1. トップ
  2. 「失敗作」と呼ばれ、実の家族から虐げられて育った36歳男性。同居家族からの夜逃げの難しさ【書評】

「失敗作」と呼ばれ、実の家族から虐げられて育った36歳男性。同居家族からの夜逃げの難しさ【書評】

  • 2026.9.29

【漫画】本編を読む

“夜逃げ屋”という職業をご存じだろうか? ある事情を抱え、誰かに知られないように引っ越したい……そんな人の手助けをする職業だ。そして夜逃げ屋で著者が実際に働き、そこで起きた出来事をマンガにしたのが『夜逃げ屋日記』(宮野シンイチ/KADOKAWA)である。

本作で描かれる依頼者の事情はさまざまだが、なかには、生まれてからずっと自分を虐げてきた「家族全員」から逃れるために、夜逃げ屋に助けを求めた36歳の男性のエピソードもある。

その男性は36歳。愛想がよく頭もいい兄と比較され、幼い頃からずっと「失敗作」「病原菌」と呼ばれ、同じ食卓につくことも許されなかった。兄も弟を見下し、毎日暴力をふるっているという。待ち合わせ場所に現れた依頼者は、実年齢よりかなり上に見える風貌で、これまでかなりのストレス下にいたことがうかがえる。

このエピソードで描かれるのは、“夜逃げ屋”の仕事の難しさだ。特に同居人から逃げる場合は、同居人の不在を狙って行うため開始時間が読めない。当日は数時間前から近くでスタッフが待機して連絡を待つが、時間が過ぎても同居人に異変を察知されないようにするため、こちらから連絡はできないのだ。そしていざ作業が始まれば、一分一秒でも早く引っ越しを完了させなければならない。

知られざる“夜逃げ屋”の仕事ぶりが面白い本作。無事に完了するのか? 引っ越しの行方にも毎回ハラハラさせられる。

文=原智香

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ