1. トップ
  2. 龍村美術織物 代表取締役社長 龍村 育さんにインタビュー。和の美の象徴、「美術織物」の新たな可能性

龍村美術織物 代表取締役社長 龍村 育さんにインタビュー。和の美の象徴、「美術織物」の新たな可能性

  • 2026.8.17

今年4月のミラノ・デザイン・ウィーク2026にて、龍村美術織物と髙島屋による共同プロジェクトのインテリアブランド「CASA TATSUMURA」がインパクトのあるデビューを果たしました。龍村美術織物 代表取締役社長の龍村 育さんに、世界に羽ばたく織物の魅力と価値についてお話を伺います。

Teruaki Kawakami

<Profile>
龍村 育(たつむらいく)/龍村美術織物 代表取締役社長

1973年、四代龍村平藏の長男として生まれる。新聞社での勤務を経て2007年龍村美術織物に入社。2019年代表取締役社長に就任。2024年五代 龍村平藏を襲名。会社を経営すると同時にさまざまな作品を発表。ディオール2025年フォールコレクションで、裂地が採用される。

インテリアという表現で美術織物が輝く

少数精鋭の職人たちの手で生み出される美術織物。ものづくりに近道はなく、一人の職人が育つまで10年単位の時間が。「初代平藏は、縦糸と横糸ともう1本、“美”という糸の3本で織り上げて、唯一無二の織物になると。この教えを伝えていきたいです」 TERUAKI KAWAKAMI

龍村美術織物を社長として率いる龍村 育さんは、2024年に五代 龍村平藏を襲名。その際、「和の躍動 和の解放」をご自身のテーマとして掲げました。「ライフスタイルが変わる中で、日本の民族衣装であるきものを装う機会も少なくなっています。ただ、初代平藏の時代から培ってきた織物の美意識や技術は、世界と比しても誇れるものがある。それをもっと世の中に解放できないか、という思いがありました」

TERUAKI KAWAKAMI
Teruaki Kawakami

龍村美術織物と髙島屋が共に手掛ける最高峰の帯のブランド「龍村錦帯」が、2027年に100周年を迎えることを機に、初めてのインテリアブランド「CASA TATSUMURA」が始動。もともと龍村美術織物は昭和の時代から世界で出展を続け、クリスチャン・ディオールの依頼でオートクチュール用の裂地を製作したことも。また呉服に限らず、インテリアや産業資材などにも実績を残してきました。「CASA TATSUMURA」の誕生は、歴史の歩みの中で必然だったのかもしれません。「弊社の美術織物は金銀糸を多く用いた重厚な作りで、見る角度や光の当たり方によって立体感が出たりとさまざまな表情を見せます。帯など装うものとは違い、広い空間に置いて常時眺め、触れることのできる家具は、美術織物の新しい魅力や存在価値をもう一度広めることにつながっていくのではないかと期待しています」

Teruaki Kawakami

フォーリサローネでは連日会場に立ち続けた龍村さん。「たくさんの方にご来場いただきました。ミラノの近郊ではコモなど、絹織物の歴史があるヨーロッパだけに織物に興味をおもちの方が多く、熱心なご質問も頂きました。一年目はまずインパクトを残すことを目標にしていましたが、十分に果たせたのではないかと思います」。発表したコレクションの中で、龍村さんが特に感慨深いのは「The An-Don」。「私の父、四代平藏が製作した帯の柄が用いられています。四代の創作テーマの一つがガラス工芸で、光の屈折や反射、カットの立体感を織物で表現しました。それが照明となって内側からライトで照らされると、この織物の良さが際立ったんです。アーカイブの作品が従来にない使い方で新しい魅力を放つ、これこそが“和の躍動 和の解放”ではないかと。これからも織物の可能性を追っていきたいです」

展示会場では、コレクションのほかに龍村美術織物の歴史にも関心が集まりました。「京都では珍しくないのですが、弊社がファミリービジネスで130年余続いていることにも驚きの声が。歴代の平藏を紹介するパネルも、多くの方にご覧いただきました」 Hearst Owned
Hearst Owned

問い合わせ先
髙島屋日本橋店(呉服売場)
TEL/03-3211-4111
URL/www.takashimaya.co.jp/store/special/casa_tatsumura

初出:リシェスNo.56 2026年6月26日発売
PHOTOGRAPHS:TERUAKI KAWAKAMI

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ