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『団地のふたり』初恋の人が今もかっこいいという奇跡!50代のリアルが胸にしみる【第3週】

  • 2026.8.5

『団地のふたり』初恋の人が今もかっこいいという奇跡!50代のリアルが胸にしみる【第3週】

一昨年、NHK BSで大きな話題を呼んだ「団地のふたり」が、NHKドラマ10で地上波放送。小泉今日子と小林聡美が演じる50代の幼なじみと、団地に暮らす人々との何気ない日常を、やさしいまなざしで描いた名作です。もう一度楽しみたい人も、初めて見る人も、その見どころを振り返ります。 ※ネタバレあり

ノエチ(小泉今日子)の初恋の相手か?

仲良しの女子ふたりがそろったら、やっぱり恋の話題ははずせない。前回のラストでは、なっちゃん(小林聡美)の初恋相手はノエチのお兄ちゃんかも、という場面があったが、今回は、ノエチ(小泉今日子)の初恋の相手か?とおぼしき人が現れた。

その彼はかつて同じ団地に住んでいた同級生。いまは商社に勤めていて、世田谷に家があるが、最近、お母さんとふたりでこの団地に戻ってきた。ちなみに、彼は結婚している。

会ってみようと誘うなっちゃんに、ノエチは抵抗する。確かに数十年ぶりの再会はリスクが高い。

でも、心配ご無用。その人、春日部君(仲村トオル)は50を過ぎても「原形」をとどめていた。

久しぶりに同級生に再会したふたりは彼のお母さんに挨拶しがてら、お宅におじゃまする。そこで団地に戻ってきている理由がなんとなくわかってきた。お母さんの認知症が進行して、目の前にいる息子のことが分からなくなっていたのだ。

子ども時代にお世話になっていた人の変化に、ふたりはショックを受ける。

でも、そこからが、この団地の人たちのユニークなところ。大勢で春日部君宅に押しかけて元気づけようとする。

PTAで一緒だったというシニアメンバー3人は久々の再会で、なつかしい話に花が咲き大盛り上がりだ。そのうち話題が石原裕次郎になると、佐久間のおばちゃん(由紀さおり)が「銀座の恋の物語」を歌い出す。すると、それにつられて春日部君のお母さんまでも口ずさみ始めた。

自分とふたりきりの時には見られないような、母親の嬉しそうな顔をみつめる春日部君。演じている仲村トオルの、うれしさと戸惑いが入り混じった表情が、なんとも印象深い。

元気だった親が弱っていき、一人で悩みを抱え込み煮詰まっていたときに、思わぬタイミングで団地の人たちの優しさに触れて、肩の力が抜けていく。

結局のところ、春日部君は母親に「こうであってほしい」を求め続けていたのだろう。母親の望むとおり団地に戻れば症状が和らぐかと期待していたが、それが甘い考えだったことが分かり、ようやく気持ちの整理がついた。ついに介護施設への入所を決意する。

世田谷から団地への引っ越しを経て、そこにたどり着くまでいろんな葛藤があり、その先にこの決断にたどりついたわけだが、この彼が多くを語らないのが、むしろ母親への愛情の深さを物語っているようで、ぐっときた。

春日部君(仲村トオル)は早期退職をしていた!

そして、春日部君本人もまた、人生のターニングポイントを迎えていたようで、早期退職をしていることをふたりに語る。

この世代、春日部君のように、介護や自分自身の生き方について悩んでいる人は少なくない。誰でも、どこかで休息が必要だろうし、張り詰めているものをゆるめる時間が、ときに必要だと思う。

都会暮らしで充実している人も、この回、昭和時代のなつかしさを感じつつ、春日部君の「俺もこの団地に戻ってきたかったのかもしれない」という言葉が心にささるのではないか。

さて、ノエチの「初恋」なるものが実ったかどうかの顛末については、本編をぜひ見てほしいところなのだが、ノエチの中2のバレンタインのときの行動にはびっくりだ。恋をするには幼すぎたのか、はたまたモテる人の余裕の行動だったのか……。

このことを同級生3人で語る場面は、お互いの子ども時代を知っている者同士が集まったら、いくつになっていようとも、一瞬にして「その時間」に戻れることを思い出させてくれる。かっこ悪さも、恥ずかしいこともお互いさま。何十年ぶりに会ったとしても、ぽろっと弱音もこぼせるのだ。

そして50代のいまは10代の胸のトキメキを思い出すには、少々時間が経ちすぎている。甘酸っぱい思い出を語るより、老いていく親のことや、自分のことで必死になっている時期かもしれない。

だからノエチのように両親がしっかりしているケースは圧倒的に少数派。彼女はとても恵まれている。なっちゃんの家で晩ごはんを食べると言った娘に「早く帰ってらっしゃいよ」というお母さん。それはまるで、夕暮れどきに「ごはんまでに帰りなさい」と言われる小さな子どものシチュエーションそのものだ。

でも、少しずつ確実に親は老いていく。春日部君のお母さんが団地を去ったあと、ようやく「親孝行」のことが頭をよぎるノエチ。気づくのが遅いけれど、まあ何かあったら、なっちゃんがきっと助けてくれるだろう。

コンビニアイスをかじって、鼻歌まじりに家路に向かうふたりを見ていると、いろんなことが「何とかなるさ」と思えてくる。

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