1. トップ
  2. エピソード
  3. 「そのやり方じゃ駄目だ」うちの敷地に入って口を出す近所の住人。だが、門の外から町内会長さんが伝えた一言

「そのやり方じゃ駄目だ」うちの敷地に入って口を出す近所の住人。だが、門の外から町内会長さんが伝えた一言

  • 2026.9.30

門の内側まで入ってくる近所のおじさん

実家の門を入ると、砂利を敷いた平らな一角があり、その奥に母の小さな畑が続いている。

地元へ戻ってから、休みの日の庭仕事は僕の役目になっていた。

近所には、子どものころから知っている70代くらいのおじさんがいる。

僕が庭で何か始めると、いつの間にか門を抜けて敷地の中まで入ってきて、すぐ横から手元をのぞき込む。

「そのやり方じゃ駄目だ」

一度そう言ったあと、しばらく僕の作業を見て、また同じことを言う。

「いや、それじゃ駄目だって」

悪気があるようには見えず、帰るときはいつも機嫌がいい。それだけに、こちらから強く言うのも気が引けていた。

ある晩、夕食の席で母が聞いてきた。

「最近、庭仕事を後回しにしてない?何かあった?」

「あのおじさん、また来るんだよ。『そのやり方じゃ駄目だ』って」

「ああ…昔から世話焼きだからね」

「悪い人じゃないのは分かってる。でも、頼んでないときまで横で言われると、やりにくくてさ」

母は「そうねえ」と困ったように笑った。

物置を組み立てていた土曜日

次の土曜日、僕は届いたばかりの物置を組み立てていた。説明書を砂利の上に広げ、部品を確認していると、門のほうから足音が近づいてきた。

「そのやり方じゃ駄目だ。柱から立てないと」

やはり、あのおじさんだった。僕の手元をのぞき込み、少しするとまた口を開く。

「だから、それじゃ駄目だって」

そのとき、門の外から声がした。通りかかった町内会長さんだった。足を止め、こちらを見ていた。

「おいおい。頼まれたときに手伝えばいいだろ。まず本人に任せなよ」

おじさんは何か言いかけたものの、僕の足元に広げた説明書を見て口を閉じた。

縁側では、洗濯物を取り込んでいた母がこちらを見ていた。

「……そうだな」

おじさんは短く答えると、砂利を踏んで門の外へ出ていった。会長さんも僕に軽く手を上げ、そのままおじさんと歩いていった。

物置はその日の夕方に組み上がった。扉を何度か開け閉めしていると、門の外から声がする。

「おう、ちゃんとできたな」

振り返ると、おじさんは門柱の向こうに立っていた。以前のように中へ入ってくる様子はない。

「はい。ちゃんとできました」

僕が答えると、おじさんは少し照れたように笑った。

それ以来、庭仕事をしていると声をかけられることはあっても、おじさんが勝手に門の中へ入ってくることはなくなった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ