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「この家にはこの家のやり方がある」葬儀で供養のやり方を譲らない叔母。学生だった私が黙って片付けてしまった結果

  • 2026.9.13
「この家にはこの家のやり方がある」葬儀で供養のやり方を譲らない叔母。学生だった私が黙って片付けてしまった結果

枕元の茶碗に、箸がまっすぐ立っていた

父が亡くなったのは、私がまだ学生だった年の秋だった。

通夜の支度で家じゅうが慌ただしく動いている朝、台所で湯呑みを並べていた私は、居間に戻ったところで足を止めた。

枕元の白い台に、見慣れない茶碗が載っていた。

ご飯が山のように盛られ、その真ん中に箸が二本、まっすぐ突き立っている。

父の写真の前で、それだけが妙に生々しく見えた。

「母さん、これ…誰が置いたの?」

母は少し困った顔をして、隣の部屋へ視線を向けた。

父の妹にあたる叔母が、座布団を並べ直しているところだった。

「叔母さんよ。昨日からね、『この家のやり方じゃだめだ』って言ってて…」

「でも、うちってこういうの、やらないよね?」

「うん。お寺さんとも話してあるから。でも今は…言い合いにしたくないの」

母の疲れた顔を見ると、それ以上は何も言えなかった。

「分かった。じゃあ、これ片づけるね」

私は茶碗を持って台所へ運び、ご飯を移して箸を洗った。誰にも何も言わなかった。

手を動かしている間だけは、父の顔をまともに見なくて済む気がした。

ところが昼過ぎ、居間へ戻ると、同じ茶碗がまた枕元に置かれていた。ご飯の盛り方も、箸の立て方も朝とほとんど同じだった。

私はしばらく立ったまま見ていたが、結局そのときも何も言わず、もう一度茶碗を台所へ運んだ。

伯父が口を開くと、叔母は黙った

夕方になり、座敷に親戚がそろい始めたころだった。

叔母が枕元を見て、突然声を上げた。

「あれ?ご飯は?さっき置いたでしょう」

誰もすぐには答えなかった。

叔母はもう一度枕元を確かめてから、少し強い口調になった。

「誰か片づけたの?あれは置いておかないとだめなのよ」

母が何か言おうとしたので、私は先に口を開いた。

「僕が片づけました」

叔母が振り返った。

「あなたが?」

「朝も、昼もです」

「でもね、こういうことにはちゃんとやり方があるの。あなたはまだ学生だから分からないと思うけど…」

「でも、母さんはお寺さんと話して決めてます」

そう言うと、叔母は少し眉を寄せた。

「私は間違ったことをしてるつもりはないのよ。ちゃんとしてあげたいだけなの」

そのとき、それまで黙っていた父の兄にあたる伯父が、湯呑みを置いた。

「もういいんじゃないか」

叔母が伯父を見る。

「でも、私は兄さんのために…」

「それは分かってるよ。お前なりに考えてるんだろう」

伯父は一度そこで言葉を切った。

「でも、この家にはこの家のやり方がある。お寺さんとも話して決めてるんだから、今日はそれに合わせよう」

叔母はまだ納得できない様子だった。

「だけど、もし何かあったら…」

「何かしてやりたい気持ちは、みんな同じだよ」

伯父の声は大きくなかった。

「だからこそ、今ここで言い合うのはやめよう。今日は静かに送ってやろう」

叔母は何か言い返そうとして口を開いたが、周りを見て、そのまま言葉を飲み込んだ。

「……分かったわ」

それから叔母は、枕元には近づかなかった。

葬儀が終わるまで、私ともほとんど目を合わせなかった。私も自分から話しかけることはなかった。

その後、親族の集まりで顔を合わせることはありましたが、以前のように話すことはなくなった。

先日の法事でも、座敷にいたのは伯父と母と、私たち兄弟だけだった。

焼香の順番を待ちながら、私はあの日の白い茶碗をふと思い出した。でも、その話を口にする人は一人もいなかった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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