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【ベネチア国際映画祭2026】金獅子賞はメイ・エルトーキー監督『Woman Unknown』! 受賞結果一覧

  • 2026.9.13
Elisabetta A. Villa / Getty Images

世界三大映画祭のひとつとして毎年ベネチアのリド島で開催されるベネチア国際映画祭。今年は現地時間9月2日から12日まで開催され、コンペティション部門の21作品が最高賞の金獅子賞を競った。日本勢からは、是枝裕和監督の『ルックバック』、塚本晋也監督の『ネルソンさんあなたは人を殺しましたか?』がコンペティション部門に選出されていたが、果たして受賞の行方は? 主要結果を紹介する。

第83回ベネチア国際映画祭 コンペティション部門 受賞結果一覧

金獅子を手にした『Woman Unknown』メイ・エルトーキー監督と、本作に主演し女優賞を獲得したマティルデ・アーセル Andreas Rentz / Getty Images

金獅子賞『Woman Unknown』メイ・エルトーキー監督
銀獅子賞(審査員大賞)『もしもの愛』イ・チャンドン監督
銀獅子賞
(監督賞)『DAU』イリヤ・クルジャノフスキー監督
女優賞
『Woman Unknown』マティルデ・アーセル
男優賞『ワイルド・ホース・ナイン』ジョン・マルコヴィッチ
脚本賞
『A Good Little Soldier』ステファヌ・ブリゼ、コラリー・アメデオ、オリヴィエ・ゴルス
審査員特別賞『NAZA』ユヴァル・アブラハム、レイチェル・ゾア共同監督
マルチェロ ・マストロヤンニ賞
(新進俳優賞)『A Place to Heal』マルー・ケベジ

金獅子賞はメイ・エルトーキー監督『Woman Unknown』

最高賞となる金獅子賞に輝いたのは、デンマーク出身のメイ・エルトーキー監督による『Woman Unknown』。今年のコンペティション部門全21作品のうち唯一の女性監督作だ。第二次世界大戦直後のデンマークを舞台に、ドイツ兵と関係を持った女性が受けた社会的な偏見、葛藤と運命を描いたヒューマンドラマ。同作主演のマティルデ・アーセルが女優賞を受賞し、主要2部門W受賞する結果となった。

韓国の巨匠、イ・チャンドン監督の『もしもの愛』は銀獅子賞(審査員大賞)を受賞。チョン・ドヨン、ソル・ギョング、チョ・インソンらが出演する本作は、解雇された労働者とその妻、そして労働問題を題材にドキュメンタリーを制作する裕福なカップルという二組の夫婦が交わり、それぞれが抱える欲望や愛、格差に向き合う姿を描く。本作は、国際映画批評家連盟(FIPRESCI)賞も受賞し、高い評価を得た。

監督賞に選ばれたのは、ロシア出身イリヤ・クルジャノフスキー監督の『DAU』。旧ソ連の秘密研究所を舞台に、科学への野心、権力、監視、特権のなかで主人公の自由や自律性が失われていく物語。実在した物理学者レフ・ランダウがモデル。

男優賞は、マーティン・マクドナー監督の『ワイルド・ホ-ス・ナイン』で主演を務めたジョン・マルコヴィッチに贈られた。1973年のチリ軍事クーデター直前のイースター島を舞台にしたサスペンス・ミステリー。独特の存在感を放つ名優は、本作のCIAエージェント役であらためて演技力を評価された。

審査員特別賞を受賞した『NAZA』は、『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』のユヴァル・アブラハムとレイチェル・ゾアが共同監督したドキュメンタリー。ガザをめぐる終わりなき問題をあらためて提起し、2026年のベネチアを象徴する作品のひとつとなった。

気になる日本勢の結果は?

是枝裕和監督の『ルックバック』と塚本晋也監督の『ネルソンさんあなたは人を殺しましたか?』は、本賞の獲得こそならなかったが、映画祭では確かな存在感を示した。『ルックバック』は、映画祭から独⽴した団体や審査員から贈られる公式独⽴賞として、第 5 回「Cinema & Arts Award」シネマ&アーツ賞や、学生審査員が選ぶ「UNIMED Award」(ユニメッド賞)など5つの賞を獲得。是枝監督は「ヴェネチア国際映画祭というデビュー作の地で、もう⼀度出発点に⽴ち返った気持ちです。作品を挟んでの、観客のみなさんとの出会いを⼤切にしながら、また次へ向かいたいと思います」とコメントしている。

『ネルソンさんあなたは人を殺しましたか?』は、同じくヴェネチア国際映画祭の独立賞のひとつ、高校生が選ぶ「レオンチーノ・ドーロ賞(Leoncino d'oro/金の小獅子賞)」を、日本作品として初めて受賞した。イタリア全土から選ばれた18歳の高校生20名が審査員を務め、コンペティション部門の作品から受賞作を選出する賞。塚本監督は「未来を担っていく人たちが、この映画を選んでくれたというのは、すごい希望を感じました」と、胸の内を明かした。

2026年のベネチア国際映画祭では、家族、格差、分断、戦争、ジェンダーといった現代社会が抱える諸テーマが並び、“映画は社会の写し鏡”という言葉を例年以上に体現する年となった。

映画の垣根を超えたトピックスにも注目

そして2026年は、映画とファッションの垣根を越えた取り組みも目を引いた。

なかでも注目は、2021年から同映画祭のメインスポンサーを務めるカルティエが、今年新たに立ち上げた国際プログラム「Cartier Cinema Club」。映画監督のクロエ・ジャオと撮影監督のウカシュ・ジャルによる対談や、久石譲にフォーカスしたマスタークラスなどを通して、スクリーンの表舞台だけでなく、映画を生み出すアーティストやクリエイターに光を当てた。

また、アルマーニ ビューティーは9年連続で公式ビューティースポンサーを務め、昨年逝去したジョルジオ・アルマーニが築いてきた映画との深い絆を、今年もベネチアの舞台で受け継いだ。

さらに、フェラガモは映画祭の開催にあわせ、ベネチアのフェニーチェ劇場にて ショートフィルム『Un Passo alla Volta』のプレミア上映を行なった。フェラガモ家のひとり、マルティナ・フェラガモとシモーネ・コッポが脚本を手がけ、マルティナ自身も出演した本作は、受け継いだレガシーや周囲の期待と向き合いながら、自分自身の道を選ぶことの意味を描いた。映画を通じてブランドのヘリテージを再考する、フェラガモならではの試みとなった。

スクリーンやレッドカーペットを彩るだけでなく、映画文化やクリエイターを支える存在へと、ラグジュアリーブランドは年々役割を広げている。今後の動向にも注目したい。

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