1. トップ
  2. エピソード
  3. 「エンジンの音、うるさいんだけど」車の窓をたたく近所の女性。だが、僕がメーターを指さした結果

「エンジンの音、うるさいんだけど」車の窓をたたく近所の女性。だが、僕がメーターを指さした結果

  • 2026.10.2
「エンジンの音、うるさいんだけど」車の窓をたたく近所の女性。だが、僕がメーターを指さした結果

昼間の駐車場で、突然窓をたたかれた

30代の僕が、2階建てのアパートに住んでいたころの話です。

平日の昼すぎ、用事で出かけようと駐車場の車に乗りこんだところで、仕事先から電話がかかってきました。

暑い日だったので、車の電源を入れてエアコンをつけ、そのまま車内で話すことにしました。

5分ほどたったころです。

コツコツ、と運転席の窓をたたく音がしました。

顔を上げると、斜め向かいの一軒家に住む70代くらいのおばあさんが、窓のすぐ外に立っています。腕を組み、険しい顔でこちらを見ていました。

僕は電話の相手に断って通話を終え、窓を少し下ろしました。

「はい、どうしました?」

すると、おばあさんは車を指さして言いました。

「エンジンの音、うるさいんだけど」

「え?」

「さっきから車を動かさないで、ずっとかけっぱなしでしょう。前にここに住んでた人にも、ちゃんと謝ってもらったんだから」

どうやら、車から聞こえている音を、エンジンの音だと思っているようでした。

メーターを見てもらうと、反応が変わった

言い返したい気持ちもありましたが、ここで声を荒らげても話がこじれるだけです。

僕は念のため運転席のメーターを確認しました。

そのとき、エンジンの回転数を示す針はゼロの位置で止まっていました。

「今、エンジンは動いてないですよ」

おばあさんはすぐに首をかしげました。

「でも、音してるでしょう?」

「エアコンは動いてるので、その作動音はしています。でも、エンジンの音じゃないんです。ここ、見てもらえますか」

僕は体を少しずらして、メーターを指さしました。

「この針がエンジンの回転数です。今はゼロですよ」

おばあさんは腕をほどき、窓越しにメーターをのぞきこみました。

しばらく針を見たあと、今度は黙って車から聞こえる音に耳を澄ませています。

僕も何も言わずに待ちました。

「……そうなの」

さっきまでの勢いはなくなっていました。

おばあさんはそれだけ言うと向きを変え、そのまま自分の家へ戻っていきました。

それ以来、窓をたたかれることはなかった

それから引っ越すまで、おばあさんが僕の車の窓をたたくことは二度とありませんでした。

数日後、ゴミ出しの朝に、同じアパートの1階に住む男性から声をかけられました。

「あのおばあさんに、車のことで何か言われませんでした?」

「言われましたよ。エンジンがうるさいって」

男性は苦笑いしました。

「僕も前に一度言われて、頭を下げたんですよ」

「僕のときはエンジンが止まってたので、メーターを見てもらいました。聞こえてたのは別の作動音だったみたいです」

男性は少し驚いた顔をしてから笑いました。

「なるほど。そうやって確認してもらえばよかったのか」

おばあさんには、車から聞こえる音がすべてエンジン音のように感じられていたのかもしれません。その場で言い合いにせず、実際の状態を見てもらったことで、それ以上の揉め事にはならずに済みました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ