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30代女性“体調不良”での救急要請…「自分で歩けます」→救急隊が“待った”をかけたワケ

  • 2026.10.3
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出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。ライターのとしです。

救急現場では、傷病者本人が「大丈夫」「歩けます」と話していても、その言葉だけで移動方法を決めることはありません。

今回は、体調不良で救急要請をした30代女性が「自分で歩けます」と申し出た際、救急隊が歩くのを制止した事案ご紹介します。

玄関先で座り込んでいた30代女性

あるとき、30代女性の体調不良で救急要請が入りました。

自宅へ到着すると、女性は玄関先まで出てきていました。

一見すると、自分で玄関まで移動できているため、それほど重症には見えないかもしれません。

しかし、女性はその場に座り込んでおり、顔色も青白く、明らかに体調が悪そうな様子でした。

話を聞くと、食事もあまり摂れていないとのことでした。

救急隊は、いつから体調が悪いのか、どのような症状があるのか、食事や水分はどの程度摂れているのかなどを確認しながら、血圧や脈拍など必要な観察を進めました。

その後、受け入れ可能な医療機関が決まり、女性を救急車内へ移動させることになりました。

「少し良くなったので、自分で歩けます」

搬送の準備を進めていると、女性から、

「少し良くなってきたので、自分で歩けます」

と申し出がありました。

本人としては、救急隊が到着してから少し休んだことで、症状が軽くなったように感じたのだと思います。

しかし、救急隊はそのまま歩いてもらうことはせず、担架を使用して救急車まで搬送することを説明しました。

救急隊は基本的に、体調不良などで救急要請となった傷病者を安易に歩かせることはしません。

本人が「歩ける」と感じていても、立ち上がった瞬間にふらついたり、血圧が下がったり、意識を失ったりする可能性があるためです。

歩けることと、歩かせて安全かは別

今回の女性は、救急隊が到着した時点で顔色が悪く、食事も十分に摂れていませんでした。

その状態で立ち上がり、救急車まで歩いている途中に気分が悪くなれば、その場で倒れてしまうことも考えられます。

もし転倒して頭を打てば、もともとの体調不良とは別のけがを負うことになってしまいます。

また、歩いたことがきっかけで症状が悪化する可能性もあります。

救急隊としては、今ある症状だけでなく、「移動させることで新たな危険が生まれないか」まで考えて搬送方法を選ぶ必要があります。

女性にもその理由を説明し、担架で救急車まで移動することを了承してもらいました。

その後、女性を救急車内へ収容し、状態を継続して確認しながら医療機関へ向かいました。

搬送中に大きな容体変化はなく、無事に医療機関へ到着し、現場で確認した内容を医師へ申し送ることができました。

救急隊が担架を使うのには理由がある

救急隊が担架を使用すると、「自分で歩けるのに大げさでは」と感じる人もいるかもしれません。

しかし、救急現場では「歩けるかどうか」だけではなく、「歩かせても安全かどうか」を考えています。

体調不良の人は、座っている間は会話ができていても、立ち上がったことで急に状態が変わることがあります。

だからこそ、本人が大丈夫だと話していても、それまでの観察結果や顔色、症状、食事の状況などを踏まえて、安全な方法を選びます。

新たなけがや症状の悪化を防ぎ、無事に医療機関までつなげること。

それも救急隊にとって大切な役割だと感じた事案でした。


ライター:とし

元救急隊員。消防で17年、主に救急隊として活動し救急救命士資格を取得。現場経験をもとに、救急の分かりにくい部分を一般向けに噛み砕いて発信しています。


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