玖くん。「タコにも感情がある!」と考えた風玖くんが、次なる研究テーマに掲げたのは「タコとコミュニケーションは取れるのか」。この研究のようすは『ダーウィンが来た!』(NHK総合)でも放送され、大きな反響を呼びました。

cocrecoこれまでのタコの観察記録を見せながら、インタビューにこたえてくれた野中風玖くん。 撮影/日下部真紀

──研究したのは、小学4年生のときですね。このテーマにしたのはなぜですか?

野中風玖くん(以下、風玖くん):前編でお話ししましたが、タコはうれしいときはニコニコしたり、目の形が変わります。目の形が変わるってことは、感情があるってこと。それなら、タコとコミュニケーションが取れて、友達になれるんじゃないかと思いました。最終目標は、タコとハイタッチでした。

──ハイタッチ!? どんな方法でコミュニケーションを取ったのでしょう?

風玖くん:研究の相棒は、マダコの「うーちゃん」。僕がうーちゃんにとって危険な生きものではないと知ってもらうために、まずは僕が毎日ピンセットで餌をあげて、慣れてきたら手であげるようにしました。次に僕の顔を覚えてもらうために、毎日「おはよう」「いってきます」「ただいま」「おやすみ」と声をかけて、うーちゃんに顔を見せました。家族に話すように、学校での出来事や今日の夜ごはんの話をしたこともあります。はじめは反応がなかったけれど、1ヵ月くらい経つと、僕の声がけにうーちゃんは手を伸ばすようになりました。

次は“心からの友達”になれるように、カラフルな積み木やボールで遊ぶことにしました。うーちゃんは好奇心旺盛なので、うーちゃんの好きな色や形のおもちゃで遊んだら、喜んでくれるんじゃないかって。水槽の中におもちゃを順番に入れると、興味のないものには知らんふりだったけれど、赤いボールには興味津々で、体で包み込んで蛸壺の中に入れようとしました。

うーちゃんは、きっとこのボールが好きだと思って、キャッチボールに挑戦してみました。僕が水中でボールを離すと、うーちゃんが吸盤で上手にボールをキャッチ。くるくる回して遊んでから、僕のほうへ優しく放ちました。しかも3往復も! すごくうれしかったです。

cocrecoうーちゃんとのキャッチボールのようす。大好きなボールを風玖くんに渡すのは、信頼している証? 写真提供:野中風玖くん

将来の夢はタコの研究者か飼育係

──すごい! うーちゃんと遊ぶことができたんですね!

風玖くん:うーちゃんが僕を受け入れてくれたと感じたので、いよいよ最終目標のハイタッチに挑戦しました。まずは、水槽の前で両手を左右に動かすと、うーちゃんが近づいてきて僕の手に合わせてゆっくり動かしました。水槽越しでのハイタッチです。

うまくいったので、今度は水中にゆっくり手を入れてみました。すると、うーちゃんの腕が伸びてきて、僕の手のひらにタッチ。吸盤で引っ張るのではなく、優しくハイタッチができたんです! さらに握手もできて、うーちゃんの頭をなでることもできました。すごくビックリしたし、うれしかったです。ハイタッチができたのは、タコには「特定の人の顔を記憶する能力」「人を受け入れる能力」「人の動きをマネする能力」「繰り返し行う能力」があって、それを引き出せたからだと思います。

この研究結果をタコ研究の第一人者・琉球大学の池田譲教授に報告すると、「タコの知的側面や社会性を引き出す実験である」と言っていただきました。「再現性を確認することが重要。実験を繰り返してデータを増やすといい」とアドバイスをいただいたので、これからもタコの研究を続けていきたいです。

──素晴らしい研究でしたね。そんな風玖くんの夢は何でしょうか?

風玖くん:タコの研究者になって、タコと人とのコミュニケーションに関する研究をしたいです。タコは寝ている間に夢を見ている可能性があることがわかっているので、難しいかもしれないけれど、タコがどんな夢を見ているのかも研究したい。あとは、水族館のタコの飼育員さんもいいなと思っています。

cocreco頭を離れたタコといっしょに遊んだ。『あたまにのったタコ』(たしろ ちさと/作・絵 ジェニー・ギヨーム/原案)より
cocrecoうーちゃんと風玖くんのハイタッチの瞬間! 写真提供:野中風玖くん

タコと人間はきっと友達になれる!

──絵本『あたまにのったタコ』は、風玖くんの大好きなタコが登場します。読んでみて、いかがでしたか?

風玖くん:タコの動き、特に腕のうねる感じがとてもリアルだなと思いました。僕もタコの絵を描くのは好きですが、立体的に描くのは難しくて。絵本のタコは、すごくかわいいです。最後、男の子とタコのシーンは、感動しました。頭がよくて優しくて、人想いのタコだなと思います。

──主人公は、タコが頭にのった男の子です。もし、風玖くんの頭にタコがのったらどうしますか?

風玖くん:男の子がプールに入ったとき、タコが弱って白くなってしまうシーンがあります。タコは弱ると、本当に白くなるんです。僕だったらタコが弱らないように、毎日シャワーを浴びるのはやめて、プールはお休みするかな。30分ごとに頭を海水に浸すかもしれないです(笑)。

──物語は男の子とタコの交流を描いていますが、実際にタコと人間は友達になれると思いますか?

風玖くん:なれると思います! タコは、相手の気持ちを理解できる生きものだと思うからです。僕がうーちゃんとキャッチボールやハイタッチができたように、タコには感情があって、心があって、きっと人間と仲よくなれるはずです。

cocreco頭にタコがのってから、ごはんを食べるのもお風呂に入るのもいっしょだ。 『あたまにのったタコ』(たしろ ちさと/作・絵 ジェニー・ギヨーム/原案)より

絵本作家・たしろちさとさんへ質問!

風玖くんから『あたまにのったタコ』作者の絵本作家・たしろちさとさんに聞いてみたいことは? 風玖くんからの質問に、たしろさんに答えていただきました。

cocreco『あたまにのったタコ』作者の絵本作家・たしろちさとさん。 撮影/日下部真紀

風玖くん:もともとタコはどんな生き物だと思っていましたか?

たしろちさとさん(以下、たしろさん):私は絵を描くのが好きなので、もともとはタコの“カタチ”に興味があって、生態への理解は浅かったと思います。8本の腕とまるい頭がかわいいなぁと思って、いろいろ想像をめぐらせながらお話を考えました。8本の腕を操るなんてすごいですよね! 私には無理。きっとこんがらがってしまうと思います。

風玖くん:原作『あたまにのったタコ(原題Un poulpe sur la tête)』の好きなシーンはどこですか?

たしろさん:ラストの「ぼく(主人公)」とタコのシーンです。作中のタコとのエピソードは、クスッと笑ってしまうもの、「えー、それは大変!」と思うものなど、いろいろなのですが、すべてがこのシーンにつながっていて、最後は胸がきゅーんとなりました。私が今まで暮らした犬や猫、カブトムシたちのことが頭に浮かんできて、「これはタコと人間の種を超えた友達の話なのだ」と気づきました。

cocreco夏休みが終わり、タコとさよならする日が来た。『あたまにのったタコ』(たしろ ちさと/作・絵 ジェニー・ギヨーム/原案)より

風玖くん:タコを描くときにこだわったポイントは何ですか?

たしろさん:タコに会いに水族館へ行って、タコの動きを観察してから絵を描きました。科学の絵本でなくても、生きものの絵を描くときは、その生きものに会ってから描きたいと思っているんです。1本1本の腕が、まるで別の生きもののように動き続けるタコのスケッチは、もう大変でした! 1本目の腕を描いて、8本目を描き終えるころには、1本目は全然違うところにいるんですから(笑)。タコの腕の動きでも、タコの気持ちが伝わるような絵になるといいなと思いました。

風玖くん:絵本づくりを通して、タコへの印象はどう変わりましたか?

たしろさん:最初のタコの印象は、ステレオタイプのキャラクターに近いイメージでした。それが、水族館でタコと出会えたことがきっかけとなり、絵本の制作が進むにつれて、だんだんとタコとの心の距離が縮まったのを感じています。賢くて心がある。今は「タコって、すごい生きものだ!」と思っています。

最後に、たしろさんからメッセージをいただきました。

たしろさん:タコと人間は友達になれるでしょうか。私も風玖くんと同じように、なれると思います。

絵本を読んで、「ぼく」とタコの友情を感じてもらえたらうれしいです。生まれた場所や暮らす場所のまったく違うもの同士の心の交流……。もしかしたら、このお話は私たちの身近にもある物語なのかもしれません。

取材・文/星野早百合

cocreco『あたまにのったタコ』(たしろ ちさと/作・絵 ジェニー・ギヨーム/原案)男の子とタコの友情を描く物語。
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