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尊厳が保障され、食べたい人が最後まで食べられる時代が来ることを願って。言語聴覚士がこれからの食支援を見つめる【監修者インタビュー】

  • 2026.9.13
 (C)牧野日和・かなしろにゃんこ。/竹書房
(C)牧野日和・かなしろにゃんこ。/竹書房

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「お食い締め(おくいじめ)」病気や高齢で口から食べられなくなった人に対し、最後まで“食べること”へ丁寧に向き合えるように、本人や家族を支えていく食支援のことである。この言葉を考案し20年以上前から活動しているのが、言語聴覚士で摂食嚥下障害領域(飲み込み)を専門とする牧野日和先生だ。

『お食い締め 口から食べられないアナタへ ~言語聴覚士が見たそれぞれの選択~』(牧野日和(愛知学院大学教授):原案・監修、かなしろにゃんこ。:漫画/竹書房)には、牧野先生がこれまで出会ってきた患者や家族の葛藤が描かれている。

もう一度焼き肉を食べたいと願う、寝たきりの男性。生きる気力をなくした高齢の母に、なんとか好物を食べてもらいたい娘。「食べること」にまつわる最期の時間を、牧野先生はどのように見つめてきたのだろうか。原案者・監修者としての想いを伺った。

——本作のとあるエピソードでは、自宅で99歳の母親の介護をしていたご家族が、寝返りができないお母様の体の負担を取り除く方法を知らない場面がありました。ケアマネージャーが付いているのに、専門的な声掛けがされないことはあるのでしょうか。

牧野日和先生(以下、牧野):専門職であっても、重度化した対象患者への安静時および活動時の姿勢の取り方を理解していない場合も少なくありません。そのことで身体拘縮が進行してしまい、動けなくなっている患者さんは相当数いると思います。

この場面では、家にあった座布団などを介護クッション代わりにして体の負担を取り除きました。それによって患者さんは久しぶりに深く眠ることができ、床ズレの軽減と口腔ケアをきっかけに食事の量が増えていきました。

——別のお話では、高齢者施設では医師の許可なしに医学的な治療はできないことも描かれていました。医師の許可を取ることのご苦労もありますか?

牧野:担当医が、リスクとクオリティの両方の視点を適切に持っているかどうかが鍵になります。あまり勉強していない医師、もしくは対象患者側との話し合い(ACP)が苦手なチームだと、患者や家族の想いを満たすためのクオリティより、リスクマネジメントのほうに偏る印象があります。

——あらためて、牧野先生が考える理想的な食支援とはどんな支援でしょうか?

牧野:食べられる可能性があるのに食べることをやめさせたり、反対にもう食べられないのにどんどん口に入れたり…過度にリスクばかり恐れる医師や、ほどよい支援の知識を知らない医師はまだまだ多いのではと思います。ちゃんとケアをすればより良い支援ができる可能性があることを発信したいですね。お食い締めだけではなく、食事の判断の仕方も含めてです。

介護職のなり手が需要に対して追いつかなくなり、無資格・未経験での採用が広がっている実態もあります。だからこそ、その人たちが胸を張って正しい知識や技術に裏打ちされた介護ができるようになんとか支えたい、とも思っています。

今の世の中で「不適切だな」と思うところをなるべく正したい。多くの方が人生最終段階の順番が来たときには、尊厳が保障され、食べたい人が最後まで食べられることが当たり前の時代になっていてほしいと思います。

取材・文=吉田あき

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