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医師「極めて危険です」→実は『脳梗塞』のサインかも…手遅れになる前に確認すべき「口に起こる危険な異変」とは?

  • 2026.10.20
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「急に食べ物が口の端からこぼれる」「片側の口元がしびれて噛み合わせが悪くなった気がする」といった症状が出たとき、多くの人は「歯のトラブルかな?」と考えて歯科の受診を思い浮かべるかもしれません。

しかし、その口元の違和感、実は歯ではなく「脳」の異常によって引き起こされている可能性があることをご存じでしょうか。実際、歯科医院の窓口にも「急に噛めなくなった」「口元がおかしい」と来院され、急を要する脳の病気が見つかるケースは少なくありません。

今回は、なぜ脳の病気で口元に症状が現れるのか、そして見逃してはいけない緊急のサインと正しい対処法について、歯科医師の鷹巣多紀さんに詳しくお話を伺いました。

なぜ歯ではなく脳?口元の麻痺や噛みにくさが起きる仕組み

---口元のしびれや食べこぼし、噛みにくさがあると「歯や噛み合わせの問題」と思いがちです。なぜ脳梗塞などの脳卒中によって口元にそのような症状が出るのでしょうか?

鷹巣 多紀さん:

「脳梗塞をはじめとする脳卒中で口元に麻痺や噛みにくさが出るのは、歯そのものではなく、口を動かす指令や感覚を伝える脳の働きが障害されるためです。脳の血管が詰まったり破れたりすると、その先に酸素や栄養が届かなくなり、障害された場所に応じて、しびれや動かしにくさが現れます。

唇や頬の筋肉を動かすのは『顔面神経』です。この神経へ指令を送る脳内の経路が障害されると、片側の口角が下がったり、唇を閉じにくくなったりします。一方、口元の感覚には『三叉神経』が関わっており、その感覚を受け取る脳の部分や途中の経路に問題が生じると、しびれや感覚の鈍さが出ることがあります。『動かしにくい』と『触れた感じが鈍い』は、それぞれ異なる働きの障害です。

また、食事は歯で噛み砕くだけでは成り立ちません。唇を閉じて食べ物を口に保ち、頬や舌を動かして食べ物をまとめ、のどへ送る動きも必要です。脳の血管障害でこうした動きがうまくできなくなると、食べ物が口の端からこぼれる、頬の内側に残る、うまく噛めないといった変化につながります。『噛み合わせが急に悪くなった』と感じても、実際には口の筋肉をうまく動かせていない場合があるのです。

なお、急な口元の麻痺は、脳の病気だけでなく顔の神経そのものが障害される『末梢性顔面神経麻痺(ベル麻痺など)』でも起こることがあります。ただし、自己判断で区別することは極めて危険です。命や重い後遺症に関わる脳の病気を最優先で除外・治療するためにも、まずは緊急性の高い脳卒中を疑って行動する必要があります。」

「様子見」や「歯医者の予約待ち」はNG!すぐ119番を呼ぶべき理由

---口元に違和感があるとき、まずは歯科を受診したり様子を見たりしてもよいのでしょうか?救急車を呼ぶべき判断基準を教えてください。

鷹巣 多紀さん:

「口元の違和感がすべて脳梗塞によるものではありません。気をつけたいのは、普段どおりだったのに、片側の口元が突然しびれたり動かしにくくなったりする変化です。こうした症状がある時点で、すでに脳梗塞などが起きている可能性もあります。急な変化は歯の不調と決めつけず、すぐに119番で救急車を呼んでください。

最も心配なのは、歯の治療や次の予約を待つ間に、脳梗塞の治療が遅れてしまうことです。血流が戻らないまま時間がたつと脳の損傷が進み、手足の麻痺や言葉の障害などが残るおそれがあります。血の塊を溶かす薬や、カテーテルで取り除く治療には、発症からの時間などの条件があり、受診が遅れると選べる治療が限られる場合があります。『もう少し悪くなったら受診しよう』と待つことは避けてください。

『少ししびれただけ』『数分で元に戻ったから大丈夫』とも判断できません。脳の血流が一時的に悪くなる『一過性脳虚血発作』でも、片側のしびれや動かしにくさ、言葉の異常などが現れ、短い時間で治まることがあります。その後、とくに発症して間もない時期に脳梗塞を起こすおそれがある状態です。症状が消えても、救急受診を先延ばしにしないでください。

歯科を受診すること自体が問題なのではありません。ただ、虫歯が見つかったことと、突然の口元のしびれや食べこぼしを虫歯で説明できることは別です。歯の病気があるからといって、脳の病気がないとは判断できません。すでに歯科医院にいる場合も、『何時ごろから急に変わったか』『左右どちらに症状があるか』『話しにくさや手足の異常はないか』を、その場で具体的に伝えましょう。

突然の片側のしびれや顔のゆがみ、ろれつの変化がある場合は、歯科の予約や紹介状を待たず119番で救急車を呼んでください。手足が動く、意識がはっきりしているという理由だけでも、様子を見てよいとはいえません。『この程度で救急車を呼んでもよいのかな』と遠慮せず、いつ、どんな変化が起きたかを伝えてください。」

異変を見逃さないチェックポイントと救急要請時の注意点

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

---日頃から確認できるポイントや、異変に気づいたときのセルフチェック、救急車を待つ間の正しい行動について教えてください。

鷹巣 多紀さん:

「普段は、歯磨きのときに鏡で口元の動きを見たり、食事や会話でいつもと違うことがないか意識したりしてみてください。大切なのは、もともとの顔の左右差ではなく『いつもと比べて、急に変わったか』です。ただし、こうした確認で脳梗塞を予測したり、病気がないと保証したりできるわけではありません。

確認するポイントは、顔・腕・言葉の三つです。まず、鏡に向かって『イー』と歯を見せ、片側の口角が下がっていないか、左右が同じように動くかを見てください。次に、両腕を前に伸ばして手のひらを上に向け、片方だけ下がらないか確かめます。『今日はいい天気です』などの短い文を話し、ろれつが回らない、言葉が出ないといった変化がないかも確認しましょう。

これらの異常が突然一つでも現れたら、その時点で119番で救急車を呼んでください。すべての確認を終えたり、ほかの症状が出るのを待ったりする必要はありません。また、顔・腕・言葉の確認で異常がなくても、急に片側の口元がしびれる、物が二重に見える、立てないほどふらつく場合は、脳卒中の可能性があります。この確認だけで、脳卒中ではないと言い切ることはできないのです。

救急隊には、症状に気づいた時刻と、最後に普段どおりだった時刻を伝えます。朝起きたときに異常があった場合は、寝る前の様子も手がかりです。自分で運転せず、救急車を待ちましょう。飲み込みにくくなっている可能性があるため、水を飲んで確かめることはせず、救急隊の指示があるまで飲食を控えてください。

一方、特定の歯が冷たいものにしみる、噛むとその歯が痛むなど、歯の痛みが中心で、先ほどのような急な異変がない場合は、歯科で相談してください。『歯の痛み』と『突然の口の感覚・動きの変化』を分けて考えることが、受診先を判断する目安になります。」

「急な口元の違和感」は脳からの重要なサイン!迷わず迅速な行動を

特定箇所が痛むような「歯の痛み」と、急に現れる「口の感覚や動きの変化」をしっかり分けて捉えることが、適切な受診先を選び後遺症を防ぐ大きな鍵となります。

治療の遅れによって選べる治療が限られてしまうのを避けるためにも、「いつもと比べて急に変わったか」を意識し、少しのしびれや症状が消えた場合であっても遠慮せずにすぐ119番で救急車を呼びましょう。


監修者:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
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