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優先席を荷物でふさいでいた乗客。「早く来たもん勝ちでしょう」と拒む乗客を見て、後悔したこと

  • 2026.9.9
優先席を荷物でふさいでいた乗客。「早く来たもん勝ちでしょう」と拒む乗客を見て、後悔したこと

三人がけの優先席を、一人と二つの荷物が使っていた

去年の秋、平日の夜に帰りの電車へ乗ったときのことです。車内はかなり混んでいて、つり革はほとんど埋まり、ドアの近くにも人が立っていました。

私はドア脇に立っていましたが、車両の端にある三人がけの優先席が目に入りました。

真ん中に一人が座り、その両隣には大きな荷物が一つずつ置かれていました。

立っている人は何人もいましたが、荷物を動かす様子はありません。

次の駅でドアが開くと、その優先席に近い扉から、小さな子どもを抱いた人が乗ってきました。

少し車内を見回したあと、優先席の前で足を止めます。

「すみません。こちら、座らせてもらえますか」

最初は返事がありませんでした。もう一度声をかけると、座っていた人がようやく顔を上げ、隣の荷物を指しました。

「このカバンには精密機器が入ってます。ぶつかって壊れたら、責任取れるんですか」

子どもを抱いた人は少し戸惑いながら、それでも穏やかに尋ねました。

「一つだけでも空けてもらうのは難しいですか」

すると返ってきたのは、

「早く来たもん勝ちでしょう」

という言葉でした。

それでもその人は、「子どもを抱いているので…」ともう一度だけ頼みました。しかし、相手は荷物に手をかけることもなく、同じように言いました。

「だから、早く来たもん勝ちでしょう」

そこで、子どもを抱いた人は何も言わずに一歩下がりました。

私も声をかけようか迷いました。周囲にも同じやり取りを見ていた人はいたと思います。それでも、その場では誰も言葉を出せませんでした。

「すみませんでした」と言ったのは、席を頼んだ人だった

少しして、子どもを抱いた人が小さな声で言いました。

「すみませんでした」

そして頭を下げると、次の駅でいったん降り、隣の車両へ移っていきました。

その言葉を聞いたとき、私は何とも言えない気持ちになりました。

丁寧に席を頼んだだけなのに、最後に謝ったのはその人のほうだったからです。

優先席に座っていた人は、そのあとも荷物を両隣に置いたままでした。三駅ほど過ぎたところで立ち上がり、二つの荷物を持って降りていきました。

偶然、私も同じ駅で降りました。階段へ向かう途中、同じ車両にいた人と目が合いました。

「言えばよかったですね」

「ええ、そう思います」

交わしたのは、それだけでした。

今も思い出すのは、空かなかった席より、あのとき何も言えなかった自分のことです。次に似た場面を見たら必ず何かできる、とまでは言い切れません。それでも、困っている人が声をかけているときくらいは、知らないふりをせずにいたいと思っています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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