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「それ、褒めてるつもり?」5年ぶりに会った祖母の褒め言葉。だが、母が思わず止めたワケ

  • 2026.9.13

5年ぶりの茶の間は、みかんの匂いがした

母方の実家へ正月に帰ったのは、5年ぶりのことだった。

茶の間に入ると、石油ストーブの匂いと、こたつの上のみかん、台所から漂ってくる煮物の湯気が混ざっている。

しばらく来ていなかったのに、その空気だけは昔とほとんど変わっていなかった。

こたつには母と父、叔母が座っていた。テレビでは駅伝が流れていたけれど、誰も真剣には見ていない。

そこへ、祖母が湯呑みを載せた盆を持って入ってきた。

「あらあら、やっと来た。顔見せて」

「おばあちゃん、久しぶり。元気だった?」

「元気よ。あんたこそ、全然来ないんだから」

口ではそう言いながら、祖母はうれしそうに笑っていた。

私が立ち上がって盆を受け取ると、祖母は少し離れたところから私を上から下まで眺めた。

「まあ…なんだか雰囲気が変わったねぇ」

「そう?5年もたったからかな」

「きれいになったじゃない。大人っぽくなって」

思いがけず褒められて、私は少し照れながら「ありがとう」と答えた。

ところが、祖母はまだ何か言いたそうに私を見ている。

そして満足そうにうなずくと、ためらいもなく続けた。

母がすかさず入れた一言で、茶の間が笑いに変わった

「それに、お尻もずいぶん大きくなったわねぇ」

「…え?」

あまりに自然に言われたので、私は一瞬、聞き間違えたのかと思った。

父は急にテレビへ目を向け、叔母はみかんをむく手を止めている。

祖母だけは、相変わらず満面の笑みだった。

すると母が、すぐ横から声を上げた。

「ちょっと、おばあちゃん。それ、褒めてるつもり?」

「もちろんよ。立派になったってことじゃない」

「いやいや、本人はあんまりうれしくないと思うよ」

「そうなの?」

祖母が本気で驚いた顔をする。

「今はね、そういうこと本人に言わないほうがいいの」

「だって昔は、腰まわりがしっかりしてるのはいいことだって言ったものよ」

「おばあちゃんのころはね。でも今はちょっと違うの」

母に言われても、祖母はまだ納得しきれない様子だった。

「難しいねぇ。褒めたのに怒られちゃうんだから」

その言い方がおかしくて、叔母がとうとう吹き出した。

「でもまあ、悪気がないのは分かるけどね」

私がそう言うと、祖母はほっとしたように笑った。

「そうよ。私は褒めたのよ。本当に」

「分かった、分かった」

母が笑いながら答える。

祖母は少し考えてから、改めて私の顔を見た。

「じゃあ言い直すわ。元気そうで安心した。顔も見られたしね」

「うん。それがいちばんうれしい」

そう答えると、祖母は「そうでしょ」と満足そうにうなずいた。

そして、こたつの上のみかんのかごを私の前へ押し出した。

「ほら。そんなことより食べなさい。甘いから」

「はいはい」

さっきまで微妙な空気だった茶の間に、また笑い声が戻った。

5年ぶりに会っても、祖母は祖母のままだった。言葉の感覚は少し違っていても、私を喜ばせようとしてくれた気持ちだけは、ちゃんと伝わってきた。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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