1. トップ
  2. エピソード
  3. 「好きに取ったっていいだろ」旅館の朝食バイキングで料理を独占した男性。だが、スタッフの一言に黙った瞬間

「好きに取ったっていいだろ」旅館の朝食バイキングで料理を独占した男性。だが、スタッフの一言に黙った瞬間

  • 2026.10.20

料理の台をふさいだ男性

数年前、家族旅行で温泉旅館に泊まったときのことです。朝食はバイキング形式で、会場は浴衣姿のお客さんでにぎわっていました。

家族に席を取ってもらい、私は料理の台の前にできた列に並びました。

ところが、なかなか列が進みません。

前のほうを見ると、夫婦連れの男性が焼き魚とだし巻き卵を次々と自分の皿に移していました。

すでに皿の上には料理が山のように積み上がっています。それでも男性は手を止めず、後ろに並んでいる人たちは困った様子で待っていました。

すると、隣にいた妻が男性に声をかけました。

「ねえ、もうそのくらいにしたら?後ろの人も待ってるよ」

「何だよ。こっちはお金払ってるんだから、好きに取ったっていいだろ」

男性はそう言い返すと、最後の切り身まで皿に載せてしまいました。

焼き魚とだし巻き卵の大皿は、すっかり空です。

ようやく男性が席へ戻り、列が動き始めました。

ところが、男性は山盛りの皿を席に置くと、新しい皿を持って再び料理の台へ戻ってきたのです。

そして空になった大皿を指でたたき、近くにいた女性スタッフを呼び止めました。

「ねえ、なくなったから早く補充して」

「申し訳ございません。すぐにご用意いたします」

スタッフは丁寧に頭を下げ、厨房へ向かいました。

スタッフが男性に伝えた一言

その後も男性は、ほかの料理が少なくなるたびにスタッフを呼び止めていました。

「まだなの?さっきから待ってるんだけど」

少しでも補充が遅れると声を荒らげるため、周囲のお客さんも落ち着かない様子です。私も、せっかくの旅行なのにと残念な気持ちになりました。

しばらくすると、先ほどのスタッフが焼き魚とだし巻き卵の大皿を運んできました。

それを見た男性は、待っている人たちの前に出て、新しい皿を差し出しました。

しかし、スタッフは料理を台に置くと、列で待っていたお客さんたちに向かって声をかけました。

「大変お待たせいたしました」

列の先頭にいた女性がほっとした表情で会釈し、トングを手に取ります。

すると、男性が不満そうに口を開きました。

「おい、俺だってずっと待ってたんだぞ」

スタッフは男性のほうを向き、落ち着いた声で答えました。

「恐れ入りますが、ほかのお客様もお待ちですので、周りの方にもご配慮をお願いいたします」

男性は一瞬、言葉に詰まったようでした。

周囲を見回すと、そこには料理を待つお客さんたちの姿がありました。スタッフも変わらず穏やかな表情で、男性の返事を待っています。

「……わかったよ」

男性は小さくそう言うと、空の皿を持ったまま列の最後尾へと移動していきました。

私もようやく料理を取ることができ、ほっとしました。

食事を終えて会場を出ようとしたとき、ふと夫婦のテーブルが目に入りました。

そこには、手つかずの焼き魚とだし巻き卵が山のように残っていたのです。

そのとき、妻のあきれたような声が聞こえてきました。

「ほら、だから言ったでしょう。そんなに取っても食べきれないって」

男性は何も言い返さず、皿に残った料理をじっと見つめていました。

男性を怒鳴り返したり、責め立てたりすることなく、周囲への配慮を求めたスタッフ。その落ち着いた対応が、とても印象に残っています。

私は家族と、すっきりした気持ちで朝食会場をあとにしました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ